ニルヴァーナへの道

究極の悟りを求めて

ダライラマについてのロバートサーマン教授の新著

2008-05-25 21:17:56 | ダライラマ


チベット問題に関しては、最近は、主に英語掲示板を覗いています。それにしても、中国側の書き込みは凄いです。まさに怒涛の書き込みです。かつてのオウムヨンパチを思い出させる勢いがあります(笑い)。なかには、勢いあまって、中国語で書き込む人もいたりして、なかなか面白い。何か、専属の書き込みの人間が配置されている感じがします。量的に圧倒されますが、やはりしっかりとした論理で中国側とやり合っている人の書き込みを読むと非常に勉強になりますね。

ダライラマの最近の動向については、東アジア黙示録さんのところが非常に詳しくて、勉強になります。カルマパ17世の世界へのデビューについても詳しく解説してくれています。やはりダライラマは欧米で人気があるようです。その人気の秘密は何なのか。
http://dogma.at.webry.info/200805/article_9.html

ロバートサーマン教授のダライラマに関する本がもうまもなく出るそうです。
その本についてのサイトも出来ています。そこで、この本について語っています。
ダライラマの人気はこういうところにあるのか。
http://dalailamamatters.com/index.php

この映像はユーチューブにもアップされています。
トランスクリプトもありますので、それを日本語訳したものと両方載せます。
今度の本がどういう内容なのか、著者によって説明されていますので、まあ、その通りなのでしょう。
ご興味のある方、読んでみてください。
この本の表紙はなかなかカッコいいですね(笑い)。



Robert Thurman's New Book: 'Why The Dalai Lama Matters'




Hi! I’m so happy you came to my website. Thank you for coming here. The fact your here means you are interested in Tibet, in the Dalai Lama and you’re interested in the future of the world. And you’re taking a peek into what is a positive view.

ハーイ! ようこそ、私のウェブサイトへいらっしゃいました。大変うれしいです。ありがとうございます。あなたがここにいらっしゃったということは、あなたがチベットやダライラマ、そして世界の将来について関心をもっておられるからだと思います。それで、肯定的な意見を覗いてみたいとこのサイトを読んでおられるのですね。

One of the problems ― the biggest one we face maybe ― in the environment, the political situation, is the issue of being afraid and being desperate. But you came here, because even subconsciously if you don’t know if already, the Dalai Lama is someone who is happy and feels we can manage this.

私たちが今日直面している最も大きな問題の一つは、環境問題であれ、政治問題であれ、恐怖であり、絶望です。しかし、あなたがここにこられたということは、すでに無意識にであれ、ダライラマが幸福な人間であり、われわれが困難な問題を解決できるのではないかと感じておられるからではないかと思っています。

Positive vision, the Dalai Lama says we can make peace, make dialogue. Here, have no fear. The Dalai Lama is not afraid, he has been subjected to genocide of his people have for 50 years but he is not afraid. He doesn’t blame the people; they are part of a confused ideology, a mistaken machinery and therefore running over some people. You don’t think you’re committing genocide when you run over a pile of ants with your car. You didn’t see they were there.

ポジティブな、肯定的なビジョンこそが、われわれに平和をもたらし、対話を可能にするのだとダライラマは主張します。ここにおいては、もはや恐怖は存在しません。ダライラマは恐れないのです。チベットに住む人たちは50年にわたってジェノサイドの危機にさらされていますが、ダライラマは恐れないのです。ダライラマは漢族を責めません。彼らは間違ったイデオロギーや間違った組織の一部であり、それゆえに他の人を踏みつけているのです。あなたは自動車で蟻の一群を踏み潰してもジェノサイドを犯しているとは考えないでしょう。ただ蟻たちがそこにいることが分からなかったのです。

He sees it in a positive light. He offers a positive approach to the Chinese leaders, and he matters because if peace can be made in a nonviolent attempt to make Tibet a zone of peace, a nonviolent liberation struggle, that means all the violent ones can be made peaceful. They can start struggling non-violently and come up with solutions. Because we are clever; we can make solutions if we don’t kill the other person who has to help us with the solution. That’s what we’re talking about here, in Why the Dalai Lama matters.

