NPO・999ブログ    本を読んで 考える力を養おう

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フィトンチッド

2020年07月24日 | 臥龍つぶやき
 毎日コロナウイルスのニュースがある。私たち人間は医療機関へ行けば検査も治療もしてもらえる。身近にある植物・木は歩くことは出来ない。しかし自らフィトンチッドを放出して病原菌・害虫・食害などを防いでいる。森林浴という言葉があるが、人が森に入ってフィトンチッドのシャワーを浴びて病気回復をし、また健康向上に努力している。
 フィトンチッドとはロシアの発生学研究者B.P.トーキン博士によって、1930年代に作られたロシア語の造語である。「フィトン」は「植物」を意味するギリシャ語。「チッド」は「殺す」を意味するラテン語に由来するという。
 フィトンチッドとは本来「植物から放出され他の生き物を殺す」物質と言う意味のこと。フィトンチッドの作用する範囲は原生動物、微生物に限らず昆虫や動物の範囲まで及ぶ、と東京大学・谷田貝光克(やたがいみつよし)教授が述べている。
 その働きは、根から地中にフィトンチッドを出して、他の植物が自分の根にはびこるのを防ぎ、自分のテリトリーを守ったり、におい物質を大気中に放出し他の植物の発芽を抑えたり、害虫に対しては虫の嫌いなフィトンチッドを出して虫を追い払ったり、殺虫力のあるフィトンチッドを発散する植物もある。花粉を運んでもらいたいときは虫を引き寄せるフィトンチッドもある。木を腐らせる腐朽菌に対して抵抗力のある物、病原菌を抑えるフィトンチッドを作れる植物もある。
 フィトンチッドは植物の世界に影響を及ぼしているばかりでなく、人間も歴史の中で薬などその恩恵を受けてきている。フィトンチッドは森林浴のようなときに木が放出する揮発性のフィトンチッドの他にも、ヤニ成分など個体のものなど多種多様である。
 木はセルロース、ヘミセルロース、リグニンで構成されているが、シロアリは腸内にセルロース、ヘミセルロースを分解する酵素を持つ原生動物を棲まわせて気を食害する。また、白アリは「林のゴミ」の掃除屋でもある。強い抗菌活性を持つヒノキチオールを白アリに投与すると腸内微生物が消失する。ヒノキチオールは木材腐朽菌を抑え、カビ、細菌、ピロリ菌にも、風呂場の黒コウジカビなどカビ類にも抗菌作用が認められているという。桜の葉、クマ笹、柏の葉は抗カビ作用、ヒノキ、サワラのにおい成分は抗菌作用、抗酸化作用があると言われる。ニンニク、ワサビは強抗菌作用がある。フィトンチッドは、生活に恵みをもたらしてくれる天然物(植物・木)である。
 以上は書物からの知識である。再考してみるのも良い機会かもしれないと思う。時々山に行くと、山林は荒れたままのところが多い。私たちが払っている森林税は有効に使われているだろうか? 森林にも目を向け、荒廃を止め再生を願うばかりだ。

信州岩波講座・高校生編も「中止」に

2020年07月20日 | 高校生編
 記念すべき20回目の「高校生編」は、9月1日(火)開催の予定でしたが、新型コロナウイルスの猛威がいっこうにおさまらず、やむなく中止と決定いたしました。
 この災禍を乗り越えて、ふたたび「高校生編」を開くとき、ステージ上でどんな対話がかわされるのでしょうか。次回にご期待ください。