摂氏911

自然な生き方をめざす女性が、日々のできごと、感じたことなどをつづります。

罪を犯した人の心

2009-01-17 18:57:38 | エッセー
私が心理分析を学び始めたのは、
たまたまいただいたご縁がきっかけで、
特にカウンセラーになりたかったわけでは
ありませんでした。
心理分析の知識は広く応用が利くだろうから、
何か事業をプロデュースする時に役に立てば
と思って、受講し始めたのです。

今でもおそらくカウンセラーにはならないだろうと
思うんだけど、
カウンセラーだったら何か役に立てないかなと
思う分野がいくつかあります。
その1つが、罪を犯した人のカウンセリングです。

もうずいぶん前から、何か事件が起きると
私はそれを犯した人はどうしてそんなことをするに
至ったのかを考えるようになりました。
それは、もう何年も前からそれまでの常識では
考えられないような事件がたくさん起きるように
なったからだと思います。

最近気になったのは、入院中の1歳の娘の点滴に
腐った水を入れたとして逮捕された母親の事件です。
心理分析では、病気などがなかなか治らない場合は
深層心理において病気でいることによって
誰かの関心を引きつけたいと思っていることがあると
言われています。
今回の事件では1歳の娘ではなく、
母親のほうにそんな心理があったのかと思っていたら、
「(子どもが病気で)大変だと言ってほしくてやった」
「看護する母親の姿を周囲の人に見てほしかった」と
彼女は言っているそうです。
そして、子どもをわざと病人に仕立て上げてしまう特殊な児童虐待、
「代理によるミュンヒハウゼン症候群」の可能性を
疑われているとのことです。

もし彼女が本当に報道されているようなことを言っているとしたら、
彼女はなぜそれほど周りの人に認めてほしかったのか。
何が満たされていなかったのか、気になります。

また、最近ネットで記事を見てあらためて考えさせられたのは、
日本の犯罪史上もっとも凶悪な犯罪とも言われる
東京足立区で起きた女子高生コンクリート殺人事件です。
事件の詳細を読むと気分が悪くなるほど凄惨な暴力は
なぜ起きたのか、
何人かの人がこの事件については本を書いているので
詳しく検討されているのかもしれません。
私も子どもが産まれて落ちついたら
その手の本も読んでみたいと思いますが、
今は胎教に悪そうでちょっと。。

最近見たその記事の中で引っかかったのは、
主犯の少年の身長が160センチということでした。
160センチと言えば、女性でも背が低いほうの私と
そんなに差がありません。
もしこの記事が正しいなら、
小柄な自分が仲間の少年たちになめられないように
いつもやることがエスカレートしていたのでは?と
疑いました。

そう思ったのは、以前受けた命の教育に関するセミナーで聞いた、
ある高校での事件のことを思い出したからです。
この事件を起こしたのもやはり背の低い上級生で、
180センチくらいある下級生に応援団への誘いを断られて、
下腹部をナイフで刺して失血死させてしまった
という概要だったと思います。

応援団や不良グループなど
男性としての荒々しさが求められる(?)ところでは
「男性らしさ」でコンプレックスを感じている人は
必要以上の暴力で力を誇示しようとするのではないかと
思いました。


腐った水を点滴に混ぜた母親も
女子高校生をコンクリート詰めにした少年も、
誰かありのままの姿を認めてくれる人がいたら、
そういうことに走らなくて済んだのではないだろうかと
思えてなりません。
そういう人たちの心の軌跡を、
じっくり聞き出すことによって、
同じようなことが起きるのを防ぐことに
役立つだろうと信じています。


日本でヘミシンクの普及に尽力されている坂本政道さんが、
最近こんな話をされていたそうです。
「“いま”という時代は、
それぞれの人が内側に抱えている不安や問題が、
形となって外側に出てきてくれている。
せっかく形となって現われてくれたのだから、
それを一つひとつクリアしていけば、不安の原因がなくなり、
内に抱えていた不安や恐れも克服できるのです」

まったく訳がわからないように見える犯罪もまた、
私たちの内面を映し出したもののように思えます。
この世の中に無駄なものなど何一つない。
無駄な人間など誰一人いない。
だから、罪を犯してしまった人の心の声に
耳を傾けてみたいと思うのです。