ダライラマは肯定的な光の中で問題を見ているのです。彼は中国の指導者に対して肯定的なアプローチを提示しています。もし、非暴力の手段によってチベットを平和の地域にし、非暴力の解放闘争の象徴にすることができれば、それはすべての暴力的闘争は平和的に行うことが可能になるということを意味しているから、ダライラマの思想が重要になってくるのです。非暴力の手段によって解放運動を開始しそして解放の実現が可能になるのです。私たちは賢明な動物ですから、もし解決策を示しながら自分たちを助けようとする人を殺さなければ、私たちは問題の解決を可能にすることができるのです。それが私たちが「何故ダライラマが重要なのか(ダライラマが重要な理由)」の中で語っていることなのです。

We’re talking about it in the context of the Tibetan movement itself and overcome the idea it would be easy for China, in their interest, to help Tibet be free. Of course it’s in Tibet’s interest. Also, it’s in our interest as Americans to let it be free, to have China be more happy by not being colonial, not harming other people and therefore not oppressing people.

私たちはチベットの運動の文脈の中でダライラマの思想について語っています。そしてこの思想が理解されるならば、チベットを解放することは中国自身の利益に適うことになり、それを実現へ向かわせることは何ら難しいことではないでしょう。勿論、これはチベットの利益になります。さらに、植民地主義をなくし、他の民族を傷つけず、自国民を圧迫しなくなることによって、チベットが自由になり、中国がより幸せになることはアメリカの利益にもなるのです。

All of these things fit together, that’s what we talk about in the book, a positive vision. Which is the true secret for you to be happy and have a positive vision about America, the environment and your own life, your own livelihood, your profession. Is that we get the idea of we can and we don’t succumb to fear and terror.

これらのことすべてはお互いに関連しあっているのです。それがこの本の中で述べていることです。ポジティブなビジョンこそが、あなたを幸福にする本当の秘訣なのです。アメリカや環境、そしてあなた自身の人生、生活、仕事についてポジティブなビジョンを持つということ、それは私たちは出来るのだという考えを持つことであり、恐怖やテロに屈しないということなのです。

Roosevelt said, what should have been said at 9-11, “The only thing we have to fear is fear itself.” That’s what the Dalai Lama says. Fear leads to anger and hatred and then the other people have to be afraid of that, and it’s an infinite cycle. Jesus said that. Hatred will not overcome hatred. Don’t hate your enemy. Love your enemy. Buddha said hatred will not overcome hatred.

ルーズベルトは、9.11のときにも述べたと思いますが、次のように述べています。「私たちが本当に恐れなければならない唯一のもの、それは恐怖それ自身である。」 これはダライラマも語っていることです。恐怖は怒りや憎しみを導き、そしてもう一方の人たちはそれに対して恐れを抱くようになる、つまり、無限の悪循環に陥ることになるのです。キリストは憎しみは憎しみをなくすことはできないだろうと語りました。汝の敵を憎むな。汝の敵を愛せよ、ですね。ブッダは怒りによっては怒りに打ち勝つことはできないと語っています。

Only love will overcome hatred. Only tolerance will overcome hatred. Only patience will overcome hatred. That’s what your encountering here and in this book and my website. It’s a Yes We Can to China and a Yes We Can to Tibet, Yes we can to India. To Afghanistan. to everyone. To you. Thanks for coming.

愛のみが憎しみに打ち勝つのです。寛容こそが憎しみに打ち勝つのです。忍耐のみが怒りに打ち勝つことができるのです。それがあなたがここにおいて、そして、この本の中や私のウェブサイトで出会っている考え方なのです。中国、チベット、インド、アフガニスタン、すべての人たち、そしてあたなに対する、私たちはできるのだというメッセージなのです。このサイトに訪問していただいてありがとうございました。






Dalai Lama talks in Japanダライラマ法王記者会見@成田

2008-04-11 05:12:45 | ダライラマ
Dalai Lama talks in Japanダライラマ法王記者会見@成田 Part.1of5


ダライラマ法王は、チベットにおける抗議行動の根源には、チベットには言論の自由がないからだと訴える。そして、世界各地のチベット人に非暴力に徹するようにというメッセージを送ったと述べる。

