福井県刈込池へ向けて ~深山幽谷・道中記
その日、残業を終えて、帰宅したのが23時。
「残業、大変ね。」と言われるが、「残業のあとの方が大変なんです。」と思わず、腹の中でつぶやく自分がいる。
慌てて、夕食を掻っ込んで、家事を済ませ、0時ころ、家を出る。
巨椋ICから、京滋バイパスに乗ったのが0時40分。
あとは眠気と疲れが極限になるまで車を走らせ、多賀SAで1時間半ほど仮眠。
福井北ICから大野ICを降り、原生林の奥深くに眠る「刈込池」を目指すころ、やっと夜が明け始める。
深い霧と噂に違わぬ深山幽谷の狭路である。
何のために、こんな修行のような旅をするのだろうかと、ふと思うことがある。
途中に仙人伝説の滝 (サコサガの滝)が見える。
6時過ぎ、漸く、刈込池、三ノ峰登山の駐車場に到着。
3日前の紅葉ピークを過ぎたせいか、駐車場は半分くらいしか埋まっていなかった。
最盛期には夜明け前に駐車場どころか、車道まで駐車する車で溢れかえるそうだから。
「刈込池」も秘境ではなくなったということか。
そもそも、「刈込池」を初めて知ったのは、3年前、奥日光の切込湖・刈込湖を訪れる際、ネット検索に類似名でヒットしたことが、きっかけ。
(バックナンバー「切込湖・刈込湖」)
それ以来、いつか行きたいと思っていた。
入山届をポストに入れ、歩き始める。
ここらは熊の生息域で入山者は熊除け鈴が必携。
皆さん、カウベルのような立派な鈴を鳴らしておられるが、私は百均の招き猫の鈴で命を守る。
ブナやミズナラの林を抜ける。
「刈込池」はもうすぐだ。