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ドラマのエキストラ

2023年02月08日 | テレビドラマ
ドラマで必要だが、お金のかかるのが、エキストラ。

今、放送中の大河ドラマ「どうする家康」。最新のCGを駆使している。そのCGが嘘くさいとの批判も出ている様だが。

CGを使うのは、歴史上の建物等のセットを建てずに済む為。そしてもう一つはエキストラの人数を減らせる為だ。

大阪でドラマを作っている時代、もちろんCGなど無い。アクタープロという俳優事務所の見た目「アマゾンの半魚人」、でも人柄は抜群に良い樋口さんというおばちゃんがエキストラの手配を仕切っていた。

料金は一日8時間労働で1人8000円。半年で25分×130本の朝ドラ。終わりの方の撮影では予算が枯渇して来る。

そんな時、まず削られるのがエキストラ費。

でも、監督が必要となると「内トラ」の出番である。「内トラ」とはエキストラがいない時、スタッフが代わって画面に出る事。

ある時、うどん屋のシーンで美術スタッフが「内トラ」で出た。彼は俳優さんたちが演技する横でうどんを食べる。

その「うどん」を準備していた別のスタッフがいたずらで、七味を山盛り「うどん」に入れた。

いよいよ、本番!
「用意、スタート!」
「内トラ」の彼もうどんを食べ始める。彼は七味でむせそうになりながら、懸命にうどんを食べていた。懸命に我慢する。俳優さん以外は音を出してはいけない。咳き込んで、NGはありえない。

エキストラの事務所の樋口さんは夜自宅に電話すると、必ず酔っていて麻雀の真っ最中。電話越しにじゃらじゃらという音が聞こえた。そんな彼女にエキストラの設定と数を伝える。
助監督のセカンドがエキストラ発注の担当だ。

ドラマにはいろんなエキストラが出て来る。
「赤ちゃん」「外国人」「子供」「サラリーマン」「OL」「カップル」「家族連れ」等々。

「赤ちゃん」の場合、付き添いのお母さんと二人分の16000円。

撮影スタジオの埃っぽい現場、僕は「赤ちゃん」を連れて来る事にかなり疑問を持っていたのだが。

「赤ちゃん」は泣き出したら、泣き止まない子もいるので、重要なシーンでは3人くらいスタンバイした事もあった。

看護師さんの指導が要るシーンが有ったら、実際に「看護師」をやっている人をエキストラとして呼んだ。手作りのドラマ制作現場だった。

そして、外国人。
東京なら「外国人専門の事務所」もあるが、大阪では半魚人の樋口のおばちゃんが手配する。

神戸・北野町の「パン屋さん」「肉屋さん」など、普段別の仕事をやっている外国人を連れて来る。一人44444円。つまり、手取り4万円という事だ。お店を休みにして、エキストラに来るので「一日のお店の売り上げ」から弾き出しての金額がこれ。

太平洋戦争末期、満州にいた日本人たちがソ連軍に襲われるシーン。

京都・木津川の「流れ橋」(時代劇でよく使われる木製の橋。台風で川の流れが激しくなると、自然に流され、川の氾濫を回避する)で撮った。

予算の関係で、ソ連軍として呼べる外国人エキストラは二人。

監督にこの条件で撮って欲しいと懇願した。

ベテランの監督はしばらく考え、10人分の軍靴を用意してくれと言った。

いよいよ、そのシーンの撮影。いちばん先頭の二人は外国人エキストラ。その後ろに続くは軍靴を履いた「内トラ」が八人。

まずは、鬱蒼とした林の中を進む軍隊を横から「レール移動」で撮る。そして、軍隊が止まったところで、カメラは軍隊の前へ。
外国人エキストラの足元から顔にパーンアップして、銃をカメラに向けて、照準を合わせた。

赤ちゃんを抱いて、逃げ惑う日本人エキストラ。

編集してみれば、緊迫した戦場のシーンになっていた。

僕も「内トラ」をやった事がある。身長が高いので、米軍の衣裳にサングラスをかけて、進駐軍の将校の役だ。

そんなこんなで、大阪時代、エキストラには苦労した。樋口のおばちゃんには本当にお世話になった。

東京で作られているドラマの数々。今はDVD化や配信を見据えて、「顔」が「個人情報」であるという観点から、画面に映っている人は、役者以外、全てエキストラだ。

学校を舞台にしたドラマを観ていると、こんなにたくさんのエキストラを使えて羨ましいと思う。

でも、監督がこのシーンは300人欲しい!と言ってもプロデューサーは150人で!という会話がどこの現場でも存在するのだろうなぁ。

エキストラにプロデューサーは厳しいという話。

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