Dalai Lama talks in Japanダライラマ法王記者会見@成田 Part.3of5


Dalai Lama talks in Japanダライラマ法王記者会見@成田 Part.4of5


江川紹子さんが、質問者として発言する。さすがに、オウムから「暗殺」されかかった江川さんだけあって、法王の身の安全を気遣われる質問をまず最初にされている。

Dalai Lama talks in Japanダライラマ法王記者会見@成田 Part.5of5



ダライ・ラマ法王日本代表部事務所からのメッセージ

2008-04-06 19:53:24 | ダライラマ




ダライ・ラマ法王日本代表部事務所からわれわれ日本人へメッセージが発せられていますので、このブログにも転載させてもらいます。
又、チベットハウス文化広報担当官ルントック氏がチャンネル桜に出演されて、現状を報告されていますので、その映像もこのブログにアップさせてもらいます。

日本の皆さまへ    2008年4月4日

チベットにおいて残虐な弾圧が行われている中、日本の皆さまがチベット問題に多大な関心と支援を寄せてくださっていることに深く感謝いたします。私たちの元にも、多くのあたたかい励ましのメッセージをいただいております。また、多くの方々が平和的なイベントを組織したり参加なさることを通して、チベット人への連帯を示してくださっています。指導者の方々や世界のさまざまな団体に手紙を書いてくださる方も大勢いらっしゃいます。

また、多くの方からご寄付をいただき、ブルー・ブック・プロジェクトにもお申し込みいただきました。しかしながら現在の状況下のため、お礼のお手紙と領収書のご送付が遅れております。この点につきましてお詫び申し上げるとともに、できるかぎり早急にブルー・ブックと領収書をお送りさせていただきます。

日本は民主主義の平和な国であり、普遍的原則である人権が非常に尊重されている国です。日本の人々は言論と表現の自由を大いに享受していますが、チベット人にはその自由がありません。今回チベットでおきた残忍な弾圧がこの事実を明らかにしています。
この重大な時に、日本の皆さまが支援の声をあげてくださることが、チベット人にとっては大きな助けとなります。ひとりの人間として、不正や暴虐に抗議の声をあげる精神と行動は、自由で平和な世界をつくるうえで大きな貢献となるのです。

私は、いまなお圧政に苦しむチベット人の兄弟姉妹を代表し、皆さまが心からチベットを憂慮しご支援くださることに対して深く感謝申し上げます。私たちにあるのは、真実、誠実、そして非暴力だけです。どうか、ひき続きチベット人のためにお知恵をお貸しいただき、抗議の声をあげていただいくことでご支援くださいますよう、心よりお願い申上げます。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表 ラクパ・ツォコ


チベットの現状報告-ルントック氏に聞く1/2



チベットの現状報告-ルントック氏に聞く2/2






    



タイム最新号のカバーストーリーはダライラマ

2008-03-23 21:15:35 | ダライラマ


タイム最新号のカバーストーリーは、国内版、ヨーロッパ版、アジア版、南太平洋版、すべて、ダライラマに関する、作家Pico Iyerの新著「The Open Road: The Global Journey of the Fourteenth Dalai Lama. 」の内容を基にして書かれたものだ。タイム社のチベット問題に対する姿勢が伝わってくるというものだ。

