ある少年野球チームの話です。
守備練習中でも声は出さず土いじりをしてしまう子どもが数人おり、ケガの心配と他の子ども達への影響も考え幾度となく注意をしました。
また集中を高めるためのメンタルトレーニングなども取り入れてみたもののなかなか改善する気配がなかったそうです。
困った監督さんが最後に考えられたのは「目標設定による行動の動機づけ」
練習の前にその日の目標を1つずつ子ども達に与えることにしました。
すると、少しずつですが子ども達は土いじりの回数が減りって練習に意識が向くようになったそうです。
最終的には土いじりをしていた子どもの中から、レギュラーを獲れるまでになった子もでてきたほどの成果に結び付きました。
この監督さんにどのように目標を与えたのかと聞くと、三つのポイントがあると答えてくれました。
一つ目は子ども達にもわかるように数字で伝えるということ。
例えば「大きな声を出しなさい」ではなく、「監督に聞こえる大きな声を3回出してみなさい」という具合だそうです。
数字だから子どもも意識しやすいですね。
ちなみに「3回出した後の子どもは声を出さなくなったか?」と質問したのですが、練習が終わるまで大きな声を出していたそうです。
声を出して目標を達成すると気分も乗ってくるんですね。
二つ目は、今日達成できる目標であること。
行動したことに対する評価をその日の中で評価をフィードバックしてあげるためだそうです。
すぐに評価してもらえれば、良かったら嬉しいし悪くても次は頑張ろうという気になりますね。
行動したけど良いのか悪いのかが分からなければ次の行動が生れににくいものです。
三つ目は、子ども達の野球をする目的を聞き出し、それを達成するための目標を与えた。
これがポイントでありむずかしいところでもあります。
「野球をする目的って何?」と子ども達から聞き取り、それを達成するために必要ないくつもの目標を段階的に与えたそうです。
「目標は?」聞くと答えは返ってくるのですが「目的は?」と聞くと返答に困ってしまう選手が多いです。
「目標はプロ野球選手になること」でその目的は「お金持ちになりたい」とか「有名になりたい」というのがあります。
ある種目的は自分の欲求ですので、ぼんやりとしたものであったり、恥ずかしく思えたりするものです。
その監督さんはじっくりとコミュニケーションをとりながら野球をする目的を聞き取り、そして目標を与えるときにひと言添えていたそうです。
「今日1本目のノックでランナーをアウトにすれば、イチローのようにかっこいい選手になれるよ」という具合に。
このように練習の中に目標を設定することは、選手が練習に取り組むための動機づけとなり意識や集中の仕方もより高いものへと導いてくれます。
なるほど・・・
①達成しやすいように数字で伝える。
②今日達成できる、頑張ればできる目標を立てさせる。
③レスリングをする目的を聞き、それを達成するための目標を与える。
練習におけるモチベーションは、目標設定ができているかどうかで全く違ったものになります。
目標設定をすることにより、練習中の選手たちの集中力に大きく違いがあります。
練習では、今日その日に頑張れば手が届く具体的な目標設定を行い、より質の高い練習になるように導かねばなりませんね。