明日、掛川ライフスタイルデザインカレッジの10月フォーラムが行われる。静岡文化芸術大学の宮川潤次先生の講演会『サステイナブルデザインが生活を変える』である。
横文字に弱い私が、今ではエラソーに「サステイナブル」について語ったりする。まったくもって不思議なものだが、つまりは「持続可能な」という意味である。宮川先生は、持続可能な社会を支えるデザイン(サステイナブルデザイン)を研究テーマにしているのだ。
何やら難しいような気がするが、わかりやすくいえば「椅子」である。
昨年のスローライフ月間で、「スローな椅子づくり」の講師を務め、そもそもその椅子のデザインをされたのが宮川先生なのである。
このスローな椅子は、静岡県産のヒノキを主素材に、静岡県のメーカーが製造した農業用紙ひも(ペーパーコード)で座面を編んである。木と紙、土に戻る素材であり、持続可能とはつまりそういうことである。
一度、宮川先生の大学の研究室におじゃましたことがある。近代的で、ホテルの一室のようなつくりなのだが、研究室の中はまるで職人の工房のようだった。
壁面の本棚には難しそうな本が並び、様々な資料が収められているのだが、中央のスペースにはつくりかけの椅子とテーブル、その周辺には大工道具が、さらに接着剤として使うニカワを温めるためのホットプレートやらお鍋やら温度計やらが置かれている。
そしてそれらを、宮川先生は、一つ一つ嬉しそうに説明してくれた。
もともと宮川先生は、建築関係の仕事をされていた。一度、社会に出て仕事をした経験を持つ大学教授というのは、なかなかに面白い。
この「スローな椅子づくり」のときの宮川先生の言葉が、「なるほど!」とうなるような言葉なのだ。
「森を守るため、またシックハウス対策として木の家が見直されています。木の家を建てている間に、家族で自分たちの椅子を作ることができたら楽しいだろうな。こんな想いを実現するため、自然素材を生かした組み立て家具をつくりました。エコロジカルなライフスタイルを実現する暮らしの中で、家族とともに育つ家具をめざしています」
実は、私も一つ作った。
今、わが家のダイニングテーブルの前にあり、私は毎日その椅子に座ってごはんを食べ、本を読み、ときに物思いにふけったりしている。「エコロジカルな生活をしよう!」などと意識の上にのぼらせたことはないが、この椅子は確かに心地よく、ふいに自分がつくったことを思い出し、大事にしたくなる。
宮川先生のおっしゃるように、家を建てているときに、あるいは家を建てる前に、家族で「自分が座るための椅子をつくる」ことは、何か大事なことを教えてくれる……、って何より楽しいのがいい。
そんな宮川先生の講演会は明日。椅子の実物、組み立て前の部品なども用意していただけるようです。
『サステイナブルデザインが生活を変える』をお楽しみに!
宮川潤次氏講演会
『サステイナブルデザインが生活を変える』
■日時 平成18年10月18日(水)
受付18:30~19:00 講義19:00~21:00
■会場 掛川グランドホテル2階
■受講料 カレッジ受講生 無料
NPO会員 2,000円
一般 3,000円
■講師からのメッセージ
講座では、知識を得るだけでなく、できるだけ自分の手で物を作ることや、自分の足で歩くことの楽しさを感じてほしいと思います。
(ちなみにこのスローな椅子、なだれ込み研究所にも2脚あります)