タイムの編集長は読者へ「Tackling Tibet」(チベット問題に取り組む)と題して、メッセージを書いている。
その中に次のような箇所がある。

Our article comes at a time when the events in Tibet are making that land at the roof of the world one of the most important stories of the year. Chinese enterprise has transformed Tibet in recent years, bringing material benefits to Tibetans but also feeding anxieties about the erosion of their cultural freedoms. Those resentments exploded in the streets of Lhasa and other cities this month, prompting a clampdown by Chinese authorities. That has provoked talk of a partial boycott of the opening ceremonies of the Olympics in Beijing. But by seeking dialogue with the Dalai Lama, as called for by U.S. Secretary of State Condoleezza Rice, China's rulers can show the world their commitment to promoting freedom and safeguarding human rights.
(われわれの今回のカバーストーリーはチベットでの大きな事件が世界の屋根にあるチベットを今年の最も重要な物語の一つにしているときに、書かれた。中国のチベットにおける企て、事業は、近年チベットを変えてきた。チベット人に物質的な恩恵をもたらすと共に、彼らの文化的な自由を侵食しているのではないかという不安も掻き立ててきている。このような怒りはラサの街や他の都市で爆発し、中国当局の弾圧を招いている。このような中国の行為は北京五輪の開会式のセレモニーの部分的ボイコットについての議論も引き起こしてきている。しかし、ライス国務長官による中国当局へのダライラマとの対話への呼びかけに応じることによって、中国は世界に対して彼らも自由を促進し人権を守ろうと努力しているのだということを示すことができるのだ。)

この、中国に対するダライラマとの対話への呼びかけは、世界の主要な民主主義国家や、自由を愛する人たちの、基本的な意見だろう。

イギリスのエコノミスト誌も次のようにダライラマとの対話を呼びかけている。

Serious talks with the Dalai Lama, and the possibility of his returning home for the first time since fleeing to exile in India after an uprising in 1959, might help assuage Tibetan anger. It would also help vindicate those who argued that the staging of the Olympic games in Beijing would make China less repressive. It would give China the chance, belatedly, to honour the promise of autonomy it gave Tibet in 1951, in an agreement foisted on the young Dalai Lama. It would boost its image around the world, and even in Taiwan, which might become less averse to the idea of Chinese sovereignty.
(真剣なダライラマとの対話、そして1959年の蜂起以来インドに亡命しているダライラマが初めて祖国に帰還できる可能性が出てくれば、チベット人の怒りが和らげられるかもしれない。そして、そのことは、北京でオリンピックを開催することによって中国をより抑圧の少ない国にできるという主張をする人たちの正しさを証明できることにもなるのだ。又、それは、遅ればせながら、1951年に若いダライラマとの間で結ばれた合意の中で、チベットに自治を与えるという約束を履行するチャンスを中国に与えることになる。このことは、さらに、中国のイメージを世界に向かって引き上げることにもなり、台湾に対してさえも、中国の統治に対しての恐怖を和らげるかもしれないのだ。)

the East Asian Legal Studies Program at Harvard Law Schoolの上級研究者である、自らもチベットからの亡命者であるロブサン・サンゲイも、タイム誌の記事の中で、中国側がダライラマと対話し交渉することによって、チベットとの間で結ばれた合意を実行することによって、チベット問題の解決へと導いていけるのだというような意味のことを語っている。しかし、中国側は、ダライラマからの呼びかけに真剣に耳を傾けようとしない。このことにチベット人は怒っているのだ。

The protestors, says Sangay, are not rejecting the Dalai Lama's call for dialogue and negotiations, but Beijing's refusal to take negotiations seriously. "It's not that the Dalai Lama is wrong," says Sangay. "It's that the Dalai Lama's approach is right but that the partner is not willing and the people see the Dalai Lama being taken for a ride."
(抗議する人たちは、ダライラマの対話や交渉の呼びかけに反対しているわけではないのだ、とサンゲイは言う。北京の、交渉を真剣にやろうとしない姿勢に怒っているのだ。サンゲイは言う、「ダライラマが間違っているのではないのだ。ダライラマのアプローチは正しい。しかし、中国側は真剣に対話しようとしないので、ダライラマは騙されているのだとチベットの人たちは見ているのだ。)







今回のチベット弾圧に関していろいろ思う

2008-03-23 13:50:31 | ダライラマ



今回のチベット問題に関しては、明らかに、朝日新聞はやる気がない。
購読している新聞を見てもそれはよく伝わってくる。
このことは、西村幸祐さんのブログでも指摘されている。
現在の中国政府をあまり批判したくない「中国御用新聞」の朝日としては、嵐の過ぎ去るのをじっと待っているという心境だろう。

