時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

津波の顔: 日本人の顔

2012年02月29日 | 特別記事

 

このブログに初めて来られた方は、多分かなり当惑されるだろう。管理人がなにを書こうとしているか、あるいはブログはなにを目指しているのか、多分直ぐには分からないからだ。実は、何度かそうしたご指摘もいただいている。そろそろ店じまいの時とは思っているのだが、記憶細胞になにが残っているか、書き出してみたいという思いも多少ある。

 現状は、壊れかけたPCともいえる頭脳から、残った部分をアトランダムに外付けディスクに取り出しているようなものかもしれない。困ったことは、取り出したいことはかなりあるのだが、出力機能が追いつけなくなったことだ。ブログの枠では収まらないことが多くなった。更新も大分間遠くなっている。

時間は飛ぶように過ぎて行く。キーワードでも記しておかないと、たちまち忘却の霧に埋もれてしまう。

 

記憶が飛ばないうちに、ぜひみていただきたいと思う新しいテーマも多い。日本のことなのに、当の日本ではほとんど知られていない。その中からひとつご紹介したい。

 

時々見ているThe New York Times Magazine に掲載されている「引き潮」 Low Tide と題された記事(エッセイ)と写真である(最下段掲載アドレスから見ていただきたい。Login が必要かもしれない。エッセイの筆者は韓国系アメリカ人の女性である。対象は東北大震災の中で、かろうじて生き残った人たちの写真シリーズだ。筆者によると、こうした災害などに見舞われた時、日本には「仕方がない」、「しょうがない」あるいは「がんばろう」という受け取り方があるという。特に、後者は幸い被災を免れた人たちから送られることが多い言葉だ。確かに、これほどの大災害を経験した人々に向けて、他の表現はなかなか見つからない。しかし、被災者にとってはかなりつらい言葉だ。しかし、筆者が記すように、他にどんな慰めの言葉があるのだろう。

 

写真家のDenis Rouvre は、昨秋、石巻から南相馬を一ヶ月かけて旅し、壊滅した町、仮設住宅を訪れ、生き残った人々と話し合った。その旅で出会った人々の顔、印象的な顔の何枚かが紹介されている。いずれの顔もそれぞれの人生の年輪以上のものが加わっている。いうまでもなく、大震災が言葉にならないものを刻み込んだのだ。いずれも感動的な顔であり、見る人に多くのことを考えさせる。読者のコメントには beautiful 「美しい」という讃辞が並ぶ。確かにそうかもしれない。しかし、その意味は深い。日本人とはいかなる民族なのか。深く刻まれた顔の皺のひとつひとつに、この列島に生きてきた日本人の刻印のようなものを感じる。気安く「がんばれ」などとはとてもいえない。

 

 

“Low Tide”.  By MIN JIN LEE, The NY Times magazine,Published: February 23, 2012

     Photos by Denis Rouvre 

     http://www.nytimes.com/2012/02/26/magazine/japan-tsunami-survivors.html

  

  上記の記事、中段にある小さなスライド写真をご覧ください。

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