見習い百姓のつぶやき

宮仕えも一段落、半農半Ⅹを本格化。農的暮らしとさまざまなⅩを悩んで、楽しんで一歩づつ。

機織りが自己完結する地域に~第7回 新庄の部屋

2018-11-19 18:30:52 | 新庄の部屋

 いずれの道も、究めようとすると奥が深いものですね。
 特に、古来から受け継がれている我が国の伝統技術の奥深さは、本当に誇らしく思えるものです。
 しかし、その誇るべき伝統技術も経済化、効率化の波に飲み込まれてその継承が困難になり、消えゆく技術の何と多いことか。

機織り作家・矢野まり子さん
 昨日は、第7回新庄の部屋、ゲストは、全国に数人しかいないという繭から糸を紡ぎ、染色、機織りまで一人でこなしてしまう機織り作家の矢野まり子さん。
 美道師・中山ひろみさんとのトークは、時間を忘れて予定を遥かにオーバー、それもむべなるかな。
 養蚕こそしないものの、繭から糸を紡ぎ、紡いだ糸を撚り、稲わらを燃した灰で煮る、自分でデザインをし、山に入って染色に使う草木を採集してきて糸を染め、それを織る。


機織りが自己完結する地域
 これは面白くて深い!という話がてんこ盛りですが、未来に向けての彼女の夢だけ紹介しますね。
 それは、この地域で機織りの物語が自己完結する地域にしたいという壮大な夢。
 絹織物産業で地域が選択し盛んだった養蚕は、今は完全に途絶えてしまい、その他の工程に関わる産業も殖産しなかったためにほぼないに等しいが、紫根や茜を苦労に苦労を重ねて作り始めた方がある。

 それが彼女の夢に火をつけた?かどうかは定かではありませんが、伝統産業の灯は消せない、そして、地域の未来のために、機織り産業が自己完結する地域を作りたいという熱い思い。
 今、それに呼応しようとする熱い女性たちが現れ、紫根や茜も土地の深いエネルギーを得て、自然農業で素晴らしい品質のものができるのではないかとの夢。
 それが可能になるとすれば、後は養蚕に関わる難事業と後継者問題でしょうか。
 後継者は、機織りもですが、支える百姓仕事に情熱と誇りが持てる、そんな変わった若者?

広く深い機の世界
 話を聞いていると、まり子さんの織った反物で仕上がった着物の光沢の見事さや、草木で染めた糸の奥深い味わいと相まって、恍惚としてしまいそうに思える、いや、そんな世界を眼に認められそうな参加者の皆さんの表情、本当にステキなステキなお話会でした。
 そうそう、灰汁で煮だした絹糸、近代化学のお陰を被ったものと全く違う、それは染めも一緒なんですね。
 人の手をかけるということは、人の思いが必ず乗っかっていく、意識が全てのことを成す根源とするならば、手をかけただけ、思いを込めただけ深く素敵なものができる。

 写真の中央下に映り込んだ染色された糸たち、こんな素敵で深い色が出るんだ!
 機の世界、広く、どこまでも深い。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋の野山は、、、 | トップ | ツチグリ坊やと久松山のエネ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
何時も楽しく拝見しています (遥か枚方より)
2018-11-20 05:15:56
何時だったか コメントしましたが 現在は納屋になっている場所に かなり大きな藁葺の二階建ての古家が建っており 二階が蚕棚になっていました シャンシャンと言う音が聞こえて 桑の葉をリズミカルに食べていた様子が 思い浮かびます 祖母が夜 糸巻き機を回して糸を紡ぎ 冬に私の背中に 寒さをしのぐために 真綿を入れてくれたことが昨日のように 眼に浮かびました ご縁のある話でした  
返信する
蚕棚 (管理者)
2018-11-20 20:07:50
そうお話なさっていましたね。
矢野さんには、昔はここにも蚕棚があったそうですよ、ってお話しました。

そう言えば、糸を取り出して紡ぐ糸巻き機、バラバラでしたが、部品が蔵の2階にありました。
何かに使える、子どもたちに見せてやりたいと思って、一部は納屋に取ってあります。

綿入れが真綿だったとは!
スゴイことですね。
返信する

コメントを投稿

新庄の部屋」カテゴリの最新記事