NPO・999ブログ    本を読んで 考える力を養おう

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最近読んだ本から

2019年07月17日 | 臥龍つぶやき
『フケ声がいやなら「声筋」を鍛えなさい』(晶文社)  

「健康寿命」に関心が高まり、さまざまな健康情報が溢れる昨今、これもそんな風潮に便乗した一冊かというとそうではない。著者の渡邊雄介さんは、山王病院東京ボイスセンター長という肩書をもつ音声言語医学の専門医である。コーラスグループに入っている妻が、指導者の勧めで買ってきたのだが、長年「声」をつかう仕事に携わってきた身として、勉強になるのでは、という期待から手にとってみた。
 帯には「健康や長寿のカギは『声』と『声筋』が握っている」と書かれている。「声筋」とは耳慣れない言葉だが、声帯の動きに関わる筋肉(群)だという。健康のためにウオーキングなどさまざまな運動を日課にしている人は多いが、声のトレーニングまでしている人は少ないだろう。日々の暮らしの中で声を出す機会(時間)が減ってきたと感じてはいても、声の変化に気付き、それを健康と結びつけて考える人はそう多くないのではないか。しかし、声は健康や長寿とも密接に関わっているというのだ。「声筋」を鍛えるためのエクササイズについても多くの紙幅が割かれているのが嬉しい。
 
蛇足。「あの人は良い声だ」というような言われ方をするが、絶対的なものではなく、好みの要素が大きい。NHK世論調査風に言えば「人柄が信頼できないから」声を聞くのも嫌だということもある。私にとって、毎日のようにテレビに登場するAb、Sgといった人の声がまさにそれだ。傲慢さや不誠実さが声に表れている。(M/K)