が、アメリカの下院議長であるペロシ女史が、急遽インドのダラムサラを訪れ次のようなメッセージを世界に向けて発した。

「If freedom-loving people throughout the world do not speak out against China's oppression in China and Tibet, we have lost all moral authority to speak on behalf of human rights anywhere in the world」
(もし世界中の自由を愛する人たちが、中国やチベットで行われている人権抑圧にたいして抗議の声を挙げなければ、私たちは、世界の他のすべての場所における人権擁護のために発言する道徳的権威を失ってしまう。)

朝日は、このペロシ女史の前半部分を紹介しているが、後半部分はカットしている。
今回の中国の殺戮に対して積極的に抗議の声を挙げていない朝日としては、後半部分は都合が悪かったのだろう。
それにしても、中国当局の「北京五輪の妨害を狙ったダライ集団が画策、扇動した暴動だ」という声明に何の批判もしないのだろうか。これは明らかに中国側の事実の捏造、でっち上げだ。朝日はこの声明をありがたく押し頂くのだろうか。いくらなんでも、それはないですよ、の一言も発せられないのだろうか。ダライラマ法王のCNN-IBNインタビューでも見て下さい。あなた方が警戒しているユーチューブにアップされていますが。そんなこともいえないほど、中国政府のロボットと化しているのだろうか。これではオウム真理教のマインドコントロールを笑えない。
この声明は、まさに、中国の政治行動の本性をはしなくも露呈したということができるのではないかなと思う。毒入り餃子の事件についても、中国の姿勢に怒り心頭に達した人も多かったのではないだろうか。自分の都合の悪いことは、事実のでっち上げ、捏造してでも自分の正当化を図るというのが、漢民族の本性ではないのか。この延長線上に南京虐殺事件のデッチ上げがあることは間違いない。
まさに、ペロシ女史が述べているように、今回のチベット人に対する中国の弾圧に対する姿勢は、本当の人権を守る覚悟を持っているか否かが、問われる試金石、リトマス試験紙になるだろう。朝日は明らかにダブルスタンダードを中国に対しては適用している。要は、チベット人の人権なんてどうでもよいのだ。

宮崎正弘のチベット情勢分析

2008-03-19 23:43:30 | ダライラマ
評論家の宮崎正弘さんがチャンネル桜で今回のチベットの決起について分析されています。チャンネル桜は非常に質の高いチベット問題分析の放送をしている。月曜日はペマギャルポさんが出演されていた。
又、三月20日には、デモ行進も主催する。

混乱するチベット情勢―中国の思惑1/3



混乱するチベット情勢―中国の思惑2/3


混乱するチベット情勢―中国の思惑3/3








今回のチベット人の「決起」について思うこと

2008-03-16 22:12:05 | ダライラマ



かつて三島由紀夫は次のように語った。

「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。」
(「サンケイ新聞」1970年7月7日)

又、生長の家創始者谷口雅春先生の「占領憲法下の日本」の序文で、次のようにも書かれている。

「このたび谷口雅春師の『占領憲法下の日本』という、憂国慨世の書を読むに当たり、私は殊に、その「生命体としての日本国家」の章に深く感動した。これこそは久しく私の求めていた国家像であり、生命体としての個的自覚と、生ける全体とをつなぐ唯一の橋がここに語られていると思われた。」

今度の、チベットにおけるチベットの人たちの決死の覚悟の「決起」をまのあたりにして、この三島由紀夫の日本に対する「遺言」を思い出さずにはおられなかった。チベットの人たちも、チベットの「国体」を日々蝕んでいく現状には我慢ならなかったのであろう。三島由紀夫と同じように、このままいったら、チベットはなくなってしまうのではないかという憂国の情が日ましに高まっていったのであろう。私はこのたび決死の覚悟で「決起」した人たちには、心からの連帯の気持ちを感じる。タイム誌も書いているように、チベットにとって、ターニングポイントになったように、私にとっても、様々に意味で、ターニングポイントとなったチベットの人たちの勇敢な行動であった。この行動によって、何かかが変わっていくはずだ。この「何か」は何であるかはまだ分からない。だが、行動を起こさなければ何も変わらないのだ。

