京都八幡高校レスリング部・京都八幡ジュニアレスリングクラブを指導する監督・浅井 努の日記

剛毅果敢(ごうきかかん)をキャッチフレーズに全国優勝を目指す。

選手と指導者の関係

2010-12-30 | コーチング
外国の指導者・コーチ陣達はとても熱心でよく勉強している。
それは、指導者(コーチ)と選手との関係からと言われ「なるほど」と感じた。

日本の選手達はどちらかというと指導者(コーチ)と共に歩んでいく関係にあるのに対し、
外国の選手達は指導者(コーチ)に「俺に何を教えてくれるの?」と要求してくる。
ようは、日本は指導者(コーチ)が優位なのに対して外国では選手と指導者の立場が逆である。

外国の選手達はプレーがうまくならないのは指導者せいだと主張するのが一般的。
だから、外国の指導者(コーチ)たちは勉強熱心になる。

日本は指導者(コーチ)が優位なのは、その原因のひとつに日本の歴史文化でもある「武士道」が考えられる。
精神論中心的な考え方がいまだに根強い。
勝てないのは、「お前達の精神力が弱い」「練習していない」「根性がない」などと選手を一喝する。

試合で負けたくて負ける選手なんて一人もいない。選手は一生懸命戦っている。
それに対して「何をやっているんだ」とすぐに怒ってしまう。

また、選手が「俺たちに何を教えてくれるの?」なんて指導者(コーチ)に要求しようものなら、
「おまえ誰に向かって言っている」とすぐさま一喝である。

自分自身、まだまだ勉強不足であると感じた。
京都八幡の指導では、外国の指導者(コーチ)のような資質がないといけないと感じた。

個性・長所を伸ばす指導がしたい…

2010-11-01 | コーチング
選手には、同じ階級・体重であっても
身長、手足、リーチの長さ、利き腕(右利き・左利き)の違い、優しそうな顔つきに怖そうな顔つき等々…
こんなふうに体型的、身体的な違いがある。

そして技術的な違い。
A選手は○○ができるが、□□はできない。
逆にB選手は□□ができるが、○○はできない…

そして体力的な違い。
A選手は持久力は高いが、瞬発力がない。
B選手は筋力は弱いが、柔軟性は高い等々…

そして性格的の違い。
明るい性格、内気な性格、闘争心が全面に出る選手、緊張する等…

考えてみるとこんなことはたくさんあります。

ようは、何が言いたいかというと、
選手達の体型的、身体的、技術的、体力的、性格的な部分を同じレベルにしようと思っても絶対に無理で不可能です。
選手達に同じように要求してはいけないということ。
例えば「A選手はできるのに、なぜB選手はできないのか?」といった愚痴は、同じレベルにすることを求めているということです。

それなら、どうすればよいか?

それぞれの選手達ができうる○○を見つけることが必要なのではないか。
選手達にあったできることを探すこと。そのためには「個性」「長所」を引き出してあげることが必要だと感じます。

選手達の中に隠れている「個性」や「長所」を指導者が見つけ出す。
この「個性」「長所」をその選手の中からたくさん引き出し確実なものとする。
それが、私の役割だと思ってます。

選手のできない部分をつつくことは簡単なことです。
大切なことは選手の中にある今見えていないものを見つけ出し形にしていくことだと思います。

指導者になった時から、京都八幡の選手達には、
型にはめず、それぞれの個性・長所を伸ばす指導を実践しているつもりですが、
これからもさらに意識して指導していきたいです。

私の理想

2010-10-24 | コーチング
私の理想は、「勝つために・上手くなるために何をすればいいんだ」「この練習は、こういう目的でやっている」等々、自分の現在の状況を冷静に論理的に考えて練習する。選手達が自分達のいいところをだして、生き生きと躍動するようなチーム・雰囲気…。
練習では、ミスを恐れないで欲しい。監督の顔つきばかり気にして練習する。言われないために、怖々してレスリングしてるとか、淡々とやっているなど、そういうのは好きじゃない。

現在、全国の高校レスリング界の強豪校は、「軍隊のような」っていうと上手い表現ではありませんが、徹底した管理のもと、スパルタ練習が行われているチームが8~9割だと思います。ようは、ほとんどの強豪校はこんな感じではないでしょうか。

