白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―新プランター栽培とは?ー

2014年01月08日 | 容器園芸

明けましておめでとうございます。本年も亦、ひとり善がりで気ままなブログですが、どうぞお付き合いの程よろしくお願い申し上げます。

新年早々に苦言のようで恐縮ですが、NHKの「野菜の時間」で放映された「新プランター栽培」 僅かな時間でしたが、其の中身! 一体何が何だかさっぱり分からなかったのでは無いかと拝察いたします。

今年はその一般公開を期に新プランター栽培元年と思い、改めて 「新プランター栽培」の成果をご紹介させて頂く事に致します。

家族の協力、とりわけ、熱心な末子孫との良き関係を大事にしながら新たに励む所存であり、多くの収穫の写真を披露したいと思っています。

 

―撮影収録時に収穫したカリフラワーとブロッコリー

扨て、その新プランター(容器)栽培、土穣を離れる栽培法ではありますが、水耕栽培(ハイドロポニックス)で言う固形培地耕のような培地に植物を固定して培養液を流動させるのでは無く、土に替わって、土より優れる機能を持つ媒体を用いる静止栽培法であり、土よりも養水分の摂取率を向上させて限られた容積の中で育てるプランター(容器)栽培であっても土よりも高い栽培効果が得られるように、土に替わる媒体と特殊な栽培容器の構造を組み合わせる養液栽培であります。

 

 ―649gの大果となったトマト、ブラッククリムー

しかも、その利用する媒体、容量が用土栽培の半分以下で済み、容器容積が小さくなって設置や移動が容易となり、土のような土壌生物の出現環境が無いので大変衛生的であり、触っても手が汚れず且つ又、一作毎に残根を除去洗浄する事で何年も再利用が可能であり、媒体の廃棄更新の必要が全く有りません。

一般にプランター栽培と言えば、培養土を利用するのが当たり前であり、土壌を離れると申しても、植物が土壌で育つ事は疑いの余地の無い事実であり、それを如何捉えて土から離れるかであります。

 

-12.5L容量の標準プランターで育つ白菜3株―

「親が無くても子は育つ」の喩え通り、土が無くても植物は育つ事は、水耕栽培(ハイドロポニックス)の登場で既に常識となっていますが、それには土に替って土の持つ役割、その要件を満たす必要があり、土が担う「作用」を知り、その機能を代替させる事で初めて土を離れる事が出来たのであります。 然るに 「土を知る」 土の構造や機能に関するしっかりした知見が先ずは必要であるのです。

 植物は土の持つ性質に適応して生きているのであって、土は植物の為に存在している訳では有りません。

土は植物が栄養と水を摂取する為の養水分を保持する性質を持って居ますが、それは土の持つ物理化学的性質であって、植物は土の持つその性質を利用する為にその性質に適応して進化して来たと言います。

ですが、自然物である土は、其の性質にはいろいろ違いがあり、植物が必要とする養水分の保持供給機能もそれぞれ違っています。

その土を媒体にして土の持つ養水分の供給機能を利用するのが植物栽培であり、其の媒体である土に必要な改善を加え、どのように利用するかには多くの蓄積された知見があり、土はその利用の仕方によって目的とする植物栽培の達成度が違って来ます。

 その土の持つ養水分と言えば、土粒子間隙に保持されている土壌溶液の事ですが、その保持機能と植物が利用出来る養水分の供給機能とは、実は別々の機能で有る事が、今日までの農業知見で明らかにされています。

 

―日本肥料アンモニア協会資料よりー

植物は、太陽光、水、空気、土壌に含まれる無機元素で生育できますが、土壌中の無機元素は多様な形で存在しており、植物の摂取に有効な形の無機元素を含む土壌溶液を「有効態養水分」と言います。

それは、土が保持している溶液は全て植物が直ぐ利用可能な養水分では無いと言う事であり、言い換えれば、土壌の中の土壌溶液が、植物が有効に摂取できる土壌溶液となって、初めて本当の養水分と言う事であります。

この「有効態養水分」の供給能が、土壌の単位容積当たり、どのくらい量に維持できるかで、作物の成長(乾物生産速度)は違ってきます。

その土壌に含まれる溶液の保持形態を概念的に捉えて土を三相構成に分けて、其の液相に含まれる有機、無機物質の溶解した土壌溶液を以って、即有効態養水分と思うでしょうが、実はそんな単純な事では無く、先ず大切なのは、その土壌溶液のエネルギー状態から考えなくてはならないと言う事であります。

 

