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朝ドラスタッフルーム・・・勝新太郎と遊川和彦

2023年02月01日 | テレビドラマ

突然、勝新(敬称略・大映映画のトップスター・勝新太郎さん)が長男・奥村雄大さん(後の雁龍さん)の手をしっかりと握って駆け足で「朝ドラ」のスタッフルームに入って来た。

スタジオ収録中だったので、僕一人しかいない。

奥村雄大さんにとって初のドラマ出演。母の中村珠緒さんも出演していたかも知れない。

勝新の温かい親ごころ。

勝新は雄大さんに、「芝居の在り方」を怒鳴る様な大声で指導。何故か、「朝ドラ」でそんなシーンが出て来るはずも無いのに、「殺陣」をつけ始めた。

勝新の顔が赤い。とてもとても酒臭い。鬼の形相で雄大さんに教えている。周りの事は目に入らぬ様子。迫力は今まで会ったどの俳優よりも凄い。

僕は黙って下を向いて、仕事をするフリをしていた。

「こんな時、勝新の控え室はどうしたらいいのだろう?」
もちろん、朝ドラに出演していない勝新の控え室など要らないのだが。

20〜30分、勝新の熱い演技指導は続いただろうか?
入って来たと同様、二人は勢いよく駆け出て行った。

先年、奥村雄大さんは急逝されたと聞いた。

大阪・千里中央にあるスタジオ。そのスタッフルームに染み付いた僕の記憶。

土砂降りの雨の日にロケを中止して、プロデューサーに電話で連絡すると
「雨が降っても、槍が降っても、ロケに行かなきゃダメなのよ!中止ばっかりしていたら、ロケ費が幾らあっても足りないのよ!」
と激怒された事。

「夜食」を出す時間ギリギリで、マクドナルドのハンバーガーを50人分買って来たら、撮影は終わっていてキャスト・スタッフ誰もおらず、途方に暮れた事。

撮影の多い東京と違って、当時大阪には「夜食」を作ってくれる業者がいなかった。

今、放送中の朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。ヒロイン・舞を演じる福原遥さんの魅力が画面いっぱいに出ている。

NHK大阪がヒロインの為に作った新しい衣裳がうちの朝ドラのヒロインの衣裳になるというまことしやかな噂を聞いた事もある。
実際、うちの朝ドラの予算では新しい衣裳は作れないし・・・

キャスト・スタッフが連日、並々ならぬ苦労をしている。APの僕はそんな中、時々はスタジオに顔を出しながら、一日の大方をスタッフルームで過ごしていた。

俳優さんの事務所へ台本や新幹線のチケットを送る。俳優さんの入りの確認。終わった俳優さんのタクシーの手配。俳優・監督・スタッフのホテルの手配。「宅送」(撮影が深夜になった時、タクシーでキャスト・スタッフを送る事)の準備。夜食の買い出し。

こうした作業が週4日、朝8時からよる23時過ぎまで続くのである。

一日中、気の休まらない作業の中で、昼休み、本屋に行って立ち読みするのだけが楽しみだった。

大阪での「朝ドラの日々」は僕にとって、「本当にしんどかったが、同時にかけがえのない時間」だった。

この頃、スタッフルームで密かに見ていたドラマが「予備校ブギ」「ADブギ」。脚本は遊川和彦さん。

僕の中には、いっぺんでいいから、東京という憧れの地に行って、この遊川和彦という人と仕事がしてみたいという気持ちが芽生えていた。

それから二十年余りの歳月が経ち、その「夢」は実現する。

今はお会いした遊川和彦さんの顔を思い出しながら、遊川ドラマを楽しんでいる。


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