五十、五徳・五戒・五行
儒教の仁・義・礼・智・信を五徳(五常)と申し、仏教の殺・盗・淫・妄・酒を五戒と為し、道教の金・木・水・火・土を五行と言うのであります。
三教の名は、すべて異なっているけれども、その実際の理に至れば一つであります。
その故は、若し殺生を戒めざれば即ち仁を失い、木を欠くことになります。
若し盗みを戒めなければ即ち義を失い、又金を欠くことになります。
邪淫(じゃいん)を戒めざれば礼を失い、火を欠くことになります。
若し酒・肉を戒めざれば即ち智を失い、水を欠くことになります。
妄語を戒めなければ即ち信を失い、土を欠くのであります。
故に儒家では人に五徳を行うことを教え、そして忠恕(ちゅうじょ)の道に合わすのであります。
仏教では人に五戒を守ることを教え、そして慈悲の心を証(あか)すのであります。
道教に於いては人に五行を修めることを教え、そして感応(かんのう)の霊を明らかにするのであるから、その理は同じではないでしょうか。
続く