ー沖縄問題は構造的差別の問題ー
8月27日(土)の講座Ⅱは、佐藤優さん(作家・元外務省主任分析官)が、「沖縄と日本」と題して、およそ650人の聴講者を前に、民族や差別の観点から講演しました。
沖縄の問題が日本人の間で理解されないことの背景には民族の問題がある。イングランド人やロシア人は、スコットランド人やチェチェン人の独立運動のことを理解できない。日本と沖縄の関係も同様で、多数派は少数派を理解できない。
1952年のサンフランシスコ条約締結までは、日本全土が占領下で「平等」だった。しかしその後は沖縄が差別され続けている。1952年当時、在日米軍基地の比率は沖縄10%対本土90%だった。現在は日本の面積の0.6%にすぎない沖縄に74.5%もの基地が集中している。
基地と原発の問題を同一とする考え方があるが、過程が全く違う。原発は一応「民主的」手続きを経て合意の上に成り立っているが、沖縄の基地は強制的に接収されたもので、民意の承認を得ていない。
米軍属の男による女性強姦殺害事件について、翁長知事はオバマ大統領来日に際し直接訴えたいと考えていた。しかし政府は「外交は政府の専権事項」としてこれを認めなかった。東京で同様の事が起きたらどうなるのか。沖縄人と日本人の命は等価なのか? 沖縄と日本のギャップは広がり、不可逆的な状況になっている。沖縄を犠牲にしてまで日本全体のために働く意思はないというのが沖縄人の多数派になりつつある。日本人の当事者性が問われている。
フロアからは70余りの多様な質問が寄せられましたが、沖縄関連では、「政権の中枢にいる人たちが沖縄問題を理解していない。ここ数年の中央政府の沖縄に対するやり方は余りにも無神経」「地政学的に沖縄基地は必要という考えは全く間違っている」「沖縄の貧困問題は深刻だ。基地を縮小する方が貧困の解決につながる」などと述べました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます