ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組です。
『長いナイフの夜 絶対権力への道』1&2で計2時間ほどの番組です。
「長いナイフの夜」1934年6月30日~7月2日にかけて起こった事件。
ナチ党の私設軍隊であったSA(突撃隊)に体する静粛事件ですね。
1933年1月30日 ヒトラーはドイツ首相となる。
この時保守派たちは、「ヒトラーを制御できる」と考えていた。
が、できなかった。
そして1933年3月23日に「全権委任法」が制定される。
この法は、ヒトラー率いる政府に対して
ヴァイマル憲法に拘束されない無制限の立法権を授権するものです。
ちょっと難しく言いますと・・・
立法府が行政府に立法権などの権利を認めるってことで。
ヒトラー率いる政府(ってヒトラーの独壇場だが)に
「都合の良い」法を制定する権利を与えるってことなんです。
勿論議会で論争多数決もありますが、ホラ、一党独裁ですから。
ヒトラーは2ヶ月ほどで、ドイツの法を「自由にできるかも?」になった訳で。
とはいっても・・・ヒンデンブルグ大統領がいる限り完全に独裁することはできない。
保守派も騒ぐし・・・。
ヒトラーは、まだまだ周囲と強調する「姿勢」を「一応」見せなければ
ならない・・・てな立場ですけどね。
そこにレーム率いるSAが出てくる。
当時ドイツ国軍は、ヴェルサイユ条約で規模や動員数に制限があって。
しかしSAはナチ党の「私兵」なので、その制約外になる。
だから・・・軍隊レベルの規模になっていて・・・国軍との軋轢が出てくる。
レームはSAをドイツの軍隊として正式に認めて欲しい、と。
これは・・・レーム本人の野心もありますが
SA隊員に「安定した収入を」という目的もあります。
しかしそんなこと、国軍が黙っちゃいない。
ヒトラーに「どうなってるんだ」と。ヒトラーも困りますよね
(って同情しているわけではない)
「長いナイフの夜」って事件は
「SAは乱暴者の集団」「同性愛者の集団」等々
なんとなく感情的な言葉で語られることが多いのですが
これは、事件後「SAを悪者にしよう」という意図を感じさせると、私は思う。
もちろん「乱暴者集団」だし「同性愛者もいました」です。
レーム自身が同性愛者ですし、隊員の中にもいました。
でもレームのことは、昔からナチ党員は知っているし。
ヒトラーはそれでも、レームの軍事力を高く買っていたし。
今さら・・・ですよね。
乱暴者集団も、当時は共産党等々他の政党も似たり寄ったりで。
路上でケンカや暴動、時には発砲も・・・は「ありました」って時代でした。
このドキュメンタリーは、こういう「好悪」ではなく
かなり冷静に歴史を追っていたように思います。
レームは、SAをドイツの軍隊にしたかった。
そして「第二革命」を実行しろと、ヒトラーに迫る。
これは以前からの我々の共通認識だ、と。
しかしヒトラーは、それには同意できない。
今さら事を荒立てても・・・しかしレームの主張は政府内の保守派の怒りを買う。
ってことで・・・ヒトラーにとってレームは大切な戦友で同志。
古参であり、軍事に関する力量は、本物で。
ヒトラーは「敵わない」と思っていて・・・それが「目の上のたんこぶ」になってしまって。
なんですよね~。
国軍や保守派にギャンギャン(失礼・ペコリ)言われているってこともありますが
ヒトラーも「敵わない」意識がどうしても拭えなくて。
そこに!ヒトラー政権の前期の極悪3人組(と私が勝手に言っている・笑)
ゲーリング&ヒムラー&ハイドリヒが登場する。
ドキュメンタリーでも、「動くハイドリヒ」が登場(笑)
若いなぁ~とか思って見ておりました。
ナチ党における「軍隊に関する勢力圏」でレームが鬱陶しいゲーリング。
ゲーリングは、WW1の空軍のパイロットとして名声がありますが
レームのように「軍隊」を組織し率いることは、ちょっと難しい。
ヒムラーは当時のSS(親衛隊)をSAから独立させたい。
だけではなく、SAに代わり、唯一無二のものにしたい。
ヒムラーって、やはりレームは「憧れ」みたいな感じだったらしくて。
このレームに対する心情って、
