水沢司法書士・行政書士事務所

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健忘録2・公営住宅入居者の相続

2011年12月13日 | Weblog
公営住宅の賃借人が死亡し、その妻・兄弟姉妹の子が法定相続人となる場合、兄弟姉妹の子に賃借権の相続権はあるか。


 公営住宅の入居者が死亡した場合に、その相続人は、当該公営住宅を使用する権利を当然に承継するものではない。

平成2年10月18日最高裁判所第一小法廷
公営住宅法は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸する
ことにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするもので
あって(1条)、そのために、公営住宅の入居者を一定の条件を具備するものに限
定し(17条)、政令の定める選考基準に従い、条例で定めるところにより、公正
な方法で選考して、入居者を決定しなければならないものとした上(18条)、さ
らに入居者の収入が政令で定める基準を超えることになった場合には、その入居年
数に応じて、入居者については、当該公営住宅を明け渡すように努めなければなら
ない旨(21条の2第1項)、事業主体の長については、当該公営住宅の明渡しを
請求することができる旨(21条の3第1項)を規定しているのである。
 以上のような公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合に
は、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はないと
いうべきである。