goo blog サービス終了のお知らせ 

二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

死の都/新国立劇場13-14

2014-04-07 | オペラ
死の都/新国立劇場13-14

作曲:エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
指揮:ヤロスラフ・キズリンク
演出:カスパー・ホルテン
演奏:東京交響楽団
出演:
パウル:トルステン・ケール
マリエッタ、マリーの声:ミーガン・ミラー
フランク、ピエロ:アントン・ケレミチェフ
ブリギッタ:山下牧子

大きな部屋は宙に浮いているような感じで、奥の壁からは大きなブラインド越しに下界が遠景に見える。放射状に並んだ沢山の棚と横壁。棚と床には思い出の品、写真や箱や小さな家、バラの花束がランダムに多数置かれている。部屋のトーンは淡いベージュ。「死」の色。バラの赤は「生」の色か。置いてあるもの1つ1つは灯がともるようになっていて、多数バラの花束にはそれぞれに赤い小さなスポットライトが当たるようになっている。これらは夜のシーンなどで点燈される。中央に白いベッド。照明と映像の投影で各シーンのバリエーションを作って、舞台そのものはほとんど変更せずに全幕が上映された。

部屋は思い出の部屋。置いてあるものは思い出の品々。放射状に地上から空に向かって拡散してしていて、パウルはそれらに囚われて、宙を浮遊している。「生」の代表マリエッタがコートを脱ぐと真っ赤な衣裳に真っ赤なパンプス。赤い日傘。踊り子。劇中マイアベーヤの「悪魔のロベール」が引用される。

トルステン・ケールは高い音が金属的に響く強いテノール。ミーガン・ミラーは低い音と高い音がより合わさるように響く安定して強く美しいソプラノ。安定的にこのオペラを支配していたように思う。アントン・ケレミチェフも安定して迫力のあるバリトンで、特にややイタリアっぽいピエロのアリアが良かった。山下牧子は落ち着いた感じの美しいメゾ。ヴィクトリンの小原啓楼が安定したしっかりとしたバリトンでよかった。演奏はハープの音がふんだんに聴かれる美しい音、コルンゴルトの音を奏でた。

演出は抽象的でストーリー性がかなり犠牲になっていたが、過去に囚われず、「前へ」進んで行こうというメッセージが直裁に表現されていたように思う。コルンゴルトの若い時の作品なので、本人にその気は無かったと思うが、オペラが過去のものになりつつあった時代の作品なので、もしかしたらオペラに別れを告げる作品だったのかも知れない。最高に美しい別れを告げる。

フィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)からのプロダクション・レンタル。

14.03.21 新国立劇場


コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。