しまいびと

独立型ケアマネジャー兼、終活を専門とするファイナンシャルプランナーです。

インボイスってケアマネに関係ある?

2023-05-16 | 介護保険
今年10月から始まるインボイス制度、
ケアマネジャーに関係あるものなのでしょうか?

結論から言いますと、
介護保険事業しか行っていない事業者については、
ほぼ関係ありません。

というのも、
インボイス制度とは、
BtoB取引(Business to Business⇒企業間取引)
の消費税が対象ですので、
BtoC取引(Business to Consumer⇒企業・消費者間取引)
を主とする介護保険事業はそもそも対象とならない上、
介護報酬は消費税が非課税(福祉用具等一部を除く)
ですので、
ほとんど関係ないということになります。

では、
このインボイスはどのような制度なのでしょうか?

例えば街の文房具屋さんを例に挙げましょう。
文房具屋さんの「A」は、
商店街にお店を構えて毎日お客さんに文房具を販売しています。
ただここ最近めっきり商店街のお客さんが減り、
お店の売り上げは年間300万円くらいしかありません。
そこで5年前から「A」は地元の大企業「Z」に
定期的に文房具を卸す契約を獲得し、
こちらが年間660万円の売り上げになるほど成長しています。
合わせて年間960万円を毎年売り上げるようになり、
生活は安定しました。
また、
年間売り上げが1000万円以下のため、
消費税の免税事業者でもあります。

ただ、
この10月からインボイス制度が導入されることにより、
「A」は「Z」から、
インボイスに対応できるのか問い合わせを受けました。

インボイス制度が始まると大企業「Z」は、
自らの会社の消費税の申告において、
インボイス(適格請求書)をもらわなければ
仕入れたものを経費に計上できなくなります。
例えば、
「A」から買った660万円分の文房具を、
「Z」は880万円で販売したとしましょう。
これまでであれば、
「Z」の納付すべき消費税は、
80万円-60万円=20万円で良かったのですが、
今後は、
「A」からの請求書がインボイス(適格請求書)でなければ、
この仕入れに関わる60万円を経費として計上できなくなる、
(=80万円をそのまま納税しなければならなくなる)、
といった仕組みです。

ただ、
「A」がインボイス(適格請求書)を発行するためには、
インボイス発行事業者として登録する必要があります。
この登録をすれば、
「A」は免税事業者ではなく、課税事業者と変わります。
ということはこれまで売り上げが1000万円以下のため、
消費税が免税されていたのに、
今後は売上金額は変わらないのに、
消費税を申告・納税しなければならない、
といことになります。

つまり一言で言いますと、
今後大企業等においては、
消費税を納税している事業者から仕入れたものしか、
経費に計上できなくなる、
ということです。

となると「A」は、
①インボイス事業者登録し、今後は消費税を納税する。
②免税事業者のままでいる。
 ⇒但し、この場合は「Z」から契約を打ち切られる
  ことも考えられます。
③「Z」から契約が打ち切られることを想定して、
 インボイスの対象とならない
 BtoC取引⇒商店街のお客さんへの販売等、
 にもっと力を入れる。
などの対応を考えていく必要があります。

「A」のような事業者にとっては、
事務負担も税負担も増えるという、
なかなか厳しい制度だと言えますね。

話は元に戻りますが、
介護保険事業のみ行っている介護事業者には、
このインボイス制度はほとんど関係ありません。
そもそもケアマネジャーの場合は、
利用者負担もありませんのでもっと関係ありません。

一方、
利用者負担のある訪問介護やデイサービス等においても、
利用者への請求書や領収書がインボイスである必要はありません。
備品を購入する際の請求書や領収書も同様です。

とここまで説明しましたが、
いきなり10月から全てが変わるわけではなく、
経過措置もありますので該当する事業者の方はご確認下さい。

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