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第17回信州岩波講座2015

2015年09月21日 | 信州岩波講座

未来へ人間らしくー「戦後70年」からの出発
第17回信州岩波講座2015 講座Ⅰ(8/9)、講座Ⅱ(8/29)、講座Ⅲ(9/12)から 
 
 澤地久枝さんは、2008年の第10回記念の講座以来2回目の登場である。間もなく85歳をお迎えになる年齢にして大変お若く、元気な、はきはきした声音が会場の張りつめた空気によく溶け込んだ。なによりも普段市民との対話を重視し、数多く積んでいるだけあって一般聴衆に分かりやすい話法がよかった。8月9日講座Ⅰ「“希望”を守る旅」と題して講演90分。730人。
 幼児期に旧満州に渡り、そこで敗戦を迎える。ちょうど8月9日ソ連軍の急襲に遭遇し、身一つで日本へ引き揚げた体験をもつ。出版編集者になってから『人間の条件』を書いた作家五味川純平の秘書を10年経験した。これらの経験はすべて氏の作家人生の肥やしであり、思想の基層を形成している。
 
 忘れられない2008年の澤地さんは「いのちの重さ」を語った。当時若者の間でちょっとしたブームだった小林多喜二の『蟹工船』を紐解いて、さらにイラク戦争やベトナム戦争で息子を亡くしたアメリカの母親たちのその後を辿った。そこで「死者は一瞬に去っていくけれども、残された者の悲しみは無限に消えることはありません」と反戦と平和の尊さを説いたのだった。

 講座Ⅱは、盆過ぎ雨上りの涼しい会場。3回目になる上野千鶴子さんは、大の仲良しの色川大吉さん(歴史学者、90歳)と連れ立ってマイカーで登場。「戦後70年、日本の女は幸せになったか?」が講演の演題。対談は金子勝さん。上野さんの見事な「突っ込み」が(上野さん)らしくて刺激的であった。
金子さんの講演は「アベノミクスと地域創生は何をもたらすか」金子さんも3回目、今回も金子節炸裂である。8月29日開催。930人。
 
 山田太一さんは信州岩波講座初登場。小津安二郎監督の映画作りを紐解きながら、現代社会のあまりにも激しく早い変化のありように警告し、「0.5秒待つ」間合いが人間に考える余裕を与えるとの意を静かに淡々と諭すように語った。「80年を生きて」との題から深く考えさせる講座であった。丸山憲司さん(999)とのインタビュー対談では「若者に一言」と問われ「自分が絶対正しいと決めつけないことが、他者への理解につながる」と、今風の一方的自己主張の危うさに一言。9月12日開催の講座Ⅲ、700人。

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