今年、2013年も残り僅かとなりましたが、実は、NHKのEテレの長寿番組 「趣味の園芸野菜の時間」の新年番組の 「私の野菜の時間スペシャル」に 「新プランター栽培」が選ばれて1月5日の朝8時から放映される事に成りました。
その紹介記事が、12月21日に発売されるNHKテレビテキスト 「やさいの時間」の1月号に掲載されて居ります。
―趣味の園芸 野菜の時間 1月号―
テキストの傍題の「家庭菜園を楽しむすべての人に‥‥」とあるように、NHKの此の番組のテキストに「オリジナリティ―溢れるプランター栽培」と紹介され、亦その姿を全国に放映して頂ける事は日本中の多くの方に 「新プランター栽培」を知って頂ける機会であり、この栽培法の考案者として、苦労した甲斐が報われるような思いがして喜びに堪えません。
―重たいッと、ざる一杯の中玉トマトを持つ孫娘ー
既に 「新プランター栽培」については当ブログでいろいろと栽培写真を発表しては多くの方に見て頂いて居り、ご存知の方には目新しい事ではないでしょうが、何分1人善がりで舌たらずな説明が多い事からでしょうか、原理や栽培法が良く分からないと見た方からはご批判も頂戴して参りました。
―大きなトマト、麗夏を切り取る孫娘―
この機会に是非、NHKのテキスト 「やさいの時間」の1月号をお読み頂き、又来年1月5日に放映される 「私の野菜の時間スペシャル」をご覧頂いて、ご理解を深めて頂き、尚もご興味がお有りでしたら、ご質問、ご意見やご感想等、改めてお寄せ頂きたいと願って居ります。
-5段花房迄実の停まったトマトおどりこー
此の様な栽培法は、ネット上で見る限り、海外含めて見ても何処にも同等品が見当たらず、似たような容器園芸栽培法と言えば、既に当ブログで紹介した事のある、アメリカのピートモス、バーミュキライト等を配合した培養土を利用する “EarthTainer” の商標名での毛管吸水栽培装置、九州電力の総合資源研究センターで研究開発したと言う、日向土(ボラ土)を利用する、全く同じような毛管吸水栽培装置があるのみです。
―“Earth Tainer”の構造断面図―
そのどちらもが、媒体内を上昇する毛管水を利用する栽培ではありますが、其の媒体のもたらす水分勾配、保水マトリックスポテンシャルについての考慮がされて居らず、用土栽培とあまり変わらない媒体量を容器に充填する必要があり、それで多孔質体の毛管作用を利用する装置とあっても一般の単なる土壌機能と余り変わらず、養液の供給間隔が伸びる程度であり、訴求できるような充分な栽培効果が期待できるかは疑問であり、液体肥料を用いる用土容器栽培と殆ど変わらないのです。
―トマトが育つEarthTainer、字の如く土入れものー
同じように見えても 「新プランター栽培」とは根本的にその原理の違いがあり、媒体の法定土壌透水性改良材の抜群に優れる不飽和透水係数、その物理特性を逆作用要素として利用している所にその違いがあるのです。言い換えれば、多孔質体としての土質材が持つ有効間隙の質との違いと申せます。
―2階ベランダ―のプランター菜園の1回の収穫量―
その保持される有効養水分の挙動の違いの効果、恰好なモデルを作って計算した数値での理論的な説明ができれば申し分無いのですが、私の持つ土壌物理学の知識能力では手に負えない難題です。
唯、其の違いを知っているは其処に育つ植物、野菜であり、栄養応答ではっきりその違いを示してくれるのです。
―大きな新プランター栽培カリフラワーを持ってポーズー
先のブログでも申し上げましたが、様々な多孔質材を利用する毛管水耕の試行錯誤の結果、行き着いたのが能登珪藻土焼成粒の持つ自律恒常性を維持する特性であり、更に面白いのは、一言で珪藻土焼成粒材と言ってのその品位にいろいろ違いがあり、アメリカ産珪藻土焼成材 “AXISRegular”は、CECが27 meq /100 gもあると言うので、以前に比較試験栽培を行ったのですが、能登珪藻土焼成粒材の方が、栽培効果がより優れている事がはっきり示されました。其の違い、含まれる粘土成分量に有ったのです。
―その珪藻土の産地は能登半島―
この度、NHKの番組で 「新プランター栽培」が、広く一般に紹介される事になるのですが、水耕栽培(湛液水耕)用の培養液を肥料とするから水耕栽培と言うのではなく、容器栽培と言う限られる作物の根域容積の中で、如何に効率的な養水分の供給、摂取環境を用意するかで行き着いた新しい養液栽培法であり、野菜栽培、特にトマト栽培に適するので 「新プランター野菜栽培」としたのです。
―イソライト珪藻土記念館よりー
それだけに、皆さんのお持ちのプランター栽培のイメージや概念では理解が難しいかも知れません。例えば、オリジナルな水耕栽培とありますが、それが何故、CEC(陽イオン交換容量)云々とあるのかと常識では理解が難しいでしょうし、中には「水耕栽培でCEC(陽イオン交換容量)とは‥」と馬鹿げていると言われる方も居るでしょう。
―珪藻の正体―イソライト工業HPより
新しい事を考えるには固定観念に囚われず、先ず自由に発想し夢を持つことであり、その夢と言えば、新しいプランター園芸を此処まで進んでいますと世界に発信できる事です。2017年には、日本で開花した樹芸と呼ばれる盆栽の世界大会がさいたま市で開かれる事が決まりました。又、ご存知のように2020年にはオリンピックが東京で開催されます。
―大宮盆栽美術館ホームページより拝借―
日本を訪れる多くの外国からの訪問者に優れた日本文化を披露して知って頂く絶好のチャンスであり、日本人の持つ感性に優れる奥の深い園芸文化、又その裏にあるひたむきな追及心のジャパノロジー(Japanology)の一端として、アメリカが75年前に生んだハイドロポニックスから学んだ日本の過密都市の住環境の中で普及する新しいプランター菜園、そんな姿を見て頂く機会にしたいのです。
それには先ず、此の機会に多くの方に、新プランター栽培を実際に試して頂かねばなりません。興味を持ってご支援頂ける事を心からお願い申し上げます。