ヒトラーとヒムラーは通じるものがあるかもね(と勝手に思う)
しかしそんなおセンチな感情など気にしないハイドリヒがいる。
レームとヒトラーは、ハイドリヒの息子の「代父」になっていますが
レーム粛正に、意欲満々だったらしくて。
この時粛正(殺害された)のはSAだけではないです。
ヒトラー政権に邪魔となる人物達も、殺害されている。
そして・・・ゲーリングやヒムラー、ハイドリヒ達が
「個人的に気に入りません」という人物もリストに入れて・・・
と、完全に「私情入っていますね」状態になっていました。
「レーム達SAは謀反を起こす計画が」というデマを流すのもハイドリヒ達。
SAは何とかしなければ・・・のヒトラーも遂に決断する。
逮捕され、殺害されるSA幹部達。
しかしレームに関しては、ヒトラーも決断できない。
それをゲーリングやヒムラーが説得する。
ヒトラーが決断する。レームは自害を促されるが拒否。
そして殺害される・・・・・・・・・
大きな利益を得たのはヒトラー。
国軍の忠誠を自分のものにできた。
保守派の中には「粛正」された人物ともいたが、大人しくなった(と思われる)
ヒムラー&ハイドリヒも大きな利益を得る。
SSの立場は強固になった。その勢力は拡大するばかり。
ヒムラーはSSの指導者になり、全国そして占領地のSSを束ねる。
同時に、警察をも牛耳ることになり・・・強大な権力を手にすることになった。
さて、この事件は、完全に「法を無視」しています。
裁判なしに死刑(殺人)を行っているのですから。
しかし~事件後の7月3日(直ぐだわ)に緊急閣議が開かれて。
この事件の静粛を正当化する法案が公布されることに。
「国家緊急防衛の諸措置に関する法律」です。
この法律は、この事件を正当化させる「だけ」に制定されたものでして。
そして事件後に公布されているのに・・・遡及の禁止に該当しないってことになって。
つまり・・・後出しじゃんけんでも「勝ちは勝ち」ってことかいな?(違うか?笑)
私は以前にも書きましたが、この事件は
その後のナチ党やヒトラーの政権運営に影響を与えたと思っています。
遡及法でも、「法に照らし合わせて、問題ない」のなら、合法である。
みたいなことが「常識」みたいになって。
その後「ニュルンベルク法」など色んな法が制定され交付されます。
とんでもない内容のものもありますが、法は法。
この法の通りにしたら合法。おとがめない。
というか、その時代の常識となってしまう。
だからホロコースト関連の事柄も、国家事業となってしまう。
1934年ヒンデンブルグ大統領の死から
ヒトラーは首相と大統領職を兼ねた「総統兼首相」となります。
この役職が「総統」と略されたってことですね。
番組内で専門家の方が言っていましたが
「総統」とは、政治的もそうだが、軍を率いる立場って意味合いが大きいと。
事件後、国軍はヒトラーに忠誠を誓います。
国や国民よりも、ヒトラー個人に忠誠を。
もしレームがいたら?
レームの軍事の能力力量は誰もが認めていた。
もしレームがいたら?
忠誠を誓われても、ヒトラーの内心は穏やかではなかったかも。
そういう意味でも・・・
真の意味でヒトラーを「総統」したのは、この事件かも。
いや、この事件だわ・・・と勝手に思う私(勝手だからイイんだよ)
番組には複数の歴史家さん方が登場していました。
私の意見ですが、とても丁寧に説明していました。
ナチス関連のドキュメンタリーって、
なんか「興味本位」みたいな番組が多いような気がしていて。
そういう「煽り」的な内容ではなく、歴史に沿って淡々と解説。
こういう姿勢、好きです(はい好きです)
そして「今の常識とは異なる」との意見もありました。
確かに。それはそうだわ。
久々に元気いっぱい(?)な総統を拝見できました。
(何度も書きますが、私は総統スキーではないです)
初期の映像ですから、副総統のルドルフ・ヘスもいましたね。
しかし、映像は圧巻ですね。
これだけの人々が熱狂し、叫ぶ「ハイル!ヒトラー!!」と。
そしてSAの行進。凄いなぁ。
その中を手を挙げ歩くヒトラー。横にはレームがいる。
「長いナイフの夜」に関する映像ってことで、ガン見(笑)してました。
久々のナチス・ドキュメンタリー。
