MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

ケーススタディ

2006-03-23 | MBA
ビジネススクールではよく教材としてケーススタディを使ったものでした。

ケーススタディというのは、ある会社や人の事例が物語のように描写されているケースを読み込んで、自分なりの考えをまとめ、クラスで皆がそれを議論していく形式のことです。
元々ハーバードが生み出したメソッドだということですが、今ではどこのビジネススクールでも当たり前に広く取り入れられています。

こうした手法は正解のない問題、というか問題自体が何なのかも自分で読み込んで考え、色んな側面から物事を考えるのが勉強になります。
また、クラスメートが全く違った問題設定や切り口で物を考えるのに接して、新しいヒントを得ることも多々あります。

そんなわけで参加者としてケースを読んだり議論に参加するのは楽しいものです。
ところが今度、ある大学で臨時に一コマ教えることになりました。
今度は参加者としてではなく、教える側としてケーススタディに参加することになるわけです。

こうなってみるとちょっとした当惑があるもので、良いファシリテーターってどんな人だったか?
記憶をたどると色々なパターンがあったように思います。
ダメなファシリテーターのパターンと言うと、

1.自分が好き勝手しゃべり過ぎる
2.皆の言っていることを要約するだけに終始する

といった例が頭に浮かびます。
1.はいくら話が巧みでも、何を議論していたのか分からなくなってしまいます。
あくまで裏方であって、主役は参加者(生徒)でないと面白い議論になりません。
逆に2.は、「これじゃファシリテーターなんて必要ないじゃん」と思わせてしまい、それも不満につながった気がします。

結局のところバランス感覚というか、良いファシリテーターの条件は

+発言のポイントを程よくまとめてくれる
+一方で、刺激的な(思わず反論したくなるような)切り口をほのめかす

といったあたりではないでしょうか。
極端な見かたを投げかけて「意図的に反論させる」というのは、結構多くの一流教授が使っている手法だと思います。
つい釣り込まれてその意見に反論しているうちに、他の参加者がその意見を肯定するようなことを言ったりすると、もう後は自動的に熱い論争になってしまう、という感じで。

自分が生徒の時はあれこれ教授を勝手に品定め・論評していたものですが、いざ自分がやるとなると先方の苦労も何となく分かってくる気がしますね。


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