あの車両を訪ねて

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京王れーるランドの保存車両群/京王れーるランド

2017-08-08 | 東京都


新宿から東京西部へと路線を延ばす京王電鉄。2012年からはVVVF化率、ステンレス車率を100%とし、比較的新しい車両ばかり走る同電鉄ですが、かつてその鉄路を走った車両たちが余生を過ごす施設があるのは、ご存知の方も多いことと思います。その名も、「京王れーるランド」。



動物園線の終点である多摩動物公園駅のすぐ隣に設置された「京王れーるランド」では、シミュレーターや大ジオラマ、プラレールコーナーと言ったアトラクションの他に、実車の展示、また実車を用いた体験コーナー等が設置されており、保存車オタクとしても目の離せないスポットとなっています。



入口で入場券を購入し、道を挟んで反対側にある屋外展示場の改札を抜けると、そこには5両のカラフルな車両達が綺麗に並んでいました。

保存されているのは、上記の画像右手から以下の5両となります。
・2400形デハ2410
・2010系デハ2015
・5000系クハ5723
・3000系クハ3719
・6000系デハ6438

では、それぞれの車両をご紹介して行きましょう。



まずは、当園で最も古い2400形デハ2410から。
ルーツとしては、1940年に製造された制御車の400形まで遡ります。その後電装され、更に形式が2400形デハ2400へと改番。また1963年には昇圧工事及び支線区転用工事を受け、220形デハ222へと再度車番が変更されます。
京王線のATS化が行われた1969年まで現役を貫いた同車は、引退後は現番号へと復元(220形改造時に改造された箇所は存置)され、京王平山城址公園駅近くにある研修センター内に保存されました。当園のリニューアルオープンに合わせてこちらへ移設され、丁寧に展示されています。



展示車両の内、デハ2410を含む3両の車内が公開されています。ですが、デハ2410は老朽化の問題から、一部にしか立ち入ることができません(画像のすぐ手前に仕切りが設置されている)。黄色く塗装された車内は非常に印象的ですね。



続いては、2010系デハ2015をご紹介します。
2010系は、1957年に全電動車として登場した2000系を更に発展させ、MT比を1:1の経済的な車両として1959年に登場した形式です。その後登場した5000系はこの形式の機器構成をほぼ引き継いでいるなど、京王の隠れた名車、と言ったところでしょうか。
このデハ2015も、デハ2410と同じく廃車後は平山にて保存され、当園のリニューアルと共にこちらへと移動してきました。



デハ2015も車内が公開されています。デハ2410よりかは現在の車両に近づいた感じがしますね(笑)



こちらは説明する必要も無いでしょう…京王の誇る不朽の名車、5000系クハ5723です。
1963年から製造され、大型化、昇圧、そして高速運転を開始した新生京王帝都電鉄(当時)を象徴する車両として活躍しました。営業用車両としては1996年引退と既に20年以上が経っていますが、地方へと転じた車両が各地で元気に活躍しており、その勇姿を今でも見ることが出来ます。
クハ5723は1996年のさよなら運転に充当された編成に組み込まれていた車両で、引退後は上記3両と同じく平山で展示され、その後こちらへ転じてきました。



クハ5723の車内は、もはや見慣れた鉄道車両のそれと言ってもおかしくはないものになっています。くすんだロングシートは、活躍の証と言った所でしょうか。。。



こちらも5000系と同じく京王史に名を馳せる名車、3000系クハ3719です。
1962年から製造が開始された3000系は、井の頭線の旧型車を駆逐し、グリーン一色の電車ばかりだった同線に現在まで引き継がれるカラフルなイメージを確立した形式です。比較的近年まで活躍したために勘違いされがちですが、実は5000系より1年早く誕生しているんですね。しかも、初期の編成も含めて70両以上が地方私鉄へと譲渡され、現在も欠けることなく活躍していると言うのだから凄いことです。

3719Fの吉祥寺方先頭車として活躍したクハ3719は、2009年に運用離脱した後も富士見ヶ丘検車区内に1両のみ残されていました。その後2011年に搬出され京王重機北野事業所へと陸送され、各種整備を受けて当園へと搬入されました。
残念ながら車内は公開されていません。もっとも、先述した通り地方に譲渡された多くの車両が現役で活躍していますので、気になる方はそちらまで。



屋外展示場最後の展示車両は、6000系デハ6438です。
6000系は1972年に登場した京王帝都電鉄(当時)で初の20m級車両です。またワンハンドル運転台も当形式で初めて採用されており、その流れは最新型の5000系(二代)にも汲まれています。
保存されているデハ6438は、2連である6438Fの新宿方先頭車でした。元々は1989年に京王線専用の6420Fとして製造された車両で、1993年に都営新宿線乗り入れ改造が施工され30番台の続番へと編入された経緯を持ちます。
2009年の運用離脱後は若葉台検車区にて保管され、4年の月日を経て晴れて当園での保存・展示が開始されました。1989年=平成元年製造であり、こんな新しい車両も保存される時代になったのかと驚きを隠せないところです。。。

さて、ここからは本館にて保存…と言うよりは活用されている車体をご紹介します。



まずは、運転シミュレーターに転用されたクハ6722から。こちらは2011年に引退した最後の6000系こと動物園線用の6722Fの新宿方先頭車でした。引退後は後述するクハ6772と共に車体の前半分のみが京王重機北野事業所へと搬入され、更に車体長を短くした上で本館へと搬入されました。運転台は運転体験整理券を持っている人しか入れませんが、客席部は自由に立ち入ることができます(大したモノはないですが)。



そしてこちらは、クハ6722とは反対側の先頭車であったクハ6772のカットモデルです。



車掌体験用として活用されている同車。運転台、客席には自由に立ち入ることができ、車内アナウンスやドア開閉(この画像とは反対側の扉が開閉する)を体験することが出来ます。また、こっそりと灯火類にもいじれるものがあったので、気になる方は実際に現地へ。
クハ6722とは違い、こちらはドア直後の座席も残されています。窓際ギリギリに設置されているため、内部からは満足に記録できないのが難点。。。



多摩動物公園駅ホームより。

…という事で、京王れーるランドにて保存・活用されている車両を紹介させて頂きました。
子ども達の歓声に囲まれながら余生を過ごすこれらの車両達。展示のあっさりさがとても好印象だったので、こういう所増えて欲しいなあ、なんて思わされる施設でした。

〈物件データ〉
設置場所:東京都日野市 京王れーるランド内
公開時間:9時半~17時半

撮影データ:2017年8月4日11時頃




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