結論を言おう、日本人にMBAはいらない - MBAで教える「交渉術」
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MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

結論を言おう、日本人にMBAはいらない

2016-12-06 | MBA
最近著名コンサルタント(遠藤功さん)が新書で出した、掲題の本を拝見しました。

本の趣旨は、「基本的にMBAには言われるほどの価値が無い。現場視点で考え続けることこそ大切」のような感じと理解しました。
アマゾンの書評は、これへの批判で盛り上がっているようです。
面白いテーマなので、MBAに価値はあるのか?少し考えてみたいと思います。

まず、この本にはいくつかの世界観の前提があると思います。
私は、著者のニュアンスを下のように理解しました。

― MBAにも色々あり、どのセグメントかによって話が全く変わる
― 海外トップ校は、グローバルエリートの特殊コミュニティであり、そこに仲間入りする時点で既に価値がある
― 海外中堅校だと、新鮮な海外経験としては価値があるが、それを超えた実務能力の飛躍的向上は無い
― とはいえ、企業派遣も減った今、個人がそれら海外校に行くのは費用も要求水準も高く、あまり現実的でない
― なので、国内大学が最近整備を進めてきた国内MBAに「とりあえず」で行く人がどんどん増えた
― しかし、そういう国内MBAに「とりあえず」で行っても、大した効果は無い
― なぜなら、今の国内MBAは参加者が同質的な日本人の集まりに過ぎず、教授陣も国際的に通用しない水準だからである

こんな感じでしょうか?
これらについて、私も大筋はその通りだと思います。

著者は早稲田大学の教員を辞めたそうで、辞め際の暴露的に見える本なので書評が炎上しているのかもしれません。
辞めて悪口を書く位なら、内部から責任もって改革しろよ、と。
一方で、話題作りのためにわざと挑発的な題で炎上商法の本を書いた感じもしますね。

中身の話に戻ると、私もMBAに価値があるのはそのコミュニティに入ることと、多様性を理解し体現することが主だと思います。
海外トップ校を出ましたが、授業の中身に特別な価値があるとしても、正直それはほんの一部の科目だと思います。
(たとえば交渉術とか…)
読みたければ教科書は誰でもアマゾンで買えるし、講義も今時動画で見られるわけですし。
MBAで「戦略」の授業を取ったから、現実の戦略立案に何かが役立ったと思ったことは、一度もありません。

そうではなくて、
― こういう世界トップレベルの学校に来るのは、どういう水準の人たちなのか
― 彼らと伍して対等に競争し仲良くなるには、どういう前提をおさえないといけないのか
― そういう中で、(国籍や仕事経験を踏まえた)自分の強み弱みはどこにあるのか
― そういう中で、自分が勝てること(好きなことやありたい姿)は何なのか

といったことを、本当に自分ごととして、短期間で濃密に煮詰める。
あるいは他の参加者の悩みを見ることで、同じ時代に全然違う人たちがたくさんいるあり方を知る。
そういうことに、自分にとっては価値があったと思います。



1 コメント

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マルテンサイト (ストライベック)
2025-04-18 05:02:49
最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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