よく目にする話題、「強いパスポート、弱いパスポート」。その国のパスポートで、何ヶ国にビザなし渡航ができるかという話。2018年度のランキングで、日本は第一位となった、と報じられている。
（afrique-sur7.frウェブサイトより）
元データは毎年Henley & Partnersが発表する、その名も「パスポート・インデックス」。199の国と地域のパスポートで、何ヶ国にビザなし渡航できるのかを、ある定義で評価していったもの。 この度発表された2018年度のランキングで、日本のパスポートは190ヶ国に渡航できる、としてトップに位置付けられた。二位は昨年のチャンピオン、シンガポール（189カ国）。第三位は同数でフランス、ドイツ、韓国で188カ国だそうだ。
（Henley & Partners Passport Index 2018）
対してアフリカ。最上位は25位のセーシェルで152カ国、かなり健闘だ。ついで52位の南アフリカ（102カ国）、63位ボツワナ（82カ国）、69位ナミビア（76カ国）、71位レソト（74カ国）、73位スワジランド（現エスワティ二、71カ国）と続く。南部アフリカ強し。同位でケニア、マラウィが名を連ね、その次がなんと驚きのガンビア（74位、68カ国）。タンザニア、ザンビアと同位だ。
仏語圏のアフリカではどうか。最高位は62カ国に渡航可能なベナンの80位。タロン大統領は先般、短期渡航に関し、アフリカ国籍の旅券には査証が不要だと宣言した。
ついで、83位のモーリタニア（58カ国）、こちらはアラブ圏での移動の自由が順位を上げている様子。
その先、仏語圏ラッシュが続き、
84位（57カ国） ブルキナファソ
85位（56カ国） コートジボワール、ギニア、セネガル。
86位（55カ国） マリ、ガボン
87位（54カ国） トーゴ、ニジェール ← ルワンダが同位
88位（53カ国） チャド、マダガスカル
89位（52カ国） コモロ ← 赤道ギニア、ハイチが同位
92位（49カ国） 中央アフリカ ← アンゴラが同位
93位（48カ国） カメルーン
94位（47カ国） コンゴ（ブラザヴィル）、ブルンジ ← ナイジェリアが同位
96位（45カ国） ジブチ
98位（43カ国） コンゴ（キンシャサ）
←こんな低位になんとエチオピア（99位、42カ国）！北朝鮮と同位。
アフリカの最低位はソマリア（105位、32カ国）、全世界ランクの最低位は106位、30カ国のアフガニスタンだった。
このランキングは一応きちんとした定義で作成されている。しかし実態はどうか。例えば日本は190カ国に査証の事前取得なしで渡航が可能としている。もしこの情報が正しいとすれば、事前査証取得が必要なのは世界中でたった9カ国だけということになる。しかし少なくともンボテの経験では、実質上こんなに便宜は良くない。知っているアフリカの国だけでも、軽く20カ国くらいは事前の査証申請が必要とされている。正確には、事前の査証取得なしでもよいとされている国もあるかもしれないが、実質は事前申請がないと空港で取得できなかったり、本当に取得していないと入国時に大きなトラブルになったりという国も少なくない。
逆に「40カ国、50カ国、査証取得なしで渡航可能」とされているアフリカの国々。実態はかなりこの数字とはかけ離れているものと想像される。そして申請してもビザはなかなか降りない。例えば南アフリカやケニアはセネガル人やギニア人、特にコンゴ人を受け入れたがらない。
またアフリカの国々、特に入国審査官のような官憲は、アフリカ人に対して非常に厳しく、また相当の嫌がらせをする。ヨーロッパ、北米、中東、アジアしかり。当の日本もアフリカ人には冷たい。つまり、アフリカに生まれてきたというだけで、自由に旅行する権限を剥奪されているかのごときである。「最強パスポート」を享受する日本人には、想像して有り余る苦難と壁が、アフリカ人にはあるのだ。生まれつきの国籍は選べない。
そもそも国籍を有しないステータスの人々も少なくない。フランス語でapatridieという。経緯のある移民、難民で祖国を離れた人、国籍を剥奪された人。国を離れたくても、国のせいで国を離れられないという、大いなる矛盾に直面することとなる。
