のしてんてんハッピーアート

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静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケール号の冒険17

2008-06-09 | 童話 スケール号の冒険(第3話)

スケール号はノミの大きさに縮んで、寝ているおばあさんのひたいの上に着陸した。
 おばあさんのひたいは大きな山と谷がいく筋も続いている大地のように見える。そこからスケール号はさらに小さくなって行った。
おばあさんのひたいは、平たい岩が何枚も積み重なって広がっている荒野のような光景に変わった。
平たい岩と思ったものが、巨大な岩山のようになり、その表面に無数の穴が見え始めた。
猛烈なスピードでスケール号は小さくなっているのだ。そのために周りのものはどんどん大きくなって行くように見える。
スケール号は至るところに見え始めた穴の一つに突入して行った。
 穴と見えた空間は大きな洞窟のようになり、その空間はさらに宇宙の広がりとなってスケール号の前に現れた。スケール号はまだまだ小さくなりながら、おばあさんの内部に向かって飛び続けている。
細胞がゆっくりと動いている。その細胞が山のように大きく見えるようになると、細胞のかべにはたくさんのすきまが現れて、スケール号は簡単に細胞の中に入ることが出来た。細胞の液の中をスケール号はまだまだ小さくなりながら進んで行く。
「博士、あれは何ですか。」艦長がスケール号の窓の外を指さした。
 スケール号の前方に、二本のひもがからまった棒のようなものが、まるで巨大なミミズのようにくねりながら浮かんでいた。
「あれはDNAと言うんだ。あのひもの上にたくさんの遺伝子がのっているんだ」
「DNAだスか。」
「遺伝子って何ですか。」
「あの中に、おばあさんの体を作る設計図が入っているんだよ。」
「なんだかよく分からないだス。」
「今は分からなくてもいいよ。それよりあの中に入って行くぞ。」博士はみんなに言った。
スケール号はまだまだ小さくなって行く。目の前にせまったDNAはらせん状のひもが二本からまったような、チューブの形をしているのが分かった。
スケール号がさらに小さくなると、らせん状のひもと思ったものは、一抱えもあるような岩のかたまりが一列に、いくつも並んだものだということが分かった。
「あれが遺伝子なんだよ。」博士が興奮して説明した。
博士の言葉は、スケール号の隊員達にはむずかしすぎてよく分からなかった。ただ目の前に広がる神秘的な光景に心を奪われていた。


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