堪能致しました(ペコリ)
記事も長いわ・・・調子に乗ったわ(笑)
『長いナイフの夜 絶対権力への道』1&2で計2時間ほどの番組です。
「長いナイフの夜」1934年6月30日~7月2日にかけて起こった事件。
ナチ党の私設軍隊であったSA(突撃隊)に体する静粛事件ですね。
1933年1月30日 ヒトラーはドイツ首相となる。
この時保守派たちは、「ヒトラーを制御できる」と考えていた。
が、できなかった。
そして1933年3月23日に「全権委任法」が制定される。
この法は、ヒトラー率いる政府に対して
ヴァイマル憲法に拘束されない無制限の立法権を授権するものです。
ちょっと難しく言いますと・・・
立法府が行政府に立法権などの権利を認めるってことで。
ヒトラー率いる政府(ってヒトラーの独壇場だが)に
「都合の良い」法を制定する権利を与えるってことなんです。
勿論議会で論争多数決もありますが、ホラ、一党独裁ですから。
ヒトラーは2ヶ月ほどで、ドイツの法を「自由にできるかも?」になった訳で。
とはいっても・・・ヒンデンブルグ大統領がいる限り完全に独裁することはできない。
保守派も騒ぐし・・・。
ヒトラーは、まだまだ周囲と強調する「姿勢」を「一応」見せなければ
ならない・・・てな立場ですけどね。
そこにレーム率いるSAが出てくる。
当時ドイツ国軍は、ヴェルサイユ条約で規模や動員数に制限があって。
しかしSAはナチ党の「私兵」なので、その制約外になる。
だから・・・軍隊レベルの規模になっていて・・・国軍との軋轢が出てくる。
レームはSAをドイツの軍隊として正式に認めて欲しい、と。
これは・・・レーム本人の野心もありますが
SA隊員に「安定した収入を」という目的もあります。
しかしそんなこと、国軍が黙っちゃいない。
ヒトラーに「どうなってるんだ」と。ヒトラーも困りますよね
(って同情しているわけではない)
「長いナイフの夜」って事件は
「SAは乱暴者の集団」「同性愛者の集団」等々
なんとなく感情的な言葉で語られることが多いのですが
これは、事件後「SAを悪者にしよう」という意図を感じさせると、私は思う。
もちろん「乱暴者集団」だし「同性愛者もいました」です。
レーム自身が同性愛者ですし、隊員の中にもいました。
でもレームのことは、昔からナチ党員は知っているし。
ヒトラーはそれでも、レームの軍事力を高く買っていたし。
今さら・・・ですよね。
乱暴者集団も、当時は共産党等々他の政党も似たり寄ったりで。
路上でケンカや暴動、時には発砲も・・・は「ありました」って時代でした。
このドキュメンタリーは、こういう「好悪」ではなく
かなり冷静に歴史を追っていたように思います。
レームは、SAをドイツの軍隊にしたかった。
そして「第二革命」を実行しろと、ヒトラーに迫る。
これは以前からの我々の共通認識だ、と。
しかしヒトラーは、それには同意できない。
今さら事を荒立てても・・・しかしレームの主張は政府内の保守派の怒りを買う。
ってことで・・・ヒトラーにとってレームは大切な戦友で同志。
古参であり、軍事に関する力量は、本物で。
ヒトラーは「敵わない」と思っていて・・・それが「目の上のたんこぶ」になってしまって。
なんですよね~。
国軍や保守派にギャンギャン(失礼・ペコリ)言われているってこともありますが
ヒトラーも「敵わない」意識がどうしても拭えなくて。
そこに!ヒトラー政権の前期の極悪3人組(と私が勝手に言っている・笑)
ゲーリング&ヒムラー&ハイドリヒが登場する。
ドキュメンタリーでも、「動くハイドリヒ」が登場(笑)
若いなぁ~とか思って見ておりました。
ナチ党における「軍隊に関する勢力圏」でレームが鬱陶しいゲーリング。
ゲーリングは、WW1の空軍のパイロットとして名声がありますが
レームのように「軍隊」を組織し率いることは、ちょっと難しい。
ヒムラーは当時のSS(親衛隊)をSAから独立させたい。
だけではなく、SAに代わり、唯一無二のものにしたい。
ヒムラーって、やはりレームは「憧れ」みたいな感じだったらしくて。
このレームに対する心情って、
ヒトラーとヒムラーは通じるものがあるかもね(と勝手に思う)
