こんにちはフリー保育教諭の永冨いづみです
雨の降ることも多かった1週間を終え、3月最後の週末の日曜日は、気持ちのよい空が広がっていましたね
綺麗に咲き始めた桜の花に青空が加わり、相乗効果で気持ちも晴れ晴れとなる日曜日でした
おかげで、我が家のお犬様たちもご機嫌のお散歩となりました
そんな日曜日、春休みに入っている長女は、ひとりで朝から出かけておりました
高校生になって、毎日大阪市内まで電車通学をするようになってから、ぐんと行動範囲がひろがりました。
心配でない、といえば嘘になりますが、これも成長の証ですから仕方ありません
「人生で2度目の美術館だよ~。」と送られてきた写真で分かられる方もおられるかもしれませんが、私はさっぱりわからず、娘に確認しましたら、『国立国際美術館』だそうです
春休みの宿題に、『美術館に行き、好きな作品を見つけ、その作品からインスピレーションを感じる曲を選び、レポートを書く』というものがあるらしく、そのために向かったようです。
人生2度目はこの美術館ですが、初めて足を運んだ美術館は私も一緒でした。
それは、『京都市立美術館』(今は名前が変わって『京都市京セラ美術館』になっているようです)でした。
幼稚園児だったんですけどね、とにかく彼女が幼稚園で描く絵が、絵とはいえないような代物で、同年代のお友達の絵と比べてはいけない、って頭では思うのですが、ついつい比べてみてしまいまして、心配していたんです
形になっていないことが心配だったわけではなく、女の子らしいピンクや赤の色も使わず、ただ黒で塗りつぶしてるだけ、とかの絵が多かったんです
ちょうどそのころ、美術館に足を運んだことなどなかったのですが、よくテレビCMがながれていたんです。京都市立美術館に、ワシントンナショナルギャラリー展がやってきて、私でも知っているあの有名な画家ゴッホの『自画像』という絵が展示されているっていうものでした。
私自身も、ほとんど興味のない世界だったのですが、『本当に良いものを見れば、子どもでも何か感じるものがあるかもしれない』って思ったんです。
それに、京都市立美術館は、動物園の向かいにあるので、ついでに立ち寄るならハードルも高くない気持ちがしたんです。美術館がお好きな方からすれば、動物園のついで・・・なんて失礼なお話かもしれませんね
なにはともあれ、意を決して足を運んだ美術館の中は凛と冷たい空気が漂って、ヘッドホンをつけて解説を聞きながら、真剣に熱心に、そして静かに絵画を堪能されている方々がたくさんおられました。
そのなかを、場違いな幼稚園児の娘とふたり、せっかくきたのだから目的を達せねばなりませんから、こそこそと絵を見て話し合いました。
「ねぇ、あの絵の海の色みて~青だけじゃなく、白も水色も灰色も、いろんな色が点々で書いてあるでしょう
そしたら遠くから見たら、海が動いてるみたいだよね~」
「ほんとだぁ~海は青だけじゃないんだね」
「そうだよ~。だから今度絵をかくときは、いろんな色を使ってみたらどう~」
「わかった~やってみるね」
余談ですが、整然と並ぶ絵を見て、「みんな上手だねぇ~。」と言い放った娘、みなさんがわざわざ足を運んで見に来られているゴッホの『自画像』の前に立ち、「変な顔のおじさん~。」と感想を言い放ち、さすがに冷や汗がでました
そんなことも今では良い思い出なのですが、このことが影響したかどうかはわかりませんが、その後、娘は絵をかくことが好きになりましたし、何を書いているのかはわかる絵になりました。
今、思い起こせば、子育てに関することって、どんなことでも笑い話になっているような気がします。
でも、その時は、母として真剣
彼女が黒のクレヨンで、ひたすら塗りつぶすとき、何か心に闇を抱えてるのとまで考えたこともあります。
小学校の卒業式で壇上で証書を授与する彼女の隣には、将来の夢として『歌手』と大きく書かれていました。
たった4年ほどしかたっていないのに、そのころは見たことも聞いたこともなかった『オペラ』や『ミュージカル』の世界に今はどっぷり浸かっておられます。
彼女の見る世界が、芸能界からクラシックへと移動しております。
人の未来、そのなかでも、子どもの将来はどんな方向に向いていくか親でも想像できないことであり、大きく広がっているんだなぁ~って思います。
特に、2年前からコロナ禍に突入してしまい、世の中は予想もしていなかったことになりました
命の大切さのみならず、日常の生活がどんなに幸せなことか、を考えさせられる日々となりました。
自由に出かけることも、外食することも、人と会うことも、制限がかかる日々。
子ども達の生活にも影響は及びました。
このまま収束してくれればよいのですが、まだまだわかりません
そんななかでも、本当に子ども達の笑顔だけは、かわりませんね。
楽しいこと、楽しくしていくことを見つける能力は天才的だと思いませんか
あと数日で、本当に園を巣立つ最年長の子どもたち。
朝からちらっと覗いてみると、いつもと変わらない日常がありました。
友達と当たり前のように過ごす時間です
4月になればこの日常はなくなり、みんな新しい環境になります。
子どもたちだけではなく、保護者のかたも、私達スタッフも、皆が新しい生活を迎えます。
時には、元気でいられないときも一時的にはあるかもしれません。
でも、もう一度書きますが、過ぎてしまえば、笑って話せることばかりだったりします。
そして、また違う形で楽しい日常がやってきます
昨年、姉妹園のねやがわ成美の森こども園から、どきどきしながら異動してきた私に、「いづみせんせい~。」とこちらが驚くほどすぐに名前を呼んでくれたのも、このクラスの子ども達でした。
「せいびのもりこどもえん、しってるよ〜。」「ねやのもりこどもえんにずっといる~?」「わたしのなまえおぼえてくれた~?」とたくさん話しかけてくれて、とっても嬉しかったことを覚えています。
元気いっぱいの子ども達の笑顔をみていると、感謝の気持ちと、やっぱりちょっと寂しい気持ちと、そしてそれ以上に、みんなの前に広がっていく未来にわくわくする気持ちでいっぱいです。
心も身体も健康で、たくさん笑顔があふれますようにと願いながら、日々を過ごしています。