しまいびと

独立型ケアマネジャー兼、終活を専門とするファイナンシャルプランナーです。

ケアマネジャーとしてのACPへの関わり方

2023-01-29 | エンディングプラン
昨日、
医師会主催のACP研修にパネリストとして参加してきました。
「ACP」とは、
「アドバンス・ケア・プランニング」の略で「人生会議」とも言い、
4年前の記事でも紹介しています。
ケアマネジャーとしても、
ACPに対する役割がますます大きくなってきていると実感しています。

ACPは、
①死を現実的に捉えて具体的な内容を話し合うACPと、
②まだ比較的元気なうちに考えるACPに、
大きく分かれると思いますが、
ケアマネジャーが主として関わるACPは
②の方が多いのではないかと思います。

ただ、
私自身は正直ケアマネジャーとして積極的にACPの話を
利用者さんに持ち掛けたことはありません。

というのも②の場合は、
〇死の原因になる病気に対する予想がつかない。
〇その治療内容の想像がつかない。
ため大雑把なACPで良いのではないかと考えます。
この時点で特定の治療に対応する答え(例えば胃ろうをするしない等)を
求めるのは避けるべきと以前の研修でも教えて頂きました。
つまり②については本人の価値観や死生観を知ることが重要であり、
それは毎月のモニタリングの積み重ねだと思います。

私はケアマネジャーとし積極的にACPを作成したことはありませんが、
任意後見人としてACP作成に関わったことはあります。
任意後見の場合は死後事務委任も含めて契約することが多いため、
①いずれどんなケアを受けたいか?
②意思表示できなくなったときに誰に決めてもらいたいか?
③最後をどこで過ごしたいか?
等の大切なことを契約前の元気なときに一応考えますが、
ご本人の意思は決めたあとも大きく揺れますし、
終末期に当初決めた内容と全く違う方向に進むこともあります。
大切なことはその「揺れ」を大事に捉えてきっちり対応できるかどうか。
任意後見契約をされる方は、
身寄りがない人、一人を覚悟している人等が多くACPにも積極的で、
その「揺れ」を確認する機会がたくさんあります。
一方、介護保険利用者の場合は、
ACPに積極的な人ばかりとは限りません。
ですので、
時間をかけながら価値観、人生観、死生観等を
確認していくという関わりが大切なのだと思います。

最後の晩餐で具体的に何を食べたいのかを聞き取るのではなく、
この方は洋食や中華が嫌いで和食が好きなので、
おそらく和食の中から選ぶだろうなぁ、
くらいは知れるようになっておきたいものです。

とはいえ、
漠然と聞き取りするだけではわからないことが多いかもしれませんので、
私自身は今「個別避難計画」に注目しています。
「個別避難計画」とは、
高齢者や障がい者等災害時に一人で避難することが困難な方について、
誰がどのように支援するか、
避難するときにどのような配慮が必要か等を計画しておくもので、
現在作成は市町村の努力義務となっています。
すでにケアマネジャーも関わらなければならない市町村もあると聞きます。
個別避難計画の聞き取り内容はACPにつながる大きなヒントがあると思います。
ACPの話をすると嫌がる人でも、
災害に遭い命の危険が迫った場合の話をきっかけに、
話を展開していけるのではいでしょうか。

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