ー土壌水分のエネルギー状態を示す水分恒数の分類表

植物がその根から養水分を摂取するにはエネルギーが必要であり、一方土壌溶液が保持されるには、土壌粒子と溶液との間に重力に逆らって働くエネルギーがあり、植物は其の土壌水の持っているエネルギーに逆らって根から土壌養水分を吸収しなくてはなりません。

その土壌に含まれる溶液のエネルギー状態を分かり易く表示したのが 「水分恒数」と呼ばれる水分の持つエネルギー状態を示す概念です。

 近代農業は、ご存知のように、リービッヒが提唱した「最小養分律」に基き、不足する土壌の無機物を分析し、肥料としての無機元素を補足する事で高い生産性を実現出来るようになったのですが、其処までに達するには、土壌溶液中の養分の作物に対する最適濃度に関する多くの研究がありました。

 

―最小養分率を表したリービッヒの樽―

ハイドロカルチャー発祥の原点となった、1930年代にカルフォニア大学が研究していた水耕培養法の課題は、作物と土壌との相互関係に付いてであり、農地で発生する多くの複雑な問題を、より効率的に処理するには、作物の成長を制御している基本的な要因(ファクター)は何か? そのより優れた知見を得る事にあったと書かれています。

そうした研究の中で、土壌分析結果で得られた通常の「肥沃」とされる土壌養分の濃度と、水耕培養法で得た植物の要求する「最適な養分濃度」との間には、大きな違いがあることが明らかになったとあります。

 それは、植物の成長を左右する「土壌養分」は、土壌の中の「養分濃度」という強度因子ではなく、植物の摂取に有効な形に動く養分であり、それが土壌全体にどのように保持されるかであり、其の鍵を握っているのが土壌の持つ「保肥力」、土壌溶液の恒常性を維持しようする「緩衝能」であると言うのです。

この土壌の緩衝能の強弱により、土壌は肥料成分の濃度変化に対応して植物の摂取に適した養水分の供給を可能にしていると言う事です。

 

多孔質媒体の基材―イソライトCG2―

土壌は、組成の異なる鉱物や土壌有機物等の不均一な多相系の物体ですが、単一な相の系としてそれを捉え、その動的な平衡性に従って、養分が土壌溶液に補給され、そのエネルギー状態に依って根圏域に移動し、有効な土壌養水分として植物に摂取される事で最適な栄養条件が得られると、養液栽培の研究で明らかにされたと言います。

 限られた用土量で育てる容器園芸栽培では、その有効態の土壌養水分を、如何にして其処に植えられた作物の根域に効果的に維持させるかが課題であります。

用土容器栽培では、利用する培養土の土粒子の多孔質体としての団粒構造、その持つ孔隙率と孔隙径(用土の物理性)に依って保水量も保水分エネルギーも違い、用土の容積量で施肥量、給水量や給水頻度が変り、用土の持つ緩衝能で肥効が大きく変わります。

 

コロイド性、膨潤性など発現する添加材ゼオライトー

そうした観点から申せば、容器用土栽培は、気象条件は別にして、利用する培養土の質と量(物理化学性と用土量)及び施肥量(肥料の質と量)、そして土壌溶液量(保水量)の相対関係によって、その結果(収量)が著しく左右される、大変難しい栽培法だと言う事です。

 日照や置き場所、栽培する野菜の種類やその品種の違い、用土の組成や容量などに加え、施肥給水等の管理で栽培結果が著しく左右され、しかもそれらの良し悪しが、どの程度の違いとなって出るのか良く分からず、多くが漠然した栽培経験や感に頼って続けて来たのが慣行用土容器栽培であります。

 そんな慣行プランター用土栽培の難しさを無くし、限られた最小限度のプランター(容器)媒体容積で、高い栽培効果の上がる方法として考案したのが、一定の養水分量と気相率とを自律恒常的に維持できるような物性を持つ多孔質媒体を利用する方法であり、ハイドロポ二ックスと同じ組成と濃度の均衡培養液を栽培容器の一定の高さまで、容器底面に貯水させるように構成して、養水分を均等に摂取させる栽培法であります。

 

      ―装置構造断面図―

それだけでは無く、保持する養水分のイオンバランスの極端な変動を抑える必要があり、多孔質体に緩衝能となる一定量の粘土鉱物を添加し、且つ又、利用する硬質多孔質体の物理構造を以って根圏微生物を涵養する生物性の寄与効果も考慮して居ります。

それが、新プランター野菜栽培と命名した新しい容器野菜栽培法であります。

 今般の「NHKの野菜の時間」では、残念ながら、其のヒントとなるキーワードの一言も無かった事は 「視聴者に一体何をお見せしたかったのか?」 と申したいのです。

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