NPO・999ブログ    本を読んで 考える力を養おう

「自分のできることを できる時に できる処で」
市民的知性の地平を拓くNPOふおらむ集団999

「古本市場」に総額52,940円集まる!

2011年09月16日 | 古本市場


 信州岩波講座にあわせて開催された第5回NPО・999「古本市場」に、今年は会員、賛助会員、一般からの本の提供が多く、また東日本大震災義援金にするということもあって、たくさんのお金を入れてくださる方もありました。講座Ⅰでは15,710円、講座Ⅱでは18,205円、講座Ⅲでは19,025円のカンパをいただき、総額52,940円となりました。良質の本を大勢の方に持参していただいたお陰です。ご協力ありがとうございました。
 東北被災地の子どもたちへプレゼントする本の資金に提供します。これからも、もっともっと本を並べたいですね。 

「絆」 ~被災地へ絵本を届けて~

2011年09月08日 | 信州岩波講座



 3.11東日本大震災から5か月目となる8月11日、第13回信州岩波講座の一環として、信州岩波講座実行委員会と須坂市の読み聞かせの会有志の共同事業として大津波で被災した、岩手県下閉伊郡山田町の私立保育園3館(園児数約170人)に岩波書店の絵本330冊、須坂市民厚志の絵本300冊、合わせて630冊を届けました。
 今回の図書贈呈では、単に絵本を贈るのではなく、昨年結成された「須坂市子ども読書活動支援研究会」有志の方による読み聞かせを併せて行い、子どもたちに直接絵本を手渡しました。
 
 山田町大沢地区の高台に上がっていた時のことです。住宅の基礎しか残っていない町並みの中を、自転車に乗った男性が走り、基礎だけ残された家(ご自宅だと思います)の中にぽつりと座り、じっと動かずにただ見つめている姿がありました。
 この衝撃的な光景に、「断たれた絆」をつなぎ合わせることに絶望感を感じました。一瞬で絆を断たれた人に、「がんばれ」と声をかけることの残酷さも感じました。

 しかし、訪問した保育園の子どもたちは、読み聞かせに眼を輝かせて聞いてくれました。悲しみや心の傷は癒えていないと思いますが、私たちが日ごろ目にする子どもたちの輝く眼と何ら変わりはありませんでした。
 子どもたちの眼に、私たちはどう応えるのか。それは断たれた絆をつなぐことだけでなく、新たな絆を作り出していくことではないかと思います。自ら動きつながっていくこと。大それたことでなく、小さなつながりを作り続けていくことが必要と強く感じました。
 
 被災地を訪問し、子どもたちの姿を見、保育園の皆さんから学んだのは、被災地の皆さんに「絆」を求めるのではなく、被災地の外に住む私たちが「絆」を結んでいくことが、復興の大きな力になるのではということでした。被災地に掲げられた「がんばれ」は、被災地の人ではなく、私たち被災地以外に住む者に投げかけられた「がんばれ」ではないかと思います。被災地の外にいる私たちが紡ぎだす「絆」こそ、大きな転換期の今、希望を見出す鍵の一つとなりえると思えてなりません。(kobayashi)