チベット情勢緊迫

2008-03-15 13:16:31 | ダライラマ


さすがに「中国の御用新聞」(石平)である朝日も無視を決め込むことができなくなったのか、今日の朝刊の一面に大きくチベットのデモを報じている。
私は朝日を購読しています。歴史認識や政治思想は異なることが多いが、最も影響力の大きい新聞の論調をチェックするという立場で購読しています。もう一つ、本の広告が充実していることも購読の理由です。

さて、チベットのデモであるが、金曜の夜からCNNやBBCで盛んに報じている。さすがに、世界のジャーナリズムをリードするメディアである。日本の腰抜けメディアとは、意識が全くことなる。勿論、それぞれの偏見や固定観念はあるが、少なくとも、世界で何が起きているのかを知ろうとするならば、この二つのメディアを無視することはできないだろう。

タイムの記事では、今回のデモはチベット版のインティファーダではないか、ということで、あるチベット専門家の言葉を紹介している。
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1722509,00.html

「Whatever the outcome, though, it seemed to be a turning point in the history of Tibet and perhaps also China. "This is massive," said one Tibet specialist who was in touch with many Lhasa residents, "it is the intifadeh. And it will be a long, long time before this ends, whatever happens today or tomorrow."」
(今回のデモの結果がどのようになろうとも、これは、チベットや中国の歴史においてターニングポイントとなるように思える。「これは広範囲に及ぶデモです。」とあるラサの多くの住民と接触のあるチベットの専門家は語る。「これはインティファーダです。そして、この抗議運動は、今日や明日に何が起ころうとも、これが終るまでには、非常に長い時間がかかることでしょう。」)

なるほど、チベットにおける、中国の侵略に対するインティファーダなのか。しかし、イスラエルと中国のどちらが、侵略度が高いかといえば、勿論、中国のほうが圧倒的に高い。歴史的にみても、中国の、チベットは中国の一部だとする主張は、全くの暴論なのだ。文化的にも、チベットと中国は全く異なる国家なのである。勿論、清朝の時代にチベットを侵略したことはあったが、だからといって、チベットは中国のものだとする主張は狂っていることは普通の歴史感覚を持っているものには誰にでも理解できることである。が、中国共産党の人間には理解できないらしいのだ。

それでは、現代中国人の考え方、歴史意識とはどのようなものなのか?

「・・・・・モンゴルも、チベットも、東トルキスタンも、満州人の清帝国の「領土」ではなく、清朝皇帝の同盟種族の住地だったにすぎない。それがどうして、現代の中国人の立場から見れば、中国の一部だったことになるかというと、現代中国が、日本型の国民国家化を目標としているからなのだ。日本では、国境の内側の住民は全員が日本人だというのになぞらえて、国境の内側の住民は全員、中国人(漢人)であるべきだ、全員が同じ中国語(漢語)を話すべきだ、全員が黄帝の子孫の「中華民族」(漢族)だという意識をもつべきだ、というのが、現代中国人の理想だからだ。
 中華人民共和国のチベット自治区や、内モンゴル自治区や、新疆ウイグル自治区で起こっている、人権侵害問題のほんとうの原因は、中国共産党が、この日本型の国民国家化を実現する手段として、少数民族を絶滅させようとめざしていることにある。
 チベットでは、チベット人を残酷に弾圧して、チベット文化を根絶しようと試みている。チベット語を学校では教えない。中国語(漢語)で話すことを強制する。チベット仏教の信仰を禁止する。ダライラマの写真があれば没収され、持ち主は拷問され、監獄にぶちこまれる、というような残酷な統治方針をとっているのは、単なる人権侵害ではない。中国共産党のたてまえでは、チベット人はほんらい、悠久のむかしから中国の領土の一部である土地に、たまたま住んでいる少数民族にすぎず、れっきとした中国人であるにもかかわらず、自分が中国人であるということを否認し、中国の文化に同化されることを拒否しているのは、祖国に対する反逆だ、という認識になるわけだ。」
岡田英弘著「歴史とはなにか」(文春新書)より

