「まちとしょテラソ」の「テラソ」とは「小布施から世界を照らそう(terrasow)」との意
タイトルの哲学カフェワークショップは13日、会員ほか11人が参加。小布施町立図書館「まちとしょテラソ」では2代目館長・関良幸さんから、大正12年に県下で9番目に開館した図書館の沿革から現在にいたるまでの経緯と今後の方向性について伺いました。
「学びの場」「子育ての場」「交流の場」「情報発信の場」の4つを柱とし、「交流と創造を楽しむ、文化の拠点」をコンセプトに建設された同館は、ワンフロアで天井が高く、開放感あふれる空間にはBGMが流れていました。工夫を凝らした施設のデザイン性もさることながら、何よりも本や文字により親しんでもらうための活動内容が素晴らしいと思いました。
創作活動を手伝う場として語り部や童話の書き方講座など各種ワークショップの実施。月ごとにテーマを決めた「テラソ選書百選」の企画展示コーナーを設け、7月は「星を読む」で星に関する百冊がスタッフ手作りのポップを添えて展示されていました。また、8月7,8日には開館5周年記念する「開館まつり」として屋外の芝庭園で「コーヒーを飲みながら芝生で読書はいかが」とのオープンイベトを開催予定。
開館時間は9時~20時、年末年始の休みもなく休館は火曜日のみで、今月17日に開館5周年を迎えますが来館者は6・5倍(13年度149,000人)に。その数は尽力された結果だと思います。現在、8月31日必着で「花の童話」(原稿用紙5枚以内)を年齢、居住地無制限で公募しています。(問合せ・026-247-2747同図書館)
関館長は電子書籍について否定はしないが、文芸書は紙から読んで“行間の思い”を感じて欲しいと。またペーパーナイフでページを切りながら読む本や見事な装丁の昔の本が披露され、一同「ホーッ」と歓声を…本は著者・編集者・職人の総合力で作られるものですが、最近は経済効率優先でこだわる余裕がなくて残念ですねと。本をこよなく愛する元出版社出身らしい館長の言葉に納得。熱い思いで語る姿に、図書館の“明るい未来像”を見た1時間半でした。
昼食は泉石亭の2階お座敷を用意していただきました。毎月20冊余り購入するという桜井会長から最近読んだ「平和のための名言」(早乙女勝元著)など数冊の読後感を聞き、種々歓談。美味しい蕎麦や栗ごはんをいただいた後は、「栗の木テラス」のモンブランと珈琲のサービスに女性陣は大喜びでした。苔むした美しい庭園と「栗の木美術館」で名画を鑑賞して身も心も大満足。
まちじゅう図書館見学は、まず「穀平味噌醸造所」へ。本屋で働いていたという経歴を持つ小山店主の食にまつわる専門書をはじめ東洋医学・宇宙など手前味噌な本が並んでいました。巨木のある皇太神社を通り抜け、ぶらぶら歩いて「かねいちくつろぎサロン」へ。明治時代に商家だったお宅には珍しい氷室があり、改装した室内には本好きな内山夫妻の蔵書がズラリ。子どもたちや地域住民たちのたまり場にもなっているそうで、海外生活が長かったという夫人からハーブティーを入れていただきながら交流を図りました。
小布施町は半径2キロ内外という県内で一番小さい面積の自治体ですが、現在、オープンガーデンが130軒、まちじゅう図書館は17店舗で100店舗を目指しています。住民の方が自ら観光客(年間120万人)をおもてなしする「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」の考え方がしっかり根付いている。今回の文学散歩では、このことを実感させられ、学びの有意義な一日となりました。