いきなり事例から入ります。
介護保険を利用中のAさん(女性・90歳)は、
一人娘のCさん(65歳)と二人暮らしです。
Aさんの夫Bさんはすでに他界しています。
AさんとCさんは、
Aさん名義の戸建て住宅に住んでいます。
50坪の敷地に立派な建物が立っており、
長年家族で暮らしてきました。
Aさんの資産はこの家と、
預貯金が1000万円ほどあります。
この家の相続税評価額は、
建物部分が1000万円で、
土地部分は5000万円です。
娘のCさんは預貯金や資産等は持っていません。
さて、
Aさんが亡くなった場合、
遺言書がない場合はCさんが全財産を相続します。
現金:1000万円
建物:1000万円
土地:5000万円
合計:7000万円
そこから基礎控除3600万円を差し引いた
3400円に対し相続税480万円が掛かることになります。
つまり、
相続した現金1000万円のうち半分近くは、
相続税でなくなってしまうということです。
そこで小規模宅地等の特例を検討します。
適用されれば
土地5000万円の評価額が8割減額され、
1000万円となります。
つまり、
現金:1000万円
建物:1000万円
土地:1000万円
合計:3000万円
となると、
全て合わせて3600万円の基礎控除内に収まりますので、
Cさんは相続税を支払わなくて済むということになります。
さて、
この小規模宅地等の特例を適用させるには
いくつかの条件があります。
といってもかなり複雑な制度ですので、
今回はこの事例のようなケースのみ解説します。
亡くなった人が住んでいた自宅の土地
(特定居住用宅地等)を、
配偶者や同居親族等が相続し一定の条件を満たせば、
土地面積330㎡までの部分については、
その評価額が80%減額される。
といった内容です。
この事例の場合は、
Aさんが住んでいた自宅を、
同居していたCさんが相続し、
そのまま所有や居住を続ける場合、
土地面積は約165㎡(50坪)のため、
土地全てにこの特例が適用となります。
さて、
では自宅で暮らしてきたAさんが、
在宅では十分な介護が受けられなくなり、
最終的に老人ホームに入所することになった場合は、
この特例はどうなるのでしょうか?
要件の中にある、
『亡くなっていた人が住んでいた自宅の土地』という
根本的な部分が変わってしまいます。
実は、
平成25年まではこの場合は、
小規模宅地等の特例は適用できませんでした。
ただ、
法改正により平成26年1月1日以降の相続については、
①被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に
規定する要介護認定等を受けていたこと
及び、
②その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に
入居又は入所していたことという要件を満たすときに、
その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで
居住の用に供されていた宅地等については、
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たること、
とされました。
この改正のことをあまりよく知らず、
なんとなく古い情報をもとに、
在宅介護が限界であるにも関わらず、
高齢者本人を老人ホームに入所させずに、
自宅に住み続けてもらおうと考える家族の方もいるようです。
節税のためだけに
本人にとって十分な介護が受けられない環境を継続するのは
本末転倒と言えます。
相続はとても複雑ですが、
様々な特例もありますので、
迷われたら一人で考え込まずに専門家に相談しましょう。
介護保険を利用中のAさん(女性・90歳)は、
一人娘のCさん(65歳)と二人暮らしです。
Aさんの夫Bさんはすでに他界しています。
AさんとCさんは、
Aさん名義の戸建て住宅に住んでいます。
50坪の敷地に立派な建物が立っており、
長年家族で暮らしてきました。
Aさんの資産はこの家と、
預貯金が1000万円ほどあります。
この家の相続税評価額は、
建物部分が1000万円で、
土地部分は5000万円です。
娘のCさんは預貯金や資産等は持っていません。
さて、
Aさんが亡くなった場合、
遺言書がない場合はCさんが全財産を相続します。
現金:1000万円
建物:1000万円
土地:5000万円
合計:7000万円
そこから基礎控除3600万円を差し引いた
3400円に対し相続税480万円が掛かることになります。
つまり、
相続した現金1000万円のうち半分近くは、
相続税でなくなってしまうということです。
そこで小規模宅地等の特例を検討します。
適用されれば
土地5000万円の評価額が8割減額され、
1000万円となります。
つまり、
現金:1000万円
建物:1000万円
土地:1000万円
合計:3000万円
となると、
全て合わせて3600万円の基礎控除内に収まりますので、
Cさんは相続税を支払わなくて済むということになります。
さて、
この小規模宅地等の特例を適用させるには
いくつかの条件があります。
といってもかなり複雑な制度ですので、
今回はこの事例のようなケースのみ解説します。
亡くなった人が住んでいた自宅の土地
(特定居住用宅地等)を、
配偶者や同居親族等が相続し一定の条件を満たせば、
土地面積330㎡までの部分については、
その評価額が80%減額される。
といった内容です。
この事例の場合は、
Aさんが住んでいた自宅を、
同居していたCさんが相続し、
そのまま所有や居住を続ける場合、
土地面積は約165㎡(50坪)のため、
土地全てにこの特例が適用となります。
さて、
では自宅で暮らしてきたAさんが、
在宅では十分な介護が受けられなくなり、
最終的に老人ホームに入所することになった場合は、
この特例はどうなるのでしょうか?
要件の中にある、
『亡くなっていた人が住んでいた自宅の土地』という
根本的な部分が変わってしまいます。
実は、
平成25年まではこの場合は、
小規模宅地等の特例は適用できませんでした。
ただ、
法改正により平成26年1月1日以降の相続については、
①被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に
規定する要介護認定等を受けていたこと
及び、
②その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に
入居又は入所していたことという要件を満たすときに、
その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで
居住の用に供されていた宅地等については、
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たること、
とされました。
この改正のことをあまりよく知らず、
なんとなく古い情報をもとに、
在宅介護が限界であるにも関わらず、
高齢者本人を老人ホームに入所させずに、
自宅に住み続けてもらおうと考える家族の方もいるようです。
節税のためだけに
本人にとって十分な介護が受けられない環境を継続するのは
本末転倒と言えます。
相続はとても複雑ですが、
様々な特例もありますので、
迷われたら一人で考え込まずに専門家に相談しましょう。