妄語戒(三)
二十一、軽々しく他人を信用し、心のうちを話してはいけません。
以て以後あることないことが伝えられないように防ぎます。
たとえどんな場所でも最もよいのは他の人を称賛することです。
他人の悪口を言ってはいけません。
このようにすればいさかいを避けることができます。
二十二、舌は軟らかいといえども刀に比べてもっと鋭利になるときがあります。
多くのいさかいや怨みはすべて口、舌より招きます。
「禍は口より生ず」もし禍を免れたかったら口に三つの封印をして、役に立つ話をすることです。
もし不注意にも悪口を言ってしまったら、後で懺悔をし、慚愧の心を以て補わなければなりません。
二十三、失意の人は他人の関心を必要としています。
それ故に、その人の立場に立ってもの事を処理しなければなりません。
自分の立場や意見を以て他人におしつけてはいけません。
これは利己主義です。
二十四、物事に対してははっきりと観察し、いいかげんに結論を下してはいけません。
ある弟子が孔子様の為におかゆを作っている時、ご飯の上にものを落としてしまいました。
弟子は孔子様が食べてお腹を壊すといけないと思い、手を入れてつかみ出しました。
孔子様はちょうどごらんになっていて、彼は礼儀を知らない、師がまだ食べていないのに、どうして弟子が先に食べることができようか、とおっしゃいました。
その弟子が真相を話した後、孔子様は弟子たちをお集めになられて彼らにおっしゃいました。
「私自身の目で見ていても、他人に無実の罪を着せるのに、ましてや他人からあなたの耳に伝わった第三者を経た話は事実が捻じ曲げられないことはないでしょう。」ゆえに判断を下す前に必ず先に真相を調査し、他人の一方的な言葉を聞いてはいけません。
又猜疑心をもって疑ってもいけません。
そのようにして始めて是非を生ぜず、他人が試練を受けて倒れてしまう事がありません。
聖人も事実を見誤ることがあるのに、まして凡夫俗子においてはなおさらではないでしょうか。
二十五、政治家は将来大変な果報を受けます。
修行人は政治から遠く離れなければなりません。
人と一緒に街頭を回ったり、あるいはさがわしく宣伝を行ってもいけません。人心を惑わす話をしてはいけません。
もし身内が政治にかかわったとしても、できるだけ参与はいけません。
二十六、若い坤道(女)が人を済渡し、成全する時、慈悲心を用いるだけでよいです。
彼が誤解して、あなたに気があると思われるので、感情が存在してはいけません。
もしお互いに気持ちがあるなら誠実に交際することです。
二十七、妄語戒を犯す果報
(1)三悪道に堕ちる。
(2)多くの毀謗をうける。…すすぐことのできない無実の罪を受け、いつも人の排斥受ける。
(3)たぶらかされる…容易に他人に騙され、指摘され攻められる。
(4)自分の意見が受け入れられない。…自分の話したことが他人に受け入れられない。
(5)言葉が不明瞭です…生まれながらにしてみつ口で、舌が短く話がはっきりしません。
(6)果をあかすことができません。…どのように修行をしても果をあかすことができません。
(7)口臭が強いです。…全癒できない口臭によって体中が臭くなります。もし素食を食べていればだんだんと軽くなります。お肉を食べていると臭気は増加します。
二十八、妄語戒を持戒するよい果報
(1)口は常に清浄で優鉢羅(蓮の花の一種ですばらしい香りを発する)のような香りがします。芳香剤を噴霧する必要はなく、自然に香りを発生します。仏は冗談を言いません。顔全体をおおうように舌が伸びます。火葬した時に、歯が一つ一つみんなきれいに残っています。
(2)世間の敬いと信用を得る。…普遍に多くの人の尊敬と信任を得る。
(3)自己の心は歓喜し、他人の心は悦ぶ。…妄語を言わなければ歓喜の生気が真実の生活の中にあります。
(4)未来世では常に心地よい音を聞きます。来生耳元であなたを惑わせて、煩悩の為に吐息が出るようなことはありません。
(5)自らの威徳が増し、弁論に支障がありません。智慧が無量にわきだし、論才に支障がありません。
続く