仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

お神酒徳利 / 三遊亭圓生(六代目)

2018年06月30日 | エンタメ
落語『お神酒徳利三遊亭圓生(六代目)。
噺は、「馬喰町にある八十二軒の旅籠屋の取り締まりをしている仮豆屋吉左衛門の先祖は、家康公に付いて三河の国から江戸にやってきた家で、葵の紋が付いたお神酒徳利が代々の家宝。一年に一度、十二月十三日のすす取りが終わった後にそのお神酒徳利でお神酒をあげるのが恒例になっている。掃除の途中、通い番頭の善六が水を飲みに台所へ行ったところ、無造作に置いてある大事なお神酒徳利を見て、危ないからと水がめの中に入れて蓋をした。ところが、善六はそのことをすっかり忘れてしまったことから、お神酒徳利が無くなったと大騒ぎになり・・・」という内容。
橘町の家に帰り、鉄瓶に水をさす時に、はっと思い出した善六。
すっかり忘れていたことを何かの拍子に思い出すというのはあり得ることだと思うのだが、主人に聞かれた際にきっぱりと「存じません」と答えてしまっていた善六としては、今さら「ありました」とは言いにくかったのだろう。
とはいえ、代わりに謝って、もし許されなかったら坊主になってくれなどと嫁に言うとは、夫婦とはいえ都合が良すぎる考えだ。
(^_^;)
しかし、この女房の父親が占い者だったことと、生涯に三度・・・という女房の知恵のおかげで、人生が変わることになる。
「余計なことをして苦労を求めちゃったからな・・・」と気持ちが沈んでいた善六だったが、女房は「ものは正直にしなくちゃいけない。お前さんは実直に働いて運が向いたんだよ」と、とにかく前向きだ。
凄い。
(^_^)
さて、演者の六代目三遊亭圓生(1900年~1979年)師匠は、同時代に活躍した咄家の中では随分と映像が残っている師匠ではないかと思う。
没後40年にもなるというのに名人芸を楽しめるのだから、これはありがたい。
善六がはっと気付く瞬間の演じ方は素晴らしかった。

お神酒徳利 / 柳亭市馬(四代目)

2018年02月04日 | エンタメ
落語『お神酒徳利』柳亭市馬
噺は、「日本橋馬喰町にある旅籠・刈豆屋吉左エ門。暮れの十二月十三日は、例年昼間にすす取りをして、夜は店の者の宴会をするのが恒例だった。その際、夕方には家宝である三つ葉葵の紋がついたお神酒徳利を蔵から出し、主が神棚に手を合わせる。昼間、二番番頭の善六は、台所に無造作に置いてあるお神酒徳利を見つけ、"不用心だな。ここに入れておけば盗まれることも落とすことも無いだろう"と、お神酒徳利を水がめの中に沈めた。ところが、そそっかしくて物忘れが激しい善六は、そのことをすっかり忘れてしまい、家宝の紛失騒ぎに発展してしまうのだった。主が気分を悪くして寝込んでしまい、宴会も中止となって、仕方がなく家に帰った善六は、鉄瓶に水を足そうと水がめの蓋を開けた瞬間に、"あっ"と思い出した。そのことを嫁に相談する善六だったが・・・」という内容。
善六の嫁は主にことのほか気に入られているのだそうで、父親が占い師をしているのも知っている主は、「生涯に三つどんなことでも分かる益の書という巻物が家にあって・・・」と言う善六を疑うこともない。
にわか易者となった善六は、そろばんをパチパチとはじいて、お神酒徳利の在処を言い当てるのだが、自分が置いた所を言うだけなのだから、これは出てきて当たり前。
(^_^;)
おかしな騒ぎにもならず一件落着となるはずだったのだが、そこは落語のお話。
善六には数奇な運命が待ち構えているというわけだ。
これはなかなかに面白い噺で、しかも、演者の柳亭市馬師匠がはじくそろばんの音が、素晴らしく良い音なのだった。
(^。^)