京都八幡高校レスリング部・京都八幡ジュニアレスリングクラブを指導する監督・浅井 努の日記

剛毅果敢(ごうきかかん)をキャッチフレーズに全国優勝を目指す。

目標設定(2)

2016-05-15 | コーチング

ある少年野球チームの話です。
守備練習中でも声は出さず土いじりをしてしまう子どもが数人おり、ケガの心配と他の子ども達への影響も考え幾度となく注意をしました。
また集中を高めるためのメンタルトレーニングなども取り入れてみたもののなかなか改善する気配がなかったそうです。
困った監督さんが最後に考えられたのは「目標設定による行動の動機づけ」
練習の前にその日の目標を1つずつ子ども達に与えることにしました。
すると、少しずつですが子ども達は土いじりの回数が減りって練習に意識が向くようになったそうです。
最終的には土いじりをしていた子どもの中から、レギュラーを獲れるまでになった子もでてきたほどの成果に結び付きました。
この監督さんにどのように目標を与えたのかと聞くと、三つのポイントがあると答えてくれました。
一つ目は子ども達にもわかるように数字で伝えるということ。
例えば「大きな声を出しなさい」ではなく、「監督に聞こえる大きな声を3回出してみなさい」という具合だそうです。
数字だから子どもも意識しやすいですね。
ちなみに「3回出した後の子どもは声を出さなくなったか?」と質問したのですが、練習が終わるまで大きな声を出していたそうです。
声を出して目標を達成すると気分も乗ってくるんですね。
二つ目は、今日達成できる目標であること。
行動したことに対する評価をその日の中で評価をフィードバックしてあげるためだそうです。
すぐに評価してもらえれば、良かったら嬉しいし悪くても次は頑張ろうという気になりますね。
行動したけど良いのか悪いのかが分からなければ次の行動が生れににくいものです。
三つ目は、子ども達の野球をする目的を聞き出し、それを達成するための目標を与えた。
これがポイントでありむずかしいところでもあります。
「野球をする目的って何?」と子ども達から聞き取り、それを達成するために必要ないくつもの目標を段階的に与えたそうです。
「目標は?」聞くと答えは返ってくるのですが「目的は?」と聞くと返答に困ってしまう選手が多いです。
「目標はプロ野球選手になること」でその目的は「お金持ちになりたい」とか「有名になりたい」というのがあります。
ある種目的は自分の欲求ですので、ぼんやりとしたものであったり、恥ずかしく思えたりするものです。
その監督さんはじっくりとコミュニケーションをとりながら野球をする目的を聞き取り、そして目標を与えるときにひと言添えていたそうです。
「今日1本目のノックでランナーをアウトにすれば、イチローのようにかっこいい選手になれるよ」という具合に。
このように練習の中に目標を設定することは、選手が練習に取り組むための動機づけとなり意識や集中の仕方もより高いものへと導いてくれます。


なるほど・・・
①達成しやすいように数字で伝える。
②今日達成できる、頑張ればできる目標を立てさせる。
③レスリングをする目的を聞き、それを達成するための目標を与える。
練習におけるモチベーションは、目標設定ができているかどうかで全く違ったものになります。
目標設定をすることにより、練習中の選手たちの集中力に大きく違いがあります。
練習では、今日その日に頑張れば手が届く具体的な目標設定を行い、より質の高い練習になるように導かねばなりませんね。

目標設定(1)

2016-05-13 | コーチング
現在のレスリング選手の平均引退年齢ってどのぐらいなんだろうか?
引退って言葉はあまり好きではありませんが…
ようは、オリンピックを目標に置いていて、トップを目指している選手が一線を退く年齢って、平均したら何歳なんだろう?
こんなん調べたわけではありませんが、仮に30歳までトップで続けたら、小学1年生の7歳からレスリングを始めても23年です。
大学卒業まで続けるならなら15年。高校卒業までなら11年しかありません。
小学校1年生から始めてこれですから、これが中学から始めていたら、もっと短いわけです。
こう考えたら、レスリングを第一線でできる時間なんて、とても限られています。
ましてや、現在の小学生の子ども達は、習い事などやらなければいけないことがたくさんあり、レスリングに打ち込める時間は短いです。
だから、練習は、いかに質の高い練習が求められるか?が、「強くなる・上達する」重要な要素になってくると思う。
いまさらか?と言われますが、そう考えたら、私の役割って、大変責任重大というか考えさせられます。
高校生、中学生、小学生と、どの世代においても毎日の練習の質を上げる。質の高い練習をするには、色々な要素が必要ですが、まずは、選手たちにどんな目標設定をさせるかですね。これによって、毎日の集中力が違ってくると思います。

自ら「やる」練習

2012-04-04 | コーチング
「私の顔色を伺いながら」練習している者が数人います。見ていれば感じます。
職場でもこういうは人います。管理職の顔色伺いながら、ゴマすりみたいなことをしている者もいます。
まぁ、何事もそうですが、こんな感じで練習しても仕事しても本当の意味で面白くないし、強くなる事はむずかしいでしょう。
「やらされる」のではなく、自ら「やる」練習をしなければ意味がありません。
練習でも仕事でも「人からの評価を気にしすぎないように」することが大切です。
第三者の評価を意識しだすと、どこかぎこちなくなり、本来自分が持っている力が発揮できません。
相手は他の誰でもなく「自分自身」です。レスリングは「メンタル」が大切なスポーツです。
自ら「やる」練習ができない選手に「自信」なんか芽生えません。自分が納得する練習を毎日積み重ねることです。
4月に入り新学年になりました。これから大会が続いていきます。自ら「やる」練習で努力してほしいですね。

夏の練習

2011-07-28 | コーチング
今週はインターハイ1週間前ですが、校内で午前、午後と2回の練習で徹底的に追い込んでいます。
通常より練習内容も濃く、練習時間も長く、きついでしょう。
夏場の練習はとにかくきついものです。この夏、頑張った選手は一皮むけるでしょう。
特に中学1・2年生の選手たちには頑張って欲しいです。



2011年は?

2010-12-31 | コーチング
大晦日。今年もあと数時間になってしまいました。
来年はどんな1年にしようかと色々と考えています。

2011年は「選手をもっと活かしたい」

活かすためには、選手の考えを知ること。
そのためのコミュニケーションの場を増やすこと。
選手の中に眠っている力を見つけて表に引き出す。

マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督のインタビュー記事の中で、
「トップレベルの監督に求められる資質には、どんなものがありますか?」という質問に対し、
ファーガソン監督は、

これは私もしばしば考えるテーマだ。いくつも挙げることはできるが、これまでの経験上、「観察力」が最も大事だと思う。
指導と観察の両方を同時に行うことは難しい。アシスタントに権限委譲し、観察に集中するほうがよいときもある。
選手のクオリティを見極め、トレーニング成果が上がっているかどうかの判断には、観察力は欠かせない。

と答えています。

ファーガソン監督は、監督に求められる最も重要な資質は「観察力」だと答えてます。
よりよく観察するには、明晰な頭脳、客観的な視点、冷静な分析力、辛抱強く視る忍耐力、
判断基準となる評価のためのモノサシを併せ持たねばならないでしょう。
視点は当然サッカーのプロ監督としてではありますが、レスリングに当てはまる部分もあると思います。

「選手をもっと活かす」ためには、選手達をしっかり観察し、選手達をもっと知る・理解する。
そして、選手の持ち味・個性を表に引き出す…。
周りがどんな状況だろうが、慌てず、焦らず、コツコツと、諦めずに取り組んでいきます。

今年1年、ありがとうございました。