しかしそんなおセンチな感情など気にしないハイドリヒがいる。
レームとヒトラーは、ハイドリヒの息子の「代父」になっていますが
レーム粛正に、意欲満々だったらしくて。
この時粛正(殺害された)のはSAだけではないです。
ヒトラー政権に邪魔となる人物達も、殺害されている。
そして・・・ゲーリングやヒムラー、ハイドリヒ達が
「個人的に気に入りません」という人物もリストに入れて・・・
と、完全に「私情入っていますね」状態になっていました。
「レーム達SAは謀反を起こす計画が」というデマを流すのもハイドリヒ達。
SAは何とかしなければ・・・のヒトラーも遂に決断する。
逮捕され、殺害されるSA幹部達。
しかしレームに関しては、ヒトラーも決断できない。
それをゲーリングやヒムラーが説得する。
ヒトラーが決断する。レームは自害を促されるが拒否。
そして殺害される・・・・・・・・・
大きな利益を得たのはヒトラー。
国軍の忠誠を自分のものにできた。
保守派の中には「粛正」された人物ともいたが、大人しくなった(と思われる)
ヒムラー&ハイドリヒも大きな利益を得る。
SSの立場は強固になった。その勢力は拡大するばかり。
ヒムラーはSSの指導者になり、全国そして占領地のSSを束ねる。
同時に、警察をも牛耳ることになり・・・強大な権力を手にすることになった。
さて、この事件は、完全に「法を無視」しています。
裁判なしに死刑(殺人)を行っているのですから。
しかし~事件後の7月3日(直ぐだわ)に緊急閣議が開かれて。
この事件の静粛を正当化する法案が公布されることに。
「国家緊急防衛の諸措置に関する法律」です。
この法律は、この事件を正当化させる「だけ」に制定されたものでして。
そして事件後に公布されているのに・・・遡及の禁止に該当しないってことになって。
つまり・・・後出しじゃんけんでも「勝ちは勝ち」ってことかいな?(違うか?笑)
私は以前にも書きましたが、この事件は
その後のナチ党やヒトラーの政権運営に影響を与えたと思っています。
遡及法でも、「法に照らし合わせて、問題ない」のなら、合法である。
みたいなことが「常識」みたいになって。
その後「ニュルンベルク法」など色んな法が制定され交付されます。
とんでもない内容のものもありますが、法は法。
この法の通りにしたら合法。おとがめない。
というか、その時代の常識となってしまう。
だからホロコースト関連の事柄も、国家事業となってしまう。
1934年ヒンデンブルグ大統領の死から
ヒトラーは首相と大統領職を兼ねた「総統兼首相」となります。
この役職が「総統」と略されたってことですね。
番組内で専門家の方が言っていましたが
「総統」とは、政治的もそうだが、軍を率いる立場って意味合いが大きいと。
事件後、国軍はヒトラーに忠誠を誓います。
国や国民よりも、ヒトラー個人に忠誠を。
もしレームがいたら?
レームの軍事の能力力量は誰もが認めていた。
もしレームがいたら?
忠誠を誓われても、ヒトラーの内心は穏やかではなかったかも。
そういう意味でも・・・
真の意味でヒトラーを「総統」したのは、この事件かも。
いや、この事件だわ・・・と勝手に思う私(勝手だからイイんだよ)
番組には複数の歴史家さん方が登場していました。
私の意見ですが、とても丁寧に説明していました。
ナチス関連のドキュメンタリーって、
なんか「興味本位」みたいな番組が多いような気がしていて。
そういう「煽り」的な内容ではなく、歴史に沿って淡々と解説。
こういう姿勢、好きです(はい好きです)
そして「今の常識とは異なる」との意見もありました。
確かに。それはそうだわ。
久々に元気いっぱい(?)な総統を拝見できました。
(何度も書きますが、私は総統スキーではないです)
初期の映像ですから、副総統のルドルフ・ヘスもいましたね。
しかし、映像は圧巻ですね。
これだけの人々が熱狂し、叫ぶ「ハイル!ヒトラー!!」と。
そしてSAの行進。凄いなぁ。
その中を手を挙げ歩くヒトラー。横にはレームがいる。
「長いナイフの夜」に関する映像ってことで、ガン見(笑)してました。
久々のナチス・ドキュメンタリー。
堪能致しました(ペコリ)
記事も長いわ・・・調子に乗ったわ(笑)