そう考えるて眺めてみるにつけ、このランキング、他人事では済まされないように思えてくる。
（つづく）
（afrique-sur7.frウェブサイトより）
元データは毎年Henley & Partnersが発表する、その名も「パスポート・インデックス」。199の国と地域のパスポートで、何ヶ国にビザなし渡航できるのかを、ある定義で評価していったもの。 この度発表された2018年度のランキングで、日本のパスポートは190ヶ国に渡航できる、としてトップに位置付けられた。二位は昨年のチャンピオン、シンガポール（189カ国）。第三位は同数でフランス、ドイツ、韓国で188カ国だそうだ。
（Henley & Partners Passport Index 2018）
対してアフリカ。最上位は25位のセーシェルで152カ国、かなり健闘だ。ついで52位の南アフリカ（102カ国）、63位ボツワナ（82カ国）、69位ナミビア（76カ国）、71位レソト（74カ国）、73位スワジランド（現エスワティ二、71カ国）と続く。南部アフリカ強し。同位でケニア、マラウィが名を連ね、その次がなんと驚きのガンビア（74位、68カ国）。タンザニア、ザンビアと同位だ。
仏語圏のアフリカではどうか。最高位は62カ国に渡航可能なベナンの80位。タロン大統領は先般、短期渡航に関し、アフリカ国籍の旅券には査証が不要だと宣言した。
ついで、83位のモーリタニア（58カ国）、こちらはアラブ圏での移動の自由が順位を上げている様子。
その先、仏語圏ラッシュが続き、
84位（57カ国） ブルキナファソ
85位（56カ国） コートジボワール、ギニア、セネガル。
86位（55カ国） マリ、ガボン
87位（54カ国） トーゴ、ニジェール ← ルワンダが同位
88位（53カ国） チャド、マダガスカル
89位（52カ国） コモロ ← 赤道ギニア、ハイチが同位
92位（49カ国） 中央アフリカ ← アンゴラが同位
93位（48カ国） カメルーン
94位（47カ国） コンゴ（ブラザヴィル）、ブルンジ ← ナイジェリアが同位
96位（45カ国） ジブチ
98位（43カ国） コンゴ（キンシャサ）
←こんな低位になんとエチオピア（99位、42カ国）！北朝鮮と同位。
アフリカの最低位はソマリア（105位、32カ国）、全世界ランクの最低位は106位、30カ国のアフガニスタンだった。
このランキングは一応きちんとした定義で作成されている。しかし実態はどうか。例えば日本は190カ国に査証の事前取得なしで渡航が可能としている。もしこの情報が正しいとすれば、事前査証取得が必要なのは世界中でたった9カ国だけということになる。しかし少なくともンボテの経験では、実質上こんなに便宜は良くない。知っているアフリカの国だけでも、軽く20カ国くらいは事前の査証申請が必要とされている。正確には、事前の査証取得なしでもよいとされている国もあるかもしれないが、実質は事前申請がないと空港で取得できなかったり、本当に取得していないと入国時に大きなトラブルになったりという国も少なくない。
逆に「40カ国、50カ国、査証取得なしで渡航可能」とされているアフリカの国々。実態はかなりこの数字とはかけ離れているものと想像される。そして申請してもビザはなかなか降りない。例えば南アフリカやケニアはセネガル人やギニア人、特にコンゴ人を受け入れたがらない。
またアフリカの国々、特に入国審査官のような官憲は、アフリカ人に対して非常に厳しく、また相当の嫌がらせをする。ヨーロッパ、北米、中東、アジアしかり。当の日本もアフリカ人には冷たい。つまり、アフリカに生まれてきたというだけで、自由に旅行する権限を剥奪されているかのごときである。「最強パスポート」を享受する日本人には、想像して有り余る苦難と壁が、アフリカ人にはあるのだ。生まれつきの国籍は選べない。
そもそも国籍を有しないステータスの人々も少なくない。フランス語でapatridieという。経緯のある移民、難民で祖国を離れた人、国籍を剥奪された人。国を離れたくても、国のせいで国を離れられないという、大いなる矛盾に直面することとなる。
そう考えるて眺めてみるにつけ、このランキング、他人事では済まされないように思えてくる。
（つづく）
