ニルヴァーナへの道

究極の悟りを求めて

タイム最新号のカバーストーリーはダライラマ

2008-03-23 21:15:35 | ダライラマ


タイム最新号のカバーストーリーは、国内版、ヨーロッパ版、アジア版、南太平洋版、すべて、ダライラマに関する、作家Pico Iyerの新著「The Open Road: The Global Journey of the Fourteenth Dalai Lama. 」の内容を基にして書かれたものだ。タイム社のチベット問題に対する姿勢が伝わってくるというものだ。

タイムの編集長は読者へ「Tackling Tibet」(チベット問題に取り組む)と題して、メッセージを書いている。
その中に次のような箇所がある。

Our article comes at a time when the events in Tibet are making that land at the roof of the world one of the most important stories of the year. Chinese enterprise has transformed Tibet in recent years, bringing material benefits to Tibetans but also feeding anxieties about the erosion of their cultural freedoms. Those resentments exploded in the streets of Lhasa and other cities this month, prompting a clampdown by Chinese authorities. That has provoked talk of a partial boycott of the opening ceremonies of the Olympics in Beijing. But by seeking dialogue with the Dalai Lama, as called for by U.S. Secretary of State Condoleezza Rice, China's rulers can show the world their commitment to promoting freedom and safeguarding human rights.
(われわれの今回のカバーストーリーはチベットでの大きな事件が世界の屋根にあるチベットを今年の最も重要な物語の一つにしているときに、書かれた。中国のチベットにおける企て、事業は、近年チベットを変えてきた。チベット人に物質的な恩恵をもたらすと共に、彼らの文化的な自由を侵食しているのではないかという不安も掻き立ててきている。このような怒りはラサの街や他の都市で爆発し、中国当局の弾圧を招いている。このような中国の行為は北京五輪の開会式のセレモニーの部分的ボイコットについての議論も引き起こしてきている。しかし、ライス国務長官による中国当局へのダライラマとの対話への呼びかけに応じることによって、中国は世界に対して彼らも自由を促進し人権を守ろうと努力しているのだということを示すことができるのだ。)

この、中国に対するダライラマとの対話への呼びかけは、世界の主要な民主主義国家や、自由を愛する人たちの、基本的な意見だろう。

イギリスのエコノミスト誌も次のようにダライラマとの対話を呼びかけている。

Serious talks with the Dalai Lama, and the possibility of his returning home for the first time since fleeing to exile in India after an uprising in 1959, might help assuage Tibetan anger. It would also help vindicate those who argued that the staging of the Olympic games in Beijing would make China less repressive. It would give China the chance, belatedly, to honour the promise of autonomy it gave Tibet in 1951, in an agreement foisted on the young Dalai Lama. It would boost its image around the world, and even in Taiwan, which might become less averse to the idea of Chinese sovereignty.
(真剣なダライラマとの対話、そして1959年の蜂起以来インドに亡命しているダライラマが初めて祖国に帰還できる可能性が出てくれば、チベット人の怒りが和らげられるかもしれない。そして、そのことは、北京でオリンピックを開催することによって中国をより抑圧の少ない国にできるという主張をする人たちの正しさを証明できることにもなるのだ。又、それは、遅ればせながら、1951年に若いダライラマとの間で結ばれた合意の中で、チベットに自治を与えるという約束を履行するチャンスを中国に与えることになる。このことは、さらに、中国のイメージを世界に向かって引き上げることにもなり、台湾に対してさえも、中国の統治に対しての恐怖を和らげるかもしれないのだ。)

the East Asian Legal Studies Program at Harvard Law Schoolの上級研究者である、自らもチベットからの亡命者であるロブサン・サンゲイも、タイム誌の記事の中で、中国側がダライラマと対話し交渉することによって、チベットとの間で結ばれた合意を実行することによって、チベット問題の解決へと導いていけるのだというような意味のことを語っている。しかし、中国側は、ダライラマからの呼びかけに真剣に耳を傾けようとしない。このことにチベット人は怒っているのだ。

The protestors, says Sangay, are not rejecting the Dalai Lama's call for dialogue and negotiations, but Beijing's refusal to take negotiations seriously. "It's not that the Dalai Lama is wrong," says Sangay. "It's that the Dalai Lama's approach is right but that the partner is not willing and the people see the Dalai Lama being taken for a ride."
(抗議する人たちは、ダライラマの対話や交渉の呼びかけに反対しているわけではないのだ、とサンゲイは言う。北京の、交渉を真剣にやろうとしない姿勢に怒っているのだ。サンゲイは言う、「ダライラマが間違っているのではないのだ。ダライラマのアプローチは正しい。しかし、中国側は真剣に対話しようとしないので、ダライラマは騙されているのだとチベットの人たちは見ているのだ。)







