9月10日付けの朝日新聞のBeランキングの「一番好きな野菜?」の中で、順位が1位であった「トマト」ですが、アメリカの「世界の最も健康な食品」のWebサイトの今週のテーマにもトマトが選ばれて居ます。その「トマト」の恩恵の“Whats,New”には、こんな話が載っています。
「ご存知ですか、リコピンの違い?」
―トマトのずば抜けて高いリコピン量は濃赤色でなくても良い事を知っていましたか?長い間、トマトの濃赤色は、リコピンと深く関係しているカロチノイド色素であるとされて来ました。それが、健康な男女に依る或る一寸した予備調査で、オレンジからのリコピンやオレンジ色のトマトからのリコピンのほうが、赤いトマトのリコピンよりも、実際は良く吸収される事が分かったのです。
その理由は、トマトのリコピンは、その殆どが“トランスーリコピン”であり、オレンジのリコピンやオレンジ色のトマトのリコピンは、“テトラーシスーリコピン”であります。最近の研究では、調査参加者達によって、このテトラーシスーリコピンの方がより効果的に吸収される結果となったのです。この分野での更なる研究は必要ですが、優れたリコピンに関する恩恵を受けるには、トマトは必ずしも濃赤色ではなくても良いかも知れない事が分かって私たちは勇気付けられた気がします。
「骨の健康を守るリコピン」
―トマトはと言えば、その圧倒的に優れる抗酸化成分であり、勿論、それは良く言われる高度に含まれるリコピンである事は広く知られている事実です。最近、研究者達は、その抗酸化成分であるとリコピンと骨の健康との間の重要な関係を発見しました。ある研究では、経閉後の女性の食事から4週間にわたってトマトを含め、リコピンを含む全ての成分を除いて、リコピンを制限する事が骨の健康にどんな影響を与えるか調べたのです。
4週間後、骨に対する活性酸素ストレスの増加がはっきりし、骨の組織に好ましく無い兆候と変化が現れました。トマトに含むリコピン含有成分を食事から除くと、女性は骨そしょう症になるリスクが、特に高いとその研究者は結論付けています。又、トマト及び他のリコピン含有食品の食事での大切さも合わせて論じています。
但し、骨の健康の重要さに抗酸化物による防御を常に考えると言う事ではなく、これは飽くまでも、トマトの持つリコピン及び其の他のトマト抗酸化物が、この分野で特別な役割を果たしているかも知れないという事でもあります。
「トマト品種と抗酸化力」
―トマトには、何百もの異なる品種が有ります。私達は、トマトの好ましい品種を、通常はその風味や果肉の細やかさ、外観で選択しています。しかし、最近は、トマト品種の選択の要因に、トマトの抗酸化能力を含めるようになるかも知れないと研究で明らかにしています。驚いた事に、研究者が慣行栽培と有機栽培の違いを調べたところ、栽培の違いは、トマト品種の違い程には、抗酸化能力の違いは無かったと言うのです。
全てのトマトが、概ね良好な抗酸化能力を示していて、その違いも著しくはありませんが、次の4種のトマトが、有機栽培であろうと慣行栽培であろうと関係なく、平均して高い抗酸化能力を持つ事が判明しました。「ニューガール」、「ジェット スター」、「ファンタジック」、「ファーストレデイー」の4種ですが、勿論、これは単なる一研究の結果であり、絶対に他の品種を除いて、これらの品種を推薦すると言う事ではありません。しかし、こうした発見は、特定の種類の栄養成分の恩恵が、特定の品種に備わっている事を示すものであり、私達にとって素晴らしい事であります。
「心臓を守るフィトケミカル(植物栄養素)」
―トマトの摂取と心臓の健康は、古くから繋がりを持って来ました。生のトマトやその注出物は、全コレストロールや、LDL コレストロール、トリグリセリドを低下させる助けとなる働きを示して来ました。それに加えて、トマト注出物は、血中の血小板の好ましくは無い凝集を阻止する助けとなる作用があり、特に心臓病で問題とされるアテローム性動脈硬化症のリスクを低下せせる働きを助長する作用であります。しかし、これらの心臓を守る助けとなる今までに良く分からなかったフィトケミカルを、研究者が明らかにし始めたのは極最近の話であります。
それらは、フィトケミカルの一種の「エスクルシード A」と呼ばれるグリコシド(配糖体)であり、他には、フラボノイドで「カルコナリンゲリン」と呼ばれるものがあり、尚、他にも脂肪酸タイプの9-oxo-octadecadienoic acid.と呼ばれる分子構造物があります。トマトの持つユニークなフィトケミカルは、私達の知識の幅を更に広げて、心臓の健康を守る助けとなる役割をより一層学ぶ事になるようです。トマトは又、心臓を健康にする食品リストの頂上に向かって、更に上へと上って行く事になります。
―完熟トマト180gに含まれる栄養素と1日の必要量割合―
以上がトマトの健康食品として紹介された触りの部分ですが、全文はとても紹介し切れません。「トマト」には、優れた抗酸化能力や心臓血管の擁護役、ガン発症の抑止作用等、多くの徹底した研究があり、野菜の中でもその素晴らしい効用は測り知れません。その他のトマトの恩恵では多くはありませんが、「トマト」には食事療法としてアルツハイマー病を含むある種の神経性疾患のリスクを軽減する作用がありますし、又、肥満リスクの軽減に関係したトマト食療法の研究の幾つかがあるそうです。
―今年の新プランター栽培の房取りしたトマト「アイコ」の赤と黄色―
オレンジトマトに含まれるリコピンの方が吸収が良いというコメントに驚きました。
ネットの記事でトマトの効果をしっかり書かれているものは中々見つけられないので、やっとこのブログに辿り着いたという思いです。
私はトマトの10の効果という本を書いており、2015年の論文”Enhanced bioavailability of lycopene when consumed as cis-isomers from tangerine compared to red tomato juice, a randomized, cross-over clinical trial”を読んでオレンジトマトのリコピンの方が吸収が良いと、本に記載していました。オレンジトマトのリコピンに関する論文はこれが初めてだと思っていたのですが、ブログを書かれたのは2011年9月でしたので、もっと前から分かっていたことなのですね。
もしよろしければ、論文の出典など教えていただけないでしょうか。