原発事故をメディアはどう伝えたかー講座Ⅱに750名余

2011年09月02日 | 信州岩波講座
 

 鳥越俊太郎さんの講演、2部は桂敬一さんとの対談で行われた第Ⅱ講座は、およそ男女半数の参加のようでした。鳥越さんは、楽しく勉強してもらいますと前置きしながら、民謡を1曲歌ったり、自身の癌治療の話、イギリスの暴動などに時間を割いて本論「原発事故と報道」へ。
 「自民党が原子力発電を進めてきた、民主党がその尻拭いをしている。ノーと言っているのは社民党と共産党だ。原発はひとたび事故になると国民に大きな被害を及ぼすものだ。原子炉は厚い鋼鉄で覆われて安全のように見えるが、実は配管だらけで危険だ。」「私は、事故後4月4日に、福島原発の正門まで行って取材した。メデイアは(例えばNHK)、福島原発の20,30キロメートル圏内の状況を報道できなかった。何故報道しないのか。それをするのがメディアの使命ではないか。」と講演しました。
 メセナジュニアオーケストラ演奏に続いて、対談は、元東大新聞研究所教授の桂敬一さんの進行で行われ「メデイアは、被災地の内部被ばくまで取扱ってこなかった」「広島・長崎原爆で(米国ABCCがデータを持っていたのだが)1970年代に結婚した女性から生まれた子供に障害があったり、被爆で染色体に異常をきたし不妊なども生じていた。子供だけでも内部被ばくを避けるため疎開を考えたらどうか」「福島県で妊婦と子供にガイガーカウンターを持たせたが、自己責任と言わんばかりだ、これをメデイアが批判しないのはどうか」「今後、原発をどう扱うか、朝日・毎日・東京新聞は反原発で読売・産経・日経は必要だと言っている。これは日米安保と同じ図式だ。メデイアのとらえ方が国民を動かしている」と鋭く質問を浴びせ、会場から拍手が沸き起こる場面もありました。(ishiki)

変革の長い道のり――新たな絆を求めて 第13回信州岩波講座2011開講される

2011年09月02日 | 信州岩波講座


 2011年信州岩波講座が始まった。8月7日の講座1は樋口恵子さんと上野千鶴子さん、聴講者は800人強で、8割以上が女性でした。先ずはじめに樋口さんは、「大介護時代の女と男」と題して(79歳という年齢を感じさせない歯切れのよい力強い口調で)「今は大介護時代、2000年に介護保険法が施行され大きく変わったしかし、当時考えていた介護より2~4倍増えている。新聞の死亡広告を見ても90歳代になってきている。平均寿命が伸び家族介護に大きく変化が出ている。一人暮らし老人、二人暮らし老人、高齢者と未婚の息子の世帯が全体の70%にもなりつつある。家族での介護力が低下している。昔は親の介護で、子供がタライ回しすることもあったが、親の長生きと少子化で高齢化した子供が親を介護することや、妻と夫の両方の親を介護することも出てきた。(1)介護は人間以外にない行動で人間の証明だ。(2)この介護をどこに(妻だけ、施設、夫)位置づけるかで品格が決まる。(3)介護する人が幸せでないと、介護される人は幸せでない。家族だけではどうしようもない時代に来ている。「無縁社会」ではない支援のある有援社会(やがて有縁社会)を作っていく必要がある」と話されました。
 次の上野千鶴子さんは、「おひとりさまを最期まで支えるネットワークづくり」と題して、介護に関する施設をスクリーンに映しながら、超高齢化時代における施設を説明、自分自身がお一人様ということもあって「在宅一人死は、ひとさまが支えてくれれば可能で孤独死とは言わない。(1)24時間の巡回訪問介護、(2)訪問看護医療、(3)医師の三点セットがあれば単身でも死んでいける。いろいろ介護や看護付きの施設があるけど、自分の居宅があればそこで介護サービスを選んで受けるのが一番いい。昔は施設入所は、家族がいない人が主、今は家族がほとんどいる。家族は、もっと施設を作ってくれと言うが、本当は本人は自宅にいたい。今、子供が少ない、結婚が一生ものでない(離婚も多い)長生きで子供に先立たれることもある、家族持ちでない人も多いという中で、家族や親族に代わる支援、お一人様を支える人のつながりが大切」と結ばれました。
 第二部の対談は、上野さんが進行しながらも、樋口さんの独り舞台のようで、上野さんが話の方向を修正したり、お一人様の上野さんとは違った、娘を持つ樋口さんは、「私が介護を受けるようになったら、ちゃんと面倒見なさい、お世話になった、あのご夫婦(子供がない方)もね」としっかり言いつけている。だって、苦労して育てたんだもの、当り前よ」「中年よ妻子を抱け、老年よお金を抱けでなくちゃ」。 
 上野さんはあくまで、「介護はお一人様仕様にしてほしい」介護の内容充実の為には、保険の本人負担や税も増やして、お金のあるお年寄りはお金を出せばいい」と。
 時間をオーバーしての対談で、終了後の舞台裏でお二人が「楽しかった!」と言っていたことは印象的でした。(ishiki)