今回のチベット弾圧に関していろいろ思う

2008-03-23 13:50:31 | ダライラマ



今回のチベット問題に関しては、明らかに、朝日新聞はやる気がない。
購読している新聞を見てもそれはよく伝わってくる。
このことは、西村幸祐さんのブログでも指摘されている。
現在の中国政府をあまり批判したくない「中国御用新聞」の朝日としては、嵐の過ぎ去るのをじっと待っているという心境だろう。

が、アメリカの下院議長であるペロシ女史が、急遽インドのダラムサラを訪れ次のようなメッセージを世界に向けて発した。

「If freedom-loving people throughout the world do not speak out against China's oppression in China and Tibet, we have lost all moral authority to speak on behalf of human rights anywhere in the world」
(もし世界中の自由を愛する人たちが、中国やチベットで行われている人権抑圧にたいして抗議の声を挙げなければ、私たちは、世界の他のすべての場所における人権擁護のために発言する道徳的権威を失ってしまう。)

朝日は、このペロシ女史の前半部分を紹介しているが、後半部分はカットしている。
今回の中国の殺戮に対して積極的に抗議の声を挙げていない朝日としては、後半部分は都合が悪かったのだろう。
それにしても、中国当局の「北京五輪の妨害を狙ったダライ集団が画策、扇動した暴動だ」という声明に何の批判もしないのだろうか。これは明らかに中国側の事実の捏造、でっち上げだ。朝日はこの声明をありがたく押し頂くのだろうか。いくらなんでも、それはないですよ、の一言も発せられないのだろうか。ダライラマ法王のCNN-IBNインタビューでも見て下さい。あなた方が警戒しているユーチューブにアップされていますが。そんなこともいえないほど、中国政府のロボットと化しているのだろうか。これではオウム真理教のマインドコントロールを笑えない。
この声明は、まさに、中国の政治行動の本性をはしなくも露呈したということができるのではないかなと思う。毒入り餃子の事件についても、中国の姿勢に怒り心頭に達した人も多かったのではないだろうか。自分の都合の悪いことは、事実のでっち上げ、捏造してでも自分の正当化を図るというのが、漢民族の本性ではないのか。この延長線上に南京虐殺事件のデッチ上げがあることは間違いない。
まさに、ペロシ女史が述べているように、今回のチベット人に対する中国の弾圧に対する姿勢は、本当の人権を守る覚悟を持っているか否かが、問われる試金石、リトマス試験紙になるだろう。朝日は明らかにダブルスタンダードを中国に対しては適用している。要は、チベット人の人権なんてどうでもよいのだ。

宮崎正弘のチベット情勢分析

2008-03-19 23:43:30 | ダライラマ
評論家の宮崎正弘さんがチャンネル桜で今回のチベットの決起について分析されています。チャンネル桜は非常に質の高いチベット問題分析の放送をしている。月曜日はペマギャルポさんが出演されていた。
又、三月20日には、デモ行進も主催する。

混乱するチベット情勢―中国の思惑1/3



混乱するチベット情勢―中国の思惑2/3


混乱するチベット情勢―中国の思惑3/3








今回のチベット人の「決起」について思うこと

2008-03-16 22:12:05 | ダライラマ



かつて三島由紀夫は次のように語った。

「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。」
(「サンケイ新聞」1970年7月7日)

又、生長の家創始者谷口雅春先生の「占領憲法下の日本」の序文で、次のようにも書かれている。

「このたび谷口雅春師の『占領憲法下の日本』という、憂国慨世の書を読むに当たり、私は殊に、その「生命体としての日本国家」の章に深く感動した。これこそは久しく私の求めていた国家像であり、生命体としての個的自覚と、生ける全体とをつなぐ唯一の橋がここに語られていると思われた。」

今度の、チベットにおけるチベットの人たちの決死の覚悟の「決起」をまのあたりにして、この三島由紀夫の日本に対する「遺言」を思い出さずにはおられなかった。チベットの人たちも、チベットの「国体」を日々蝕んでいく現状には我慢ならなかったのであろう。三島由紀夫と同じように、このままいったら、チベットはなくなってしまうのではないかという憂国の情が日ましに高まっていったのであろう。私はこのたび決死の覚悟で「決起」した人たちには、心からの連帯の気持ちを感じる。タイム誌も書いているように、チベットにとって、ターニングポイントになったように、私にとっても、様々に意味で、ターニングポイントとなったチベットの人たちの勇敢な行動であった。この行動によって、何かかが変わっていくはずだ。この「何か」は何であるかはまだ分からない。だが、行動を起こさなければ何も変わらないのだ。

