ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

カスバの女

2016-01-07 07:30:40 | その他
昨年の暮れ、近所にある馴染みの店、シブい下町居酒屋に飲み納めに行った時、カウンター席の隅に小さな額縁がかけられているのが目に入った。

『カスバの女』


どうやら昭和歌謡の歌詞が綴られている。

涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴりこのほお 濡らしただけさ
ここは地の果アルジェリア
どうせカスバの 夜に咲く
酒場の女の うす情け

うたってあげましょ わたしでよけりゃ
セーヌのたそがれ まぶたの都
花はマロニエ シャンゼリゼ
赤い風車のおどりこの
いまさらかえらぬ 身の上を


こんなお店でアルジェリアやシャンゼリゼの文字にお目にかかるとは思わなかった。赤い風車って、ムーランルージュじゃないか。などと、じっと見入っているとお店のおかみさんが声をかけてきた。

おかみ「それね、昭和歌謡なの。」
ンボテ「いつ頃の、誰の歌なんですか?」
おかみ「昭和も30年代の話。青江三奈、緑川アコ、、、色んな人が歌った歌謡なの。そして、、、」

おかみさんは少し照れくさそうに続けた。
「わたしも歌い手だったの。」
ンボテ「ヘェ~、そうなんですか?!」
大将「おかみは実の母でね~。こう見えて昔歌手だったんだよ~。」

ンボテ「いやいや、雰囲気ありますよ。でもなんでアルジェリア、シャンゼリゼなんて歌詞に出てくるんですか?」
おかみ「場末の酒場の歌なのよ。アルジェリアにもシャンゼリゼにも行ったことはないからわからないわ。今でも場末の居酒屋だけどね笑。」

いろいろ気になって調べてみた。昭和30年代のアルジェリア戦争が歌の舞台だという。そしてこの歌には3番があるらしい。

あなたもわたしも 買われた命
恋してみたとて 一夜の花火
明日はチュニスか モロッコか
泣いて手を振る うしろ影
外人部隊の 白い服


確かにアルジェリア戦争に従事した外人部隊が、場末の酒場を彷徨う姿が見て取れる。

歌は昭和30年に作られ、昭和42年にブレイクしたという。昭和30年は1955年。アルジェリア戦争(1954年~1962年)が勃発した、まさにその時だ。

作詞は「大高ひさを」という人らしいが、一度もアルジェリアには行ったことがなかったらしい。戦前に一般公開されたジャン・ギャバン主演のフランス映画『望郷』を下敷きに歌が作られたという。

こんなところに、アフリカの歴史、アルジェリアのストーリーが見られるとは思わなかった。昭和歌謡、場末の居酒屋の奥は深い。

(おわり)

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2 コメント

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Unknown (らすた)
2016-01-07 21:57:03
Nbote様、今年もアフリカの話題と芸能活動楽しみにしています。「ザ・シェフ」というコミックにも、「カスバの女」という題のお話がありまして、料理がクスクスだったような。。。当時はアフリカに興味がなく、不思議な音の料理名だと思った記憶が蘇りました。
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Re:Unknown (ンボテ)
2016-01-08 21:28:04
らすたさん、いつもご愛読ありがとうございます。そうなんですか、カスバにクスクス。そんなストーリーがあるとは、また興味深いです。
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