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マナウス・・・アマゾン川沿いの町

2020年04月13日 | 旅・外国
リオデジャネイロからブラジルの首都ブラジリアを経由して飛行機で五時間、アマゾン川観光の中心マナウスに到着する。河口から二千キロ、それでも川幅は二キロ以上、アマゾン川の巨大さにワクワク。まずはマナウスの旅行社に行き、今夜のホテルと翌日の「アマゾン川八時間クルーズ」を予約し、ホテルに荷物を預けてマナウスの町に出る。

リオと違い、マナウスの治安はすこぶる良く夜中に一人歩きも可能だという情報を得ていたので安心して何処へでも行ける。ちなみに南米で治安が悪いのはリオとサンパウロ、そしてペルーの首都リマといった大都市である。もちろん、その時の政権によって、南米では治安の悪さがコロコロと変わるので、注意が必要だ。

余談だが、私が海外に行って立ち寄る場所がある。動物園、日本料理店、文房具店、書店、駅、スーパーマーケット、百貨店、市場、遊園地等である。名所旧跡にはあまり興味が無い。何故なら訪れた国の人達が普通に生活している様を見たいからである。マナウスでも最初に市の郊外にある動物園にタクシーで行き,可愛い動物たちとの出会いを堪能した。

翌日は「アマゾン川八時間クルーズ」に参加した。マナウス港から中型の遊覧船に乗り出発。さすがに日本人は私だけ。欧米人観光客と一緒にアマゾン川を下る。マナウスはアマゾン川支流に面した町で川を一時間も下ればアマゾン川本流と合流する。ここで摩訶不思議な現象が起こるのである。本流の川の色がミルクコーヒーの色、そして支流の川の色が群青色。この二色の川が合流点から混じらずに三キロ程下流まで川面に二つの色を分ける境界線ができるのである。何故なら二つの川に溶け込んでいる成分の比重が違うからなのだ。この現象は世界でもここアマゾンと中国の長江でしか見られないという。 巨大なアマゾン川には船のガソリンスタンドやタンカー、車を載せた渡り船、川魚を獲る漁船等が往来している。昼食は漁船から直接買った川魚がフライで出て来た。こちらの人は魚を生で食べる習慣は無い。フライは大味であまり美味しいとは言えなかったが昼食後しばらくして遊覧船はクルーズの折り返し点に到着。お土産物屋でピラニアのはく製などをウィンドウショッピングする。マナウスへの帰路、アマゾン川の真ん中で突然遊覧船が止まり、

 

「It’s swimming time !」


と乗務員が叫び、ラジカセで陽気なサンバの音楽を流し始めた。そうするとツアー参加者の大半が服を脱ぎ、水着になってアマゾン川へダイブ、船の周りで泳ぎ始めた。私は旅行社からこんなイベントがあるとは聞かされていなかったので、水着をインナーに着ておらず、ただただ見守るしかない。

 

「アマゾン川で泳いでいてピラニアに襲われないのですか?」

 

と乗務員に訊くと、

 

「ピラニアは浅いところにいて、川の真ん中の深いところにはいないんだよ」

 

との返事。貴重な体験ができたのに本当に残念な事をしたものだ。

船は夕方マナウス港に着き、私は港のすぐそばの魚市場に寄ってみる事にする。魚特有のニオイが強烈にする中、場内にあった漁師達が立ち寄る食堂があった。思い切って入ってみる事に。私はメニューが読めないので、分かりやすいトマトスープを注文した。このスープ、アマゾン川の魚のあらで取った出しが効いていて、今まで食べたトマトスープの中でも跳び抜けて美味しかった。

夜は日本料理店に行こうと思い、宿を後にする。マナウスの治安はリオに比べて格段に良い。日本料理店は直ぐに見つかる。お店の前に、移動式の遊園地。設置された簡易観覧車に一人で乗り、南米・アマゾンに来て、何をしてるのかと自分に問いかけつつ、お店にたどり着く。私は、世界どこに行っても「日本料理店に行く派」である。外国という非日常の中、「日本料理店という日常」に浸るのが好きなのだ。店内には、「北島三郎ほか演歌」が流れている。日本にいると滅多に演歌は聞かないのだが、異郷の地にいると演歌が心に沁みるのである。茄子の田楽がとても美味しい。お酒でほろ酔いになりながら、プハーと息をつく。お店はがらがら。客は私だけだ。マナウスの日本料理店はそれほどでもなかったが、日本料理が出て来ると言っても、日本と同じ様な料理が出て来るとは限らない。


ニュージーランド・クィーンズタウンの日本料理店に家族で入った時は、寿司職人が現地人という事もあって、にぎり寿司からオーデコロンの匂いがした。同じ店で寄せ鍋を頼むと出て来た野菜は白菜ではなく、レタスだった。

 

また、アフリカ・ケニアの首都ナイロビに行った時、ウィスキーの水割りを頼んだら、水割りのキューブアイスの真ん中に「ハエ」が凍って入っていた。現地人の店長にその事を伝えると、「それは凍る時に入ったんだよ」と言い返された。

つまり、「なんで、そんな細かい事を言ってるんだ。ハエくらい入るのは当たり前の事なんだよ」と彼の顔は語っていた。

マナウスの話に戻ろう。かなり酔っ払いながら(海外どこに行ってもそうだが)、ホテルへ千鳥足で戻った。ホテルの宿泊代が5000円と安かった事もあって、クーラーが効かず、熱い夜に苦しみながら、翌日リオ・デ・ジャネイロへ五時間かけて戻った。

一泊し、イグアスの滝で有名なイグアス経由、アルゼンチンの首都で南米のパリとも言われているブエノスアイレスに向かう。

(1986年)

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