チベット情勢緊迫

2008-03-15 13:16:31 | ダライラマ


さすがに「中国の御用新聞」(石平)である朝日も無視を決め込むことができなくなったのか、今日の朝刊の一面に大きくチベットのデモを報じている。
私は朝日を購読しています。歴史認識や政治思想は異なることが多いが、最も影響力の大きい新聞の論調をチェックするという立場で購読しています。もう一つ、本の広告が充実していることも購読の理由です。

さて、チベットのデモであるが、金曜の夜からCNNやBBCで盛んに報じている。さすがに、世界のジャーナリズムをリードするメディアである。日本の腰抜けメディアとは、意識が全くことなる。勿論、それぞれの偏見や固定観念はあるが、少なくとも、世界で何が起きているのかを知ろうとするならば、この二つのメディアを無視することはできないだろう。

タイムの記事では、今回のデモはチベット版のインティファーダではないか、ということで、あるチベット専門家の言葉を紹介している。
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1722509,00.html

「Whatever the outcome, though, it seemed to be a turning point in the history of Tibet and perhaps also China. "This is massive," said one Tibet specialist who was in touch with many Lhasa residents, "it is the intifadeh. And it will be a long, long time before this ends, whatever happens today or tomorrow."」
(今回のデモの結果がどのようになろうとも、これは、チベットや中国の歴史においてターニングポイントとなるように思える。「これは広範囲に及ぶデモです。」とあるラサの多くの住民と接触のあるチベットの専門家は語る。「これはインティファーダです。そして、この抗議運動は、今日や明日に何が起ころうとも、これが終るまでには、非常に長い時間がかかることでしょう。」)

なるほど、チベットにおける、中国の侵略に対するインティファーダなのか。しかし、イスラエルと中国のどちらが、侵略度が高いかといえば、勿論、中国のほうが圧倒的に高い。歴史的にみても、中国の、チベットは中国の一部だとする主張は、全くの暴論なのだ。文化的にも、チベットと中国は全く異なる国家なのである。勿論、清朝の時代にチベットを侵略したことはあったが、だからといって、チベットは中国のものだとする主張は狂っていることは普通の歴史感覚を持っているものには誰にでも理解できることである。が、中国共産党の人間には理解できないらしいのだ。

それでは、現代中国人の考え方、歴史意識とはどのようなものなのか?

「・・・・・モンゴルも、チベットも、東トルキスタンも、満州人の清帝国の「領土」ではなく、清朝皇帝の同盟種族の住地だったにすぎない。それがどうして、現代の中国人の立場から見れば、中国の一部だったことになるかというと、現代中国が、日本型の国民国家化を目標としているからなのだ。日本では、国境の内側の住民は全員が日本人だというのになぞらえて、国境の内側の住民は全員、中国人(漢人)であるべきだ、全員が同じ中国語(漢語)を話すべきだ、全員が黄帝の子孫の「中華民族」(漢族)だという意識をもつべきだ、というのが、現代中国人の理想だからだ。
 中華人民共和国のチベット自治区や、内モンゴル自治区や、新疆ウイグル自治区で起こっている、人権侵害問題のほんとうの原因は、中国共産党が、この日本型の国民国家化を実現する手段として、少数民族を絶滅させようとめざしていることにある。
 チベットでは、チベット人を残酷に弾圧して、チベット文化を根絶しようと試みている。チベット語を学校では教えない。中国語(漢語)で話すことを強制する。チベット仏教の信仰を禁止する。ダライラマの写真があれば没収され、持ち主は拷問され、監獄にぶちこまれる、というような残酷な統治方針をとっているのは、単なる人権侵害ではない。中国共産党のたてまえでは、チベット人はほんらい、悠久のむかしから中国の領土の一部である土地に、たまたま住んでいる少数民族にすぎず、れっきとした中国人であるにもかかわらず、自分が中国人であるということを否認し、中国の文化に同化されることを拒否しているのは、祖国に対する反逆だ、という認識になるわけだ。」
岡田英弘著「歴史とはなにか」(文春新書)より

いやー、書き写していて、怒りがこみ上げてきましたわ(苦笑)。
そもそも、こんな自分勝手な論理を振りかざす民族と共存共栄なんて出来ないのは当たり前でしょう。
中国のチベット支配を容認する人たちは、このような論理も受け入れるのでしょうか。
チベットの悲劇とは、とりもなおさず、中国に侵略されっぱなしであることにある。ダライラマが「文化的ジェノサイド」と呼んでいるのも、こういう中国側の論理を聞かされれば、よく理解できるというものです。こういう考え方を持っている民族に支配されたら、時間が経てばたつほど、支配された民族の情況は悪化していく。ダライラマの非暴力の方法も、考え直さなければならない時期に来ているのではないか。チベット青年会議の暴力主義も理解できるというものです。

ダライラマ法王CNN-IBNインタビュー