品質管理をすると不良が増える。今まで隠されていた不良を顕在化して多くの人の協力で原因を調べ再発防止するため、社内の不良は増える。その結果、社外に出る不良は減るのである。品質管理を導入してすぐ不良が減ったというのは、本物ではない。
経営者はいままで報告されなかった不良の報告がどれだけ増えるか、それらの中で原因にどれだけ手が打たれ再発防止が進んだかを見なければならないので、品質管理が軌道にのり、社内外共に不良が減るまで辛抱しなければならない。最近、多くの不良、ミスの発生が話題になるが、多くは逆の品質管理をしているからである。
品質さえよければ原価はどうでもよいというのは、いくら金をかけてもいいという芸術品をのぞいて、一般の製品ではありえない。金をかけずいいものを作るのが腕の見せ所であり、技術である。
現在の技術そのままで原価を下げようとすれば、品質問題が発生するのは分かり切っている。原価低減を目的として、どのような品質問題の発生が予測されるか、事前にどのように手を打つか考える必要がある。原価低減を目的とした品質管理である。管理技術は道具であるから、多くの道具を持っていて必要に応じ使い分けることが大切である。