秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

東日本大震災 『後の先』で挑むべし

2011年04月13日 | 囲碁と、日本の未来。
  今年三月、グラントプリンス赤坂が営業を終了するというニュースがありました。1955年の開業以来、日本を代表するホテルとしてのあゆみを続けてきたこのホテル。建物の取り壊しが決まっていたそうですが、このたびの東日本大震災にさいし、被災者を受け入れて下さるとい聞きました。宿泊料金や食事代も、とにかく格安。
 ホテル従業員のみなさん、本当にありがとうございます。
 このホテルに関して言えば、歌手の堀江美津子さんがブログにこんな事を書かれていました。

 「17歳の時、初めてホテルのショーに出させて頂いた」
 「結婚披露宴もここの新館」
    堀江美都子公式ブログ 3/31の記事より

 その堀江さんとは、知る人ぞ知るアニメソング歌手。赤プリで人生初のショ-の数年後に、あの歴史的名作、
 『キャンディ キャンディ』
 の主題歌を歌った方です。


 4月10日放送の『真相報道 バンキシャ』で、赤プリの事が取り上げられました。赤プリをはじめ、全国各地のホテルや旅館で、被災者を受けようという動きが活発になっているそうです。この様な事は利益にはならないのですが、地方の旅館では年々利用者が少なくなっているうえ、今回の震災で予約客のキャンセルが相次ぐ。それならば空き部屋を利用していただこうと、この様な取り組みを始めたそうです。そして何より、

 「困っている時はお互い様ですから」

 これに関し、国や自治体も資金面で受け入れる旅館やホテルを援助しようという体制をとったそうなのですが、これを利用しようとする被災者がなぜだか少ない。その理由としては、
 「仕事があるので、遠くの町に避難する事が出来ない」
 「もし一人(一家族)だけで利用したら、たとえば仮設住宅入居者募集の案内など、ちゃんと届けてもらえるのか」
 という不安があるそうです。それに何より、
 「ホテルや旅館が被災者を泊めてくれる、そんなことやっていたんですか」
 というように、肝心な情報が全く届いていない。なぜこんな事態になっているのか。

 「自治体に情報も送っているし、ポスターも作った。利用者の募集をかけるのは地元の役所の仕事」
 (国の役所の言い分)
 「利用者の受付をしようにも、人手も時間も足りない。
  第一、宿泊施設周辺の情報(病院など)の情報が全然ないから、国からの情報は使い勝手が悪すぎる」
 (被災地の役所の言い分)

 まったく、お粗末な話ですね。被災者の為にと多くの方々の善意が、国も自治体もそれぞれの御都合でほったらかしの状態になっている。バンキシャの御意見番として出演されていた河上和雄さんは怒って(あきれて?)いらっしゃいました。
 
 考えてみれば、こういった事は日常茶飯事だったでしょう。役所の仕事とは大抵が書類審査。国は地方の実情を、また地方は国政の状況を、あまり把握していない。それが普段から続いていたのでは、非常事態の時に連携が取れないというのは当然なのかもしれません。
 この様な有事に際しては、国や総理大臣の強力なリーダーシップが必要だと、メディアに出演する有識者が指摘します。特に米国大統領やイギリスの首相などの行動を見れば、頼もしく感じます。
 しかし、本当にリーダーシップが必要なのでしょうか。この狭い島国の日本であっても、それぞれの地域には様々な歴史や文化があり、事情も全くちがう。それを国のリーダーの一存で決めてしまっては、復興どころか人々の不満が爆発し、要らぬ混乱を招く恐れがあります。

 福島県内で高濃度の放射能が測定された町は、大抵が農産業を基幹産業にしています。稲作、畑、牛や鶏などの家畜、家畜の餌にする牧草、もちろん漁業もそうです。
 政府や国の役所が安全を考慮して避難指示を出したとしても、田畑や家畜をほったらかしにして町を出るわけにはいかないのです。田畑は耕さなければ荒れ、再び使えるようになるには数年かかるといわれます。
 彼らは長年をかけて農業を育て、ブランド化してきた方々です。
 彼らの仕事によって、地元福島はもちろん、首都圏の食卓を支えられてきたのです。

 幾ら緊急の政策とはいえ、一方的に通知してそれで事を済ませようとするのは、幾らなんでも無責任。


 そこで提案。行政に関わる人たち、またそれ関わる人たち。『後手の先手』という体制で復興に携わってはいかがでしょうか。
 『後手の先手』。囲碁や将棋、相撲などで使われる言葉。

 相手の出方をしっかりと見極め、その場その場にふさわしい対策をとる。
 これで評価を受けたのが、囲碁界で言えば関山利一先生。相撲界では大横綱・双葉山。
 現在の政権与党の民主党にも、元厚生大臣の渡部さんや玄葉光一郎さんなど、福島県選出の議員の方がいらっしゃいます。しかし、北海道、岩手県に次ぐ日本で三番目に広い福島県の現状を、出身地とはいえ全てを把握することは困難でしょう。


 地元の不満、とくに原発立地区域から避難してきた方達、また高濃度の放射能が測定された町に住む方の不満は限界に達してています。

 今こそ、県知事や地元自治体とこまめに連絡を取り合い、住民や被災者の声を聞き取り、
そして必要な措置を必要な時に素早く取れる、
そんな体制を一刻も早く築いて頂きたい。

 今からでも遅くはありませんのですから。