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温泉に入るサルたち

2021年05月11日 | 臥龍つぶやき
温泉に入るサルたち
 温泉 に入るサルで有名になった地獄谷野猿公苑。サルたちは山から下りて、雪の降る冬には、よく温泉に入っている。温泉に入るのは雌と子ザルが多く、大人のオス猿が入ることはあまりない。
 サルたちは、仲間で毛づくろいをしたり、ゆったり風呂に入っている。年配の雌ザルは、湯治に来ているかのようにのんびりして、体が温まると、うとうと目を閉じ居眠りをしている。人と同じで寒さに堪えるのだろうか。
 春生まれた子ザルにとっては、初めての冬で、子ザルたちにも温泉が好きな子と苦手な子がいる。母親ザルが温泉に入っていても、子ザルははじめのうち怖いのか、濡れたくないのか、温泉のふちで暖まっている。だんだん母のそばにいたいか好奇心なのか、温泉に入るようになっていく。なれると一人で温泉に入り、大人と変わらずリラックスしている。
 近年、訪日外国人で来苑者が大変増えたため、公苑では露天風呂と来苑者の距離を離し、サルたちがゆっくり温泉に入れるように一部を直した。今では、サルたちはカメラや人を気にせず、ゆっくりと温泉に入れるようになった。
 訪れる人は、サルが温泉に入っている光景に、看板に偽りなしと喜んでいる。当のサルたちは、入りたいときに入っているだけで、はた迷惑な話である。暖かな日は温泉に入らず、陽の当たる場所で、日向ぼっこや動き回っているサルたちが多いので、寒い日に行くと温泉に入っているサルを見る確率が高くなる。

 普通の人が、野山に住む野生ザルの群れを観察することは困難である。議論はあろうが、呼び寄せるため餌付けをしている。動物園のサル山のサルたちとは全然違う。確かに人慣れはしているが、ほぼ野生の生態が観察できる場所である。
 サルたちの社会は、人間社会と似ている面もある。強いものはいい場所を陣取り、よき相手と巡り合う、力弱きものは中心から離れて群れている。また、強い母親の子は、親の後ろ盾をかざし、少々やんちゃな子もいる。時には気弱そうに見える小さな子供らにいたずらすることもある。少し時間をかけてサルたちを見ていると、人間社会と同じような行動をとることが見られる。人間もサルも似ているのかなと思うこともある。
 温泉に入ることが有名だけれど、春になると子ザルが生まれ、子育てする母親ザルが見られる。生まれたばかりの子ザルはうまく歩けず、母親ザルが一生懸命に子育てをする姿がほほえましい。ベテラン母ザルもいれば、初めての出産した雌ザルもいて、それぞれ子育て一生懸命です。また違った母ザルの生態が見られる。時間をかけてサル社会を見て、人間社会と比べてみるのも面白いです。新たな気づきがあるかもしれません。たまにはそんな時間を持つこともよいのではないでしょうか。(会員G・K)