NPO・999ブログ    本を読んで 考える力を養おう

「自分のできることを できる時に できる処で」
市民的知性の地平を拓くNPOふおらむ集団999

信州岩波講座十則

2011年04月19日 | 信州岩波講座
信州岩波講座の十則
                       
一、目的の第一は、「活字文化の活性化と擁護」です。文字と文章がこの国の文化つまり人々の考えることの基礎になっていると思います。そして、「本を読んで 考える力を養おう」と主張します。
二、地域に根ざした文化活動として定着することを願っています。文化が特別の「文化の日」のためにのみあるのではなく、日常の、生活や暮らしの中にあるそんな社会が理想です。
三、市民が中心の文化運動です。自発的に参加する個人の自主活動が支えます。その活動の理念は「自分にできることを、できる時に、できる処で」としています。
四、「市民の目線」「時代の要請」「等身大の事業」、この三つの要素が信州岩波講座の枠組みを創る原則です。専門的に過ぎず、しかし通俗に流されず、時代と併走しながら市民に必要な知識の伝達と学びの場を提供したいと念願します。
五、岩波書店は、冠を提供し信州岩波講座の水準と方向性を約束します。岩波書店の学術図書を中心とした出版活動の歴史と姿勢は、日本の「活字文化の良心」を象徴するものであると思います。
六、信濃毎日新聞社は、信州岩波講座誕生の母体であり、長野県最大のメディアとして「市民の文化運動」を保障します。また、岩波書店との長い友好の歴史と併せ「活字文化」の担い手たるを共有します。
七、須坂市は、会場を提供し市民文化の町づくりを目指しています。市民のよき介助者として行政が責任を担い、長期かつ計画的に事業が展開される土台を保障しています。
八、NPО法人ふおらむ集団999が、企画演出を担当します。そして、運営の責任を負い運動の主体をなします。その周囲に多くの市民の共感と結集を望みます。
九、信州岩波講座はメディアです。国内外の当代一級の有識者を招いて「聞く・語る・話し合う」ことから自ら学ぶフォーラム(討論の広場)です。特定の団体や企業の主義主張や宣伝の具ではありません。
十、信州岩波講座は、須坂市を拠点に全国へ発信します。自治体・出版社・新聞社・市民グループがクォーターをなし互いに協力する全国初の市民による文化運動です。

1999年宣言

2011年04月19日 | ミッション
一 九 九 九 年 宣 言
                    信州岩波講座/ふおらむ集団九九九
明治建国の先駆者坂本龍馬は、幼時より故郷土佐の地から海原はるかに拡がる太平洋を眺め、国の行く末を考えたという。
 二一世紀が間もなく始まろうとしているいま、この国は改めて開明が求められているように思える。政治が国民の信頼を失って久しい。教育がまったく方向性を見失っている。強いといわれてきた経済までも“おごれる者はひさしからず”の譬えに違わず失速した。その結果、国民のモラルは地に堕ち、子どもたちの社会的諸事件や教育現場の混乱が日増しに増加している。いまこそ、文化の質が問われている。文化が〔力〕となることが求められている。
 山国信州は、水平線をみることができない。地平線さえも想像の彼方である。しかし、この大地にしっかり自分の足で立てば彼方の地平が眼前に広がることを知る。市民が、一人ひとり自立した意志をもって文化を日常のものとしたとき、この国の未来もまた再び拓けるものと信ずる。
私たちボランティア・グループ「信州岩波講座/ふおらむ集団九九九」は、市民的知性即ち市民のモラルの地平を拓くための地下水の役割を担う。古い歴史と市民文化の伝統をもち、いまもそれを守り育んでいる信州須坂で私たちは信州岩波講座の旗を掲げ、一九九九年より出発する。
 故安江良介岩波書店前社長は、一九九五年松本市での「大江健三郎講演会」の前段の講演の中で、『私たちは、いま大変な時代に生きている。二一世紀の人類の課題は、①地球問題、②問われる国家の枠組み、③最も深刻なのは科学技術の無限の発達。』と警世の言葉を遺している。
 私たちの思いはここから出発している。この言葉の重みを背負いながら有識者の知恵を市民に開放・交流し、もって市民の行動と思考の礎となることを願うものである。
 須坂から始まったこのともしびが、やがて各地に点火して燎原の火の勢いを得るならば、確実にこの国の市民文化は、その地平に創造的時代を築くことができるだろう。   以上            一九九九年四月三日

信州岩波講座基本計画

2011年04月19日 | 信州岩波講座
信州岩波講座基本計画

《前文》
 須坂の地は、古くは北國脇往還松代通り(別称、谷街道又は北國裏街道)と菅平高原を経由する群馬方面からの大笹街道の要衝として栄え、近代に至ってその蓄積された富を元手に製糸産業が勃興した。戦後は通信機製造業が盛んであった。
 教育文化面では、明治、大正期からの中等教育の普及、戦後の公民館活動の活力によって小粒ではあるが種は既に蒔かれており、土壌は涵養されている。名もない草の種は土の中に無数に眠っているが、一定の条件を満たされないと発芽しない。その条件は、気温であり、陽の光であり、水でありいろいろあるだろう。いまその条件づくりの火付け役が求められている。
 ウィーンを、音楽の都たらしめているのは、音楽を学んだ人たちが普通の市民生活の中で、音楽を楽しんでいることが楽都としての名声を不動のものとしているという。
 須坂では時あたかも「ブックランド」構想がある。本を作って、保管していただけでは“仏作って魂入れず”になってしまう。ウィーンのように、市民がその生活のごく自然な一部分として読書(会)や講座、あるいは公開討論などを根づかせることが出来たならどんなにか素晴らしいだろう。
 須坂市が現在進めている江戸時代からの四〇〇軒を超す県下屈指の土蔵屋敷の保存やメセナホールを中心にした文化拠点づくりの中に「信州岩波講座」が位置することによってその町づくりは一層しっかりした哲学をもつと言えるのではないだろうか。
 
