NPO・999ブログ    本を読んで 考える力を養おう

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第16回信州岩波講座講座 赤川次郎さん、むのたけじさんに場内沸騰!

2014年09月24日 | 信州岩波講座
99歳現役ジャーナリストむのさん「大事にしなければならない3つのこと『尊敬・学び・いたわり』」

ミステリー作家の赤川さん「人の命は、“必要経費”などでは断じてない」




9月14日、最初の赤川次郎さんは、演題を「まともな日本をとりもどす」とした。
開口一番、「この演題から『まともな』を削ると、安倍さんの選挙ポスターだ。私は文字の校正の仕事をしていたが、「日本をとりこわす」の誤植ではないかと思ってしまう。
3.11の東日本大震災から、またいつ大きな地震が来るかもしれないのに、もう忘れかけてオリンピックが東京で決まったことでみんな喜んでいる。福島の原発が収束しているわけでもないのに綺麗に忘れてしまえるのだろうか。一番のおもてなしは、安全と安心なのに………。次の世代にどういう日本がふさわしいのか、考えていないのか。

文化の基本になるのは,人間肯定だ、生きることの楽しさだ。ところが戦時中は、「爆弾三勇士」が文化となって映画化された。戦中は、こういうものまで協力させられていた。今こそ作家としての役目が求められる。今、生命の大切さがないがしろにされている。
私は、作家として、読者には小説の中で挫折を経験してもらいたい、ただしあまり深刻になりすぎないで、明るく楽観的に考えていくことが大切だという考えで書いています」

続いて、むのたけじさんの講演、大きな声で、はっきりと話す姿に、とても99歳とは思えないエネルギーを感じました。
むのさんは21歳、1936年から新聞社に勤め、1945年8月に一新聞人として、戦争報道を反省して朝日新聞社を退社、それ以降も今日までジャーナリストとして執筆と講演の仕事をされている。



 「私は、人類の余命は40億年か40年か、ということを言っている。人類は、動植物と仲良く住めば40億年地球に住める。しかし、40年しか持たないこともある。
20年前から国連で地球温暖化現象が大きな問題となっている。工業の発展、人間生活の変化、地球の温度が2度高くなった。一年間の降る雨の量が一日で降る、南極や北極の氷が7,8年前から崩れ落ちている。私は海の水が増えるぞと言ってきた。それが大雨の原因になってきたかもしれない。ある学者はその解明には50年はかかるだろうと言っているが、何の手立てもしないでいる。40億年か40年かと言うのはこっけいかもしれないが、これが現実だ。

(政治では)軍事機密というのは、戦争をしないなら必要ない。集団的自衛権はそういうことが起こりうるからということで考えている。それが積極的平和主義という。おかしな話ではないですか。しかも支持率60%を超えている。どうしたらいいか。お祈りするか、偉人が出てきて救ってくれるか、優れた思想や方法を持った人の集団が救ってくれるか。

問題を解決するのは私たちなのだ。一人ひとりはたいしたものではないと思っているかもしれないが、同じ人はひとりもいない80億人の一人だ。安倍首相は八方美人だ。八方破れで潰れるだろう。我々が動き出せば。難しいことは言わなくていい、人間だから、これはやってはいけないと常識で判断していけばいい。生活の現実から、生活に裏付けられたモラルで行動していけばいい。
誇りと責任を感じて生きてほしい。私は戦争で殺されるより、戦争をさせないために生きる。人間同士が助け合い、支えあうことが大切だ。希望の光を出して生きていこう。敬いあい、学びあい、いたわりあっていこう。こうすることで人類は半年で希望に向かうだろう」

 第2部は、二人の対談で、赤川さんが会場から寄せられた質問を、むのさんに投げかける形で進めました。

信州岩波講座2014講座はアーサー・ビナードさん

2014年09月24日 | 信州岩波講座


広島・長崎では原爆をピカ、ピカドンと言う 言葉には「立ち位置」が大切

8月30日、ジュニアオーケストラ演奏の余韻が残る中、詩人のアーサー・ビナード氏による「“広告”と“文学”とどっちが好き?」と題しての講演がありました。

前段は自らの日本への関心のスタートがウルトラマンのシュワッチという言葉で、大学4年の頃にコルゲート大学日本語教室に通い、1990年日本へ来た。日本に来て、言語とは何かを考えるようになったが、それはアメリカではsunny side up〈太陽〉と呼んでいた玉子焼きが、日本で目玉焼き(eye ball)で、本当にびっくり。そば店では狐、狸が出てくるんで、こんなものまで食べるのかと驚きましたが、卵が載っている月見そばは情景が浮かんで素晴らしいと思いました。母国で卵が太陽、日本で卵が月、それが言語となって伝わっている。言葉は違っていても、より深いところで共通しているところがあると思いました。

アメリカでは、1947年にwar(戦争)長官からdefense(国防)長官に名称を変更している。日本も今、米国が辿ったことを再現しつつある。それは戦争を集団的自衛権と言い換えている安倍政権だ。「広告」の技術の共通の感を受ける。「広告」を見抜く力らが必要だ。広島・長崎では原爆をピカ〈爆心地で〉、ピカドン(少し離れたところで爆風を受けた)と言う。これは放射線や熱線や爆風で被害を受けた人の立ち位置の言葉だ。言葉には感覚でない立位置が組み込まれている。

続いて、恒例の児童書の贈呈が行われ、実行委員会副実行委員長の馬場公彦岩波書店編集部長から須坂市子ども読書研究会へ目録が渡されました。
10月、3年続いた災被災地岩手県山田町へ、岩波書店から購入の児童書の贈呈をします。

最後は、会場から質問票を基に、信濃毎日新聞井上裕子文化部長がビナードさんに質問する対談が行われました。「国民の政治無関心について」は、選挙も、誰に入れればいいのか、どうやったらいいのかわからないだからだ。「憲法擁護について」は、憲法はただの文章ではない、概念だ。国の規制。だからこれが崩れればなくなったも同じだ。日常で憲法を使うことが必要だ。などなど。