例えば、以前この日記にも記しましたが、練習場に「ファイト、ファイト」という掛け声が常に大声で絶え間なく響き渡る…。高校の練習によく見られる風景です。声を出さない選手がいれば、監督から「声、出さんかい」「気合い入れろ」などの喝が入ります。これ事態、私は間違いではないと思いますが、私はあまり好きではありません。このいうチームの選手を、よく観察していると、監督が右を向けと言えば右を向かざるを得ない状態です。

軍隊のような練習でどんないいことがあるのだろうか?
(1)まずは結果が早く出る。一時的ではあるが選手達は監督の経験に基づいた行動をとるため結果が出やすい。
(2)そして、かなり忍耐力が身に付く。

反対に、軍隊のような練習で失われるものは何があるか?
(1)自分で考えることをしなくなる。
(2)固定観念が強くなる。
(3)選手たちの中にある力が隠れてしまう。

これは私が感じたことで、どちらも間違った指導ではないと思います。私は、選手たちの中にある力が隠れてしまう、選手の個性を消すレスリングは教えたくありません。また、私にやらされる練習ではなく、自分が強くなるため・上手くなるための本当の練習をして欲しい。指示待ち選手ではなく、私がいる・いない関係なく、常に現在の状況を把握して行動・練習できる選手集団でいて欲しい。というのが理想です。

こういう練習・行動ができる選手じゃないと、大学・社会人では成功しないでしょう。京都八幡高校の卒業生達は、これができました。現在の中学生・高校生たちも、意識の高い行動・練習ができる資質があります。京都八幡の練習は、他チームと比べれば、スパルタでもなく、強制もしてません。自分のために努力をして欲しいと願います。

細かいことを積み重ねるしかない…

2010-10-11 | コーチング
選手にはよく言いますが「優勝する」「次は勝つ」 といくら言っても、結局、普段毎日できることは「毎日の自己管理をしっかりやって、毎日の練習に集中する」そして、試合の時は「ベストを尽くすこと」だけです。これ以外、他にできることはないでしょう。
大きな結果を得るには時間がかかります。技術、体力を身につけ、伸ばすには相当な時間がかかります。継続していれば表に現れなくても、確実に力をつけています。結果が出ないからといって諦めては全てが終わり。結局、結果を出す選手の多くは、能力に優れた天才よりも、鈍くさく粘る選手に多いと感じます。
毎日の細かいことを積み重ねることが、大きな結果をもたらします。国体も終わり、中村弦斗、森垣心は来春の全国選抜に向けて、これから予選も控えます。また、中3の光永賢弘、浅井翼も、この半年間しっかり練習を積まないと高校では全く通用しません。中1・2年の選手達も頑張らないと来年の全中での活躍なんてあり得ないでしょう。これから春までの期間は、試合間隔も長く、しっかり練習に取り組めます。毎日コツコツと積み重ねることが大切です。

ローシングル①

2010-09-24 | コーチング
いまでは、田中幸太郎の代名詞とも言えるローシングル。
相手の踵を捕らえ、そこから処理する技術力が高くないとテイクダウンまで持ちこめない…。極めて高度なタックルだと思います。
ローシングルは相手のレッグを喰らいやすいなど、リスクも大きい技術ですが、踵を捕らえられれば、そこからの展開で確実にポイントが奪える技術です。

田中幸太郎から始まり、いまでは、池田 智、山原健太、浅井 翼、早山竜太郎と京都八幡の中・高生のうち約3分の1の選手が、ローシングルを武器に試合を組み立てる選手です。

幸太郎に、なぜ、ローシングルを教えたか?
そして、ローシングル習得にどのように取り組んだか?
試合で使える技術にするため、どのようにしてきたか?を次回は記したい…。
特に中学生の翼と竜太郎には徹底して取り組んで欲しい。当時の幸太郎の練習に比べればまだまだです。

明日からの週末は、東京・両国へ行って大相撲を見てきます。そして、色々話しも聞いてきます。次回は大相撲の感想も含め記したいと思います…。