しまいびと

独立型ケアマネジャー兼、終活を専門とするファイナンシャルプランナーです。

現役世代のうちに確定申告の仕組みについて理解しておいて損はない

2023-08-31 | エンディングプラン
会社勤めの人はこれまで1回も確定申告をしたことがない、
という人も多いかと思います。

今日は、
高齢者になってから確定申告が重要になるケース、
について説明したいと思います。

令和4年10月より、
後期高齢者医療保険制度において、
これまで基本『1割負担』、
現役並み所得者『3割負担』、
に加えて、
一定以上の所得者『2割負担』
という区分が創設されました。

去年いきなり『2割』と書かれた被保険者証が届いて
驚かれた方も多いのではないでしょうか。

ただ、
この1割負担と2割負担の境界くらいの所得の方は、
確定申告によって簡単に1割負担に戻る可能性があります。

以前の記事で医療費控除の重要性について書きましたが、
今回はその医療費控除の確定申告について解説したいと思います。

まず、
介護保険で医療費控除の対象となるサービスは、
①訪問看護
②訪問リハビリ
③デイケア
④居宅療養管理指導
等に加えて、
上記の医療系サービスを利用している方が合わせて利用する
⑤訪問介護の身体介護
⑥デイサービス
⑦訪問入浴
⑧ショートステイ
等の福祉系サービスとなります。

少しややこしいですが、
医療系サービスを利用せず、
⑤~⑧等の福祉系サービスのみ利用している場合については、
全て医療費控除の対象となりません。

では事例で考えていきます。
年金が月18万円(年収216万円)の
80歳の一人暮らしの人がいるとします。
また社会保険料として年間24万円支払っているとします。
公的年金等控除110万円、
住民税基礎控除43万円、
が控除できますので、
この人の住民税課税所得は
216万円-24万円-110万円-43万円=39万円
となります。

このように課税所得が28万円以上で一定の条件に該当する人は、
去年の10月より医療費の自己負担が2割となりました。

ただ、
この方が介護サービスとして、
月2回の居宅療養管理指導、
週2回の訪問看護、
週2回のデイサービスを利用し、
医療費・介護費合わせて月に3万円(年間で36万円)
支払っているとします。

この場合確定申告すると、
34万円程医療費控除できるため、
課税所得は39万円-34万円=5万円となり、
医療費の自己負担は1割に引き戻されます。

知らない人も多いと思いますが、
確定申告は申告期限の2月16日~3月15日を
過ぎても行うことができます。
上記のような例に該当すると思われた方は、
確定申告書を税務署に提出し、
その控えを区役所の窓口に提出することによって、
1割負担に変更してもらえる可能性がありますので、
一度検討してみて下さい。

ちなみにこの事例のような人がいたとして、
本人が確定申告できず家族もいない場合、
本人からどうしてもと頼られたときに、
ケアマネジャーが代わりに確定申告を支援しても良いのでしょうか?
答えは絶対にしてはいけません!!

税理士法第五十二条に、
「税理士又は税理士法人でない者は、
この法律に別段の定めがある場合を除くほか、
税理士業務を行ってはならない。」
と規定されているからです。
これはたとえ無償であっても、
税理士以外のものが、
『税務代理』『税務書類の作成』『税務相談』
を行うことを強く禁止しています。

つまりケアマネジャーが善意で確定申告を代行してあげると、
逮捕される可能性があるということです。
もっといえば『税務相談』も税理士の独占業務のため、
個別に上記のようなアドバイスもしてはいけない
ということになります。

税や確定申告については、
自分で知識を身につけ、自分で自分の身を守る必要があります。
現役世代のうちに確定申告くらいはできるようになっておきましょう。

この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小規模宅地等の減額特例は何... | トップ | 小規模介護事業者の電子帳簿... »

エンディングプラン」カテゴリの最新記事