 一方、活字文化の危機が言われて久しい。本が読まれないという。とくに若者の活字離れは深刻である。例えば、岩波新書は、一九七〇年代半ばまでは読者の半分は大学生だったという。それがいまは一割程度でしかない。日本社会全体をみても七〇年代半ばから、一般的に若者の読書人口は激減していく。そして、この本を読まなくなった層が今日、社会の中枢になろうとしている。 「人間は考える葦」とは哲学者パスカルの言である。人は長い間、字を読み、書くことによって人間形成をしてきた。人が本を読む力を失うとき、考える力も失うのではないか。読書力の衰えが思考力の劣化を招くとすれば、まさに「人間」が変わる。人間の文化が変わる。最近、頻発する子どもたちの言語を絶する非行は、そのような背景の“負の表れ”ではないだろうか。

 岩波書店は一九一三(大正二)年の創業以来一貫して、学術・文化の総合出版社として、その歩みを続けている。一九二七(昭和二)年に古典の普及をめざして岩波文庫を創刊し、一九三八(昭和一三)年には前年に始まった日中戦争とその時流に抗して岩波新書の刊行を開始した。また、第二次世界大戦における日本の敗戦を天譴とし、再び戦争をしないという国民意識の形成のために、雑誌「世界」を創刊した。岩波書店は学術文化の振興と社会進歩の志をかかげ、今日ますます出版の本道を歩もうとしいる。
 信濃毎日新聞は、長野県民の主読紙として一二五年余の歴史の中でたえず地域社会の文化と産業の興隆に役割を担ってきた。岩波書店の創業者岩波茂雄が長野県出身でもあることから、両社は長く深い友誼の絆で結ばれている。近時、故安江良介岩波書店前社長は六年間に亙って「今日の視角」にレギュラー執筆者として健筆をふるい、講演会や出版活動でも特別な関係を築いてきた。
 また、信濃毎日新聞社は新聞社の諸機能を駆使して、県民の文化的要求、スポーツの振興等に特別の貢献を惜しまなかった。
 われわれは間もなく誰しも新しい世紀のスタート台に立つ。二一世紀はどのような世紀になるのか。いかなる世紀にしなければならないか。われわれの前におかれた課題は極めて大きい。より広く、より深く考えることによって、よりよい実践をなし得たい。これがこの講座にこめたわれわれの思いである。

 「信州岩波講座」は、須坂市、岩波書店、信濃毎日新聞社の三者の枠組みを基礎に《市民》が主体となって構築されることが必須の条件である。二一世紀に須坂市が、真に市民文化の花開く町になっていくことがわれわれの共通の願いである。「信州岩波講座」が、その為の地平を拓く役割を担うことができれば、蒔かれた種は必ずや芽吹くであろうと確信する。

NOP法人ふおらむ集団999とは

2011年04月19日 | ミッション
 ふおらむ集団999は、「市民の文化運動」とする信州岩波講座(岩波書店、信濃毎日新聞社、須坂市およびふおらむ集団999を主な構成団体とする実行委員会主催、開催地長野県須坂市)の実行グループとして1998年7月に発足した文化ボランティアグループがはじまりです。2006年12月NPО法人に衣替え、07年3月長野県から認証されました。
 発足からもっぱら信州岩波講座の基本テーマの策定、企画や開催の諸活動、広報・出版活動などを実践してまいりましたが、NPО化と同時に事務局所在地でもある県都長野市での独自事業の開拓にも意を注いでおります。07年08年と講演会を開催、そして09年から「哲学カフェ」と称して、より地域密着、参加型の脱講演会「談話会」形式を主とする事業展開をはかっております。とくに08年の講演会は999創立10周年を記念し哲学者の内山節氏を講師に、およそ300人の聴講者を集めました。また09年からはじめた哲学カフェでは、09年「松本清張生誕100年記念」とし文芸評論家で清張研究家としても名高い権田萬治氏に3回講師をつとめていただき、10年は「宮沢賢治イーハトーヴの世界」として7月講師に原子朗氏(早大教授、宮沢賢治イーハトーブ館館長)、10月講師、松本猛氏(安曇野ちひろ美術館館長)の2回集会をひらきました。10月集会には、「雨ニモマケズ」詩の朗読大会として応募した市民に自作の詩を朗読していただきました。
 07年から信州岩波講座会場ではじめたNPО・999古本市場は、会員はじめ一般の市民から「家の奥の本棚で眠っている良書」の提供を求め、本を求める方には100円以上のカンパをいただき持ち帰っていただくとする制度で、集まったカンパ金は毎年「世界の恵まれない子供たちへ良書のプレゼントを」の趣旨で日本ユニセフ協会(東京)へ寄贈しています。昨年まで4回計25万円を寄付しました。
 いま、2013年の999創立15周年を目途に、2010年から「町の図書館」構想とする施設の確保を長野市に持ちたいとする活動を始めています。「古本市場」も町へでようと模索しています。さらに自主出版や、創立20周年には「市民の文学賞」の実施を念願としています。

 われわれは、信州岩波講座を20年、30年継続しようと宣言しました。なによりもわれわれは、信州岩波講座の第一の目的である「活字文化の活性化と擁護」を大切に、「本を読んで、考える力を養おう」の呼びかけのもと、地域社会で自分のできることを、できる時に、できる処で活動していきます。