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第17回信州岩波講座2015報告

2015年10月22日 | 信州岩波講座
第17回信州岩波講座2015は、「未来へ人間らしく―『戦後70年』からの出発」を基本テーマに3つの講座を実施しました。
戦後日本の歩みを支えてきた憲法が、政府によって踏みにじられようとした敗戦後の原点に立ち返り、人間らしく生きられる社会を築くために再出発しようということが、テーマにこめた考え方でした。



○澤地さん 旧満州体験を踏まえて
★講座:講演 澤地久枝氏(ノンフィクション作家)
「希望〟を守る旅」
質問に答えて 澤地久枝氏×工藤信一氏(信毎論説委員)
澤地久枝さんが「旧満州」で過ごした自らの戦争体験を出発点にしながら、民意を全く顧みようとしない現政権の手法に対し、「アベ政治を許さない」と、ノンフィクション作家として歴史を検証してきた立場から厳しく批判されました。
 
○上野さん、金子さん 政策に厳しく
★講座:
講演① 上野千鶴子氏(社会学者)「戦後70年、日本の女性は幸せになったか?」
講演② 金子勝氏(慶應義塾大学教授)「アベノミクスと地方創生は何をもたらすのか」
対談 上野千鶴子氏×金子 勝氏
上野千鶴子さんと金子 勝さんが、学者としての専門的な観点から、「ネオリベは男女格差を生んだ」「安定雇用を保証し、長時間労働をさせないことが少子化対策にもなる」「アベノミクスは破綻する運命にある」「今のやり方で地方は豊かになれない」などと、安倍政治の問題点を明らかにしました。

○山田さん「ちょっと待つ」大切さを
★講座:講演 山田太一氏(脚本家・小説家)「80年を生きて」
質問に答えて 山田太一氏×丸山憲司(信州岩波講座企画委員長)
山田太一さんは、人間と時代の関わりを見つめてきた脚本家の視点から、「不自由さの魅力」や「便利にはなったが余情が無くなった」ことなどに触れながら、効率や経済性ばかりが偏重される世の風潮に対し、「ちょっと待つ」ことの大切さを説かれました。

会場には若い層の姿も 安保法案審議の追い風
3講座ともに、会場からの質問も交えた対談があり、講演を更に深みのあるものにしました。
聴講者は3講座合わせて約2,300人と昨年を大幅に上回りました。安倍政権の横暴ぶりに対する批判が高まる中での開催で、内容がタイムリーだったことも要因の一つと考えられます。