仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

愛を複製する女

2018年06月08日 | ムービー
『愛を複製する女(原題WOMB)』(2010年/バネデク・フリーガオフ監督/ドイツ・ハンガリー・フランス)を見た。
物語は、「近未来。少女レベッカ(ルビー・O・フィー/少女期)は、海辺の街にある祖父の家に滞在中、地元の少年トーマス(トミー/トリスタン・クリストファー)と出会った。しかし、ほどなくして母親の仕事の都合で東京へ。大学を卒業し、ソナー装置のソフト設計をしているレベッカ(エヴァ・グリーン)は、12年ぶりに海辺の街を訪れた。トーマス(トミー/マット・スミス)と再会し、以前の関係を取り戻した二人だったものの、トミーが交通事故で死んでしまう。悲しみに沈むレベッカは、トミーのクローンを産もうと・・・」という内容。
子供だった二人がどれくらいの時間を一緒に過ごしたのか、それはハッキリと描かれていなかったが、長い期間ではなかったはすだ。
大人になったレベッカが、亡くなった祖父の家があるとはいえ、トミーがいるだろうその地に帰ったのは、
短い時間だったとはいえ、それが随分と大きな出来事だったからなのだろう。
また、見送りをすると言っていたはずのトミーが、フェリー発着所に現れなかった理由をずっと知りたいと思っていたからかもしれない。
(^_^;)
二人が再会した際にトミーの家にいた恋人のローズ(ナタリア・テナ)は、自分のことをないがしろにして再会の時を楽しみ、その後は確実にうまくやっていくんだろう二人を前にしてしまって、どうにもいたたまれなかったはずだ。
これはレベッカにとっても残念な状況といえたが、トミーが二人の女性に対して、それぞれの相手の尊厳を充分に尊重した対応をとっていれば、この物語も随分と違うものになっていったかもしれない。
(^_^)
祖母のクローンだというディマ(ジーナ・スティービッツ)という少女が登場するエピソードでは、何かと閉鎖がちな田舎町で生活している母親達の、"コピー人間"に対して忌み嫌う気持ちが描かれていた。
トミーの父親ラルフ(ピーター・ワイト)と母親ジュディス(レスリー・マンヴィル)に対しては自分の気持ちを素直に話せていたレベッカも、子供の人間関係や環境を考えると、そこでは事実を話せなかったというのはつらいところだったろう。
物語の舞台はドイツ北部なのか、随分と寒々しい砂浜の風景が広がる場所だ。
何もない小さなフェリー発着所にある巨大なトドのオブジェと、「あの子のことだからまた海を愛するだろう」という台詞がとても強く印象に残った。

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