いやー、書き写していて、怒りがこみ上げてきましたわ(苦笑)。
そもそも、こんな自分勝手な論理を振りかざす民族と共存共栄なんて出来ないのは当たり前でしょう。
中国のチベット支配を容認する人たちは、このような論理も受け入れるのでしょうか。
チベットの悲劇とは、とりもなおさず、中国に侵略されっぱなしであることにある。ダライラマが「文化的ジェノサイド」と呼んでいるのも、こういう中国側の論理を聞かされれば、よく理解できるというものです。こういう考え方を持っている民族に支配されたら、時間が経てばたつほど、支配された民族の情況は悪化していく。ダライラマの非暴力の方法も、考え直さなければならない時期に来ているのではないか。チベット青年会議の暴力主義も理解できるというものです。

ダライラマ法王CNN-IBNインタビュー


日本人が知らなさ過ぎるチベット問題

2007-12-30 01:15:51 | ダライラマ
この前、同じニュースの簡略版を紹介させてもらいましたが、完全なヴァージョンがアップされています。
上村さんの言うように、日本は中国に対して言うべきことはいうべきでしょう。
それが日本の最低限の義務だと思うのですが、中国からの仕返しが恐いのか、なぜか、チベット問題に言及することを避けようとする。
勝谷さんが暴露しているように、日本のある大新聞が来日していたダライラマとインタビューしたにもかかわらず、それを発表しないままにしたとすれば、これも大問題でしょう。いかに、マスコミが、大国からの恫喝に弱いか、よく分かるというものです。これでは、「ジャーナリスト宣言」している組織としての拠って立つ根本の哲学は一体何なのか、分からなくなります。

日本人が知らなさ過ぎるチベット問題 2-1


日本人が知らなさ過ぎるチベット問題 2-2




ダライラマCNN-IBNインタビュー(3)

2007-12-24 20:48:15 | ダライラマ
Dalai Lama - Exclusive Interview 2 (TWO) on april 8th



Karan Thapar: I understand your attitude, I understand your response to the Chinese PM. Let me now put before you a problem. You are already 71. The Chinese say the age is against you and time is on their side.

ゲイカの姿勢は理解できましたし、中国首相に対するあなたの言い分も理解できました。さて、さらにもう一つの問題をここで提示させてください。
ゲイカはもうすでに71歳です。中国は年齢はあなたの敵であり、時間はわれわれの側にあると述べています。

Dalai Lama: That's okay. The Tibet issue is not my issue–as in, not an individual's issue or "old institution" sort of interest. No, it's not

それは分かりました。チベット問題とは私の問題ではないのです、個人的な問題、あるいは、「古い制度」の問題でもないように。

Karan Thapar: So it will continue?

ダライラマの制度は将来も続いていくのですか?

Dalai Lama: Aah, whether the Dalai Lama institution will continue is up to people. As early as 69 I stated that whether the very institution of Dalai Lama should continue is up to people. This is not the issue. The issue is the six million Tibetan people.

そうですねえ、ダライラマの制度が続いていくかどうかはチベット人の意思にかかっているのです。わたしが69歳のとき、ダライラマの制度そのものが続いていくべきかどうかはチベット人の意思によるのだということを発表しました。ですから、これはもう論争議題ではないのですよ。問題は600万人のチベット人なのです。

Karan Thapar: And that is important?

それは重要ですか?

Dalai Lama: So long the Tibetan people remain, this issue–unless you solve is practically and realistically–will remain.

チベット人が存在する限り、この問題はーーチベット人が実際的に現実的に解決しない限りーー残っていくでしょう。

Karan Thapar: So in other words, don't hope that Dalai Lama will die and issue will end. The issue will continue.

つまり、こういうことですか。ダライラマが死んだらこの問題が終るのではないのだ、ずっと続いていくのだ、ということですね。

Dalai Lama: Yes, absolutely.

はい、まったくその通りです。

Karan Thapar: Let me look briefly at the other side. You've advocated a middle way but young Tibetans say the middle way hasn't produced results. They are becoming impatient and are tired of living in exile. They want a more assertive and a more aggressive policy. They even talk about the need of using violence.

