前回8月19日の記事で、日本の外国人研修制度が破綻していることをとりあげたが、期せずして8月23日、連合の事務局長が法務大臣を訪ね、研修・技能実習制度の廃止を含めた抜本改革に踏み切るよう要請したようだ。
いかなる要請なのか具体的な内容は新聞記事では分からないが、「劣悪な労働条件や賃金未払いが発生している。(出身国の)送り出し機関の問題もあり、国内対策だけでは対応し切れない」と指摘し、「制度の趣旨と現実の運用が乖離している」として早急に制度見直しを求めたとのこと。不正行為の認定数が急増しているばかりではない。研修・実習生の失踪なども多い。不法滞在者の増加につながてゆく。政労使ともに、今度は正しい方向を選択してほしいと願うのみである。
これまでの連合の立場もあまり明確とはいえなかった。概して、労働組合は外国人労働者の受け入れには消極的な立場をとっている。しかし、国際化、開放化と言われる時代だけに、歯切れの悪い対応が多く、なにを言っているのか分からないステートメントも多かった。
経営側はグローバル競争に直面しているだけに、良い悪いは別として、自己主張ははっきりしているが、組合側は政策の確立が遅れがちだ。「連合」に代表される労働組合も時代に対応するモデル・チェンジができていない。組織、政策ともに旧態依然たるところが多い。20年以上も前に、組合も自己改革を図らないかぎり、「氷河期」に入ってしまうと苦言を呈したことがあった。かなり反発した人もいたが、実態はその通りになってしまった。
日本の労働組合の組織率はその後減少一辺倒で、1年たりとも回復したことがない。2005年の推定組織率は、18.7%にまで下がってしまった。労働協約の一般拘束力もなく、春闘の波及効果もなくなった。組合は労働者を代表しているとはとてもいえる状況ではない。現代労働者の大多数は未組織労働者であるという現実を直視することなくして、未来に光は見えてこない。
Reference
「外国人研修制度抜本改革を要請」『朝日新聞』2006年8月23日