日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 長舩倫光 Tomomitsu Tanto

2017-06-05 | 短刀
短刀 長舩倫光


短刀 長舩倫光貞治三年

 いかにも南北朝中期の短刀。刀や脇差と同様に身幅が広く重ねが薄く、先反りが付いている。茎が幅広く短いのもこの時代の特徴だ。地鉄は良く詰んだ板目が穏やかな地景によって綺麗に立ち、凄みのある映りが現れ、総体に抑揚がある。この板目肌を蝉の羽根に擬えて蝉肌とも呼んでいる。刃文は浅い湾れに腰の開いた浅い互の目交じり。兼光を見るような出来。相州伝の影響を受けているとは言え、即ち沸出来ではあるが穏やかな出来であり、荒ぶるところがない。