少し他の側面に触れさせて下さい。ゲイカは中道を提唱されています。しかし、チベットの若い人たちは中道路線はまったく結果を伴っていないではないかと不満を語っています。彼らはせっかちになり、異郷での生活に疲れています。彼らはより確実なより攻撃的な方法を求めています。そして彼らは暴力の使用の必要さえ語っています。

Dalai Lama: Unfortunately, among Tibetan people – particularly among the youth – there are signs of growing frustration. But meantime, I tell them 'yes, you demands are right, doesn't matter'. But if they really want a different approach then they must assure us, the people the method step by step. That's not very clear.

不幸なことですが、チベット人の中にはーー特に若い人たちの中にはーー不満の増大の兆候がみられます。しかし、それに対して、私は彼らに次のように話しています。「分かりました。あなた方の要求は正しいものであり、問題はありません。」 しかし、もしあなた方が異なるアプローチを望んでいるならば、わたしたちを、チベット人を納得させなければなりませんね、どのような方法でやるのか、一歩一歩。それが明確でないのです。

Karan Thapar: So, you are challenging the youth of Tibet by saying 'I understand your impatience, but if you want to influence policy, you have to do it systematically and show method. You have to show that you are capable of leadership.'

つまり、ゲイカは焦っている若いチベット人たちに次のようなことを語りながら挑発されているわけですね。「あたた方の焦りは理解できます。しかし、もし影響を及ぼす方法を望んでいるのならば、あなた方はそれをシステマティカリーに行い、その方法を示さなければなりません。統率力を発揮できることを示さなければなりません。」

Dalai Lama: That's right

そうです。

Karan Thapar: Let me quote to you Your Holiness what you said in 2003 to a French reporter. You said 'If no results can be achieved in two or three years of negotiations, I would find it hard to explain to the young people that the middle way is effective.' Today, that two or three year period is over. Negotiations haven't started. So what do you say to the young today?

ゲイカが2003年あるフランス人の記者に語った言葉を引用させてください。ゲイカは次のようにおっしゃられましたね。「ここ2、3年の交渉の間に何の結果も達成されないならば、チベットの若い人たちに、中道路線は効果的だと説得できなくなる。」 現在、もう2,3年は経ち、交渉すら始まっていません。この成り行きをどのように若い人たちに説明するのですか?

Dalai Lama: Concrete results have not yet happened. However, the support and sympathy among the Chinese is growing.

具体的な結果はいまだに実現されていませんが、中国人の間に支援や共鳴の輪が広がっているのです。

Karan Thapar: I am not surprised Your Holiness that you see a silver lining on every cloud. Many people believe that the run-up to the Beijing Olympics of 2008 will give you the best opportunity for a settlement in China. Do you think you can grab that and make it happen or will 2008 slip away without settlement?

ゲイカ、いまさら、ゲイカが暗黒の中に一筋の光明を見る姿に驚きはしません。多くの人は北京オリンピックへの準備段階でゲイカに中国との何らかの解決がもたらされるのではないかと考えているのですが、ゲイカはこの機会を捉えて、何らかの解決がもたらされるのではないのか、あるいは2008年が何の解決もなしに過ぎ去ってしまうのではないのか、どのように考えていらっしゃいますか?

Dalai Lama: Yes, many people are appealing for that, saying that before Olympics this is a possibility and after that things may become more difficult. Firstly, as I said, this is one nations' issue, we have an election every five years. So, if youth have serious programme, they must tell the public and let them elect an assertive leader. No problem.

そうですね、多くの人たちはそのことを強く訴えています。オリンピックの前には可能性がありそれが過ぎ去れば、難しくなると。で、私がお話しましたように、まず第一に、これは一つの国の問題なのです。わたしたちは五年ごとに選挙があります。ですから、もし、若い人たちが真剣なプログラムを持っているなら、それを公表しなければなりません。そしてチベット人に明確な指導者を選ばせればいいのです。何の問題もありません。

Karan Thapar: You are throwing a challenge to the youth aren't you?

ゲイカは若い人たちを挑発しているのですか?

Dalai Lama: No, this is the truth. I admire them They are spirited, and are absolutely loyal to our nation. But sometimes they are little impatient

違います。これは真実なんです。わたしはかれらを敬愛しています。彼らは大変熱意がありますし、わたしたちの国に絶対的な忠誠を持っています。しかし、時々彼らはせっかちになってしまうのですね