面河山岳博物館へようこそ!

石鎚山系と久万高原の自然、博物館の活動などを紹介するブログ

今日は寒い日です

2008-12-26 13:17:46 | 自然

今年も残りわずかとなりました。

皆様方のご愛顧、誠にありがとうございました。

本年の営業は本日26日までです。

多分今年最後?のブログです。

来年も展示にブログに頑張ります。

少し早いですが、皆様、よいお年を!

朝から小雪が舞っている面河渓から。

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モモンガの死体を発見

2008-12-22 10:27:27 | 自然

12月18日、博物館近くの川でモモンガらしい動物の死体が発見されました。
発見者のKさんによると、河原を散歩していると浅瀬に沈んでいる動物の死体を見つけ、シッポの形からモモンガだと判断したそうです。
Kさんはこれまでに、スギ林の中で死んでいたモモンガを発見したり、鳥用にかけた巣箱を利用するモモンガを観察したりと、十分、モモンガとの接触経験豊富な方でしたので、疑うことなく現場に直行しました。
死んでいたのは、やはりモモンガで、死後数日は経っていました。
しかし、面河川の冷水が腐敗の進行を随分とゆっくりにしてくれたのでしょう、外見の損傷の少ないきれいな死体でした。
死因は特定できませんが、もし滑空に失敗して川に落ちてしまったとしたら驚きです。
愛媛県の中で面河渓周辺は最もモモンガが高密度に生息している場所と考えられています。
今年はこれで三回、モモンガに出会うことができましたが、残念ながら二回は死体でした。
現在、面河渓でモモンガの巣箱調査を進めていますので、来年こそは森の中で動き回る姿に出会いたいものです。
写真は発見者と発見場所。

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サンショウウオのはなし③

2008-12-09 10:37:26 | 自然

今回は少し難しいテーマです。

サンショウウオ類が「生きていくための最低条件」にはどのようなものが考えられるでしょうか?

くわえて、彼ら(サンショウウオ)が生きていけるだけの「環境のセット」にはどのようなものがあるのでしょうか?

彼らもイモリと同様に、「水」さえあればどこだって生きていられるのでしょうか?

そこでみなさんはどう思われますか?

* ? *

それでは一例としてお答えします。

まず、「生きていくための最低条件」には、大きく2つに分けられます。

1つ目は、ある程度きれいな水、つまり渓流があることです。

2つ目は餌となる小動物がたくさんみられる豊かな森林です。

「環境のセット」は実にたくさんのものが考えられます。

まず、水と陸にたくさんに餌が必要になります。

そして、餌資源自体を育む多様な環境、天敵から身を守るため隠れる場所(複数)、日光が差し込まない暗い森林、湿潤な渓流、昼間に体を休める場所、万が一彼らが増えすぎて生態系の均衡を破ることのないように個体数をチェックする天敵の存在、など実に多様で複雑なセットが要ることがわかります。

*****

鳥類や哺乳類などにみられる移動能力を持たない彼らは脆弱な動物です。

いま彼らの生息環境は実に厳しいものがあります。

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サンショウウオのはなし②

2008-12-05 17:00:41 | 自然

.「前回、日本産の小型サンショウウオ、つまりサンショウウオ科の種類数は19と聞いたけど、たとえばどんな名前がついているの?」

A「それでは種名を以下に挙げます。聞いたことはありますか? 久万高原町内にはイシヅチサンショウウオ、コガタブチサンショウウオ、ハコネサンショウウオの3種が生息しています(○印)」

 

 キタサンショウウオ :北海道(釧路)

 エゾサンショウウオ :北海道

 トウホクサンショウウオ :東北日本

 トウキョウサンショウウオ :関東

 クロサンショウウオ :東北日本(佐渡を含む)

 ハクバサンショウウオ :中部

 ホクリクサンショウウオ :北陸

 アベサンショウウオ :中部

 カスミサンショウウオ :西南日本

 オオイタサンショウウオ :九州、高知

 ツシマサンショウウオ :対馬

 オキサンショウウオ :隠岐島後

 ヒダサンショウウオ :関東、中部から中国

 ブチサンショウウオ :中国、九州北部

○コガタブチサンショウウオ :中部、近畿、四国、九州(北西部を除く)

 ベッコウサンショウウオ :九州の山地

 オオダイガハラサンショウウオ :紀伊半島、九州の山地

○イシヅチサンショウウオ :四国(固有種)

○ハコネサンショウウオ :本州、四国の山地

最近、種名等の変更がありました。 つまり、『イシヅチサンショウウオ』は、これまでにオオダイガハラサンショウウオと同一種として、『コガタブチサンショウウオ』は、これまでブチサンショウウオと同一種としてそれぞれ扱われていましたが、最近の研究により、遺伝的または形態的に異なるとして独立種とされています。


サンショウウオのはなし①

2008-12-04 10:50:01 | 自然

前回に引き続いて、サンショウウオの話をします。

ところで、みなさんは「サンショウウオ(山椒魚)」ってご存知ですか? 

またはどんなイメージをもたれるのでしょうか? 

たとえば、有名な井伏鱒二の小説『山椒魚』、つまり、オオサンショウウオ=“ジャイアント・サラマンダー”を想像しますか。

あるいは、イモリやカエルに近い動物をイメージするのでしょうか。

でもしかし、サンショウウオというのはヘビやカエルと同じように、単にそのグループを総称しているのです。

そして、広い意味では両生類の有尾目(ゆうびもく)に含まれるのを指し、狭い意味では「サンショウウオ科」に属するものを指すのです。

国内にはなんと19種の「サンショウウオ科」の種類が知られています。

種類数は多いですねー。

ちなみに、愛媛県下には4種類が分布します。

さて、古くから石鎚山には3種類の小型サンショウウオ類の生息が知られています。

標高1,000m以上のか細い流れの小谷に棲み分けているのです。

しかし、生態は不明な点が多く、「謎だらけ」なのです。

基本的な情報として、「どこに棲んでいるのか」「何を食べているのか」「どうやって暮らしているのか」「生息地はピンチ!?、ではなぜ保護が必要なのか」という基本的な情報も不足しているのです。

 この続きは次号へ。