白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―日本のエアルームトマト―

2012年03月24日 | トマト

日本にトマトが伝わったのは、文献などから江戸時代の初期とされていますが、食用となったのはその他の西洋野菜と同様に、ヨーロッパやアメリカから新しい品種が導入された明治以降です。

明治32年生まれの亡父に、生前子供の頃のトマトの感想を聞いた事がありますが、祖父が警察署長であったので県内各地を転勤して廻り、官舎には好きな家庭菜園があって珍しい西洋野菜が作られていたようです。トマトは「赤茄子」と言い、子供にはとても馴染めない奇妙な味で食べられなかったそうです。

―多彩な色と香りの魅力いっぱいのエアルームトマト―

そのアメリカから入って来たトマトの品種が今尚存在し、最近、雨にも強く、露地栽培の容易な昔のトマトと見直され、人気品種となって復活しています。家庭園芸向けに野菜類の在来種や固定種の種を専門に販売している「野口種苗研究所」の野口勲氏の「トマトの話」の中にも出てくる「ポンデローサ」です。

 

―野口種苗研究所―

この品種、一寸調べて見ると、アメリカのエアルームトマトの中でも人気種の「ヘンダーソン、ピンク、ポンデローサ」であり、スコットランドからアメリカに渡った園芸育種家のピーター、ヘンダーソンが、1891年に「グレート400」の名で発表し、その後、命名コンテストで、「ヘンダーソン、ピンク、ポンデローサ」となったとあります。

 

―Peter Hendrsonの肖像―

1896年のPeter Henderson Co.社の種子カタロクには、その特徴を、「弦は丈夫で強く、大きな果実の重量を支えます。重量感のあるしっかりした果実は完ぺきな形で、その寸法の大きさと堅固さは他のトマトの追従を許しません。色は、周辺から中心にかけて、豊かな緋色を呈し、スライスにして食卓に載せた美しさは卓越していて、感嘆の声を呼ぶ事間違いありません。又、殆ど種子が無く、大型トマトとしては大変な早生種であり、生でも料理用でも風味と香りに優れている。」と書いています。当時としては珍しい1果が220gを超える大果種であり、甘く適度の酸味がり、果肉が多く種子が少なくて皮が薄い、ピンク赤色のトマトであり、高い評価を受けたようです。

 その後、「ヘンダーソン、ピンク、ポンデローサ」は、そのネーミングも良かったのか、他社からも多くのピンク系トマトが発表されました。一方、Peter Henderson Co.からは、1892年には、「レッド ポンデローサ」が、1914年には「ゴールデン ポンデローサ」が発売されています。 

 

―ヘンダーソン ピンク ポンデローザー

先の「野口種苗研究所」の野口勲氏の話の中にも、昭和10年の仕入れ帳に、「ポンデローサ」に続いて「ゴールデン ポンデローサ」の仕入れの記録があると書いていますが、その後の昭和15年には、「ウインズオール」と「早世世界一」に変わっていますとあり、その「ウインズオール」は、1924年に出した「ヘンダーソン、ピンク、ポンデローサ」の改良種であり、今もアメリカでは「エアルームトマト」として人気を集めています。

 エアルームトマトの魅力は、市場に出回るトマトと一味違う、品種毎に異なる色や形、大きさや香りです。今では、有機栽培ブームと相まって、世界中から集められた珍しい数百種に及ぶ「エアルーム」(家宝種)トマトの種子が全米中に出回っています。

 

―ネーミングも豊かで見ても楽しいエアルームトマトー

そんなトマトを食卓に載せたいと思っても、一般に市場には出回りませんから入手は大変困難であり、自分で種子から育てなくては成りません。又、自ら育てるには、品種の数にも限りがあります。そこで盛んになるのが、愛好家同士の栽培品種情報の交換であり、種子の交換から異なる品種の収穫物の交換試食です。トマトネットフォーラムでの品種や栽培情報のやり取り等、読んでいても楽しくなります。

21世紀は、失われる作物遺伝子遺産と植物の多様性を守る事の大切さが、一段と強く叫ばれている時代です。化学肥料と農薬の多投の元凶とも云われるハイブリット種子に遺伝子組み換え作物(GMO)等、生産性と効率を優先させる機械化農業時代の「種子」に対する反動もあって、エアルームトマトの園芸栽培ブームは多くの人達の共感を得て、全米で大変な広がりを見せているようです。

 

―2008年ノルウェーに完成した国際的種子貯蔵施設―

しかし、そうした作物遺伝子遺産を守る運動は起こって久しく、全米では1970代からの”Seed Saver Exchange”の活発な在来種を守る活動があり、トマト品種に限った事ではりません。唯、そうした活動に、どれだけ多くの方の理解が得られて参加してくれるかで、何事もその意義や存在価値が決まる時代になってしまった事は、原発もそうですが、本質を見誤る事にもなり兼ねず大変残念です。

 

           ―ポンデローサと世界一の種を蒔くー

先日、日本のエアルームトマト、「ポンデローサ」と「世界一」の種子を入手して蒔きました。 新プランター栽培で、日本の「エアルームトマト」に挑戦してみます。

尤も、4年ほど前に放任栽培したトマト「麗夏」では、似たような大きさと形の不揃いなトマトが収穫は出来ました。

 

―新トマトプランター栽培で収穫したトマト「麗夏」-

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