(アセロラの実が赤く色づいている今年です!何かいいことの前触れでしょうか?)
歌舞伎の研究書を多く出版され、現代演劇批評も「演劇評論家」として継続して書かれている渡辺先生、日本文化を深めたことで恩賜賞・日本芸術院賞を受賞されていたのですね。昨今沖縄で作品の展示や講演などをされている詩人の吉増剛造さんも日本芸術院会員で文化功労賞を受賞されているのですね。芸術院賞や会員の歴史は73年ですか。渡辺さんは「日本演劇学会」の会員で直に鼎談や講演、シンポジウムでお話を拝聴してきた方で、詩人の吉増さんは自宅で一度お話したことがあるのですが、身近でことばに深い感銘を受けた方々の凄さ≪エネルギーの雫≫を精神の糧にして、ものがたりを編んでみたいと思いつつーーー、思いに形を与えるのもパッション・パトスなんですね。ちょっと気後れと気落ちの日々を返上しなければです。
受賞者一覧を見ると、沖縄出身はどなたもいないのですね。明治12年の廃藩置県から139年目の2018年です。来年で140年目なんですね。日本国に併合されて一応日本のナショナリティを有して、日本人になった沖縄県民ですが、戦後27年の米軍占領期間を除いても113年ですね。しかし米軍占領時代も教科書は日本語で母語も日本語として生活は持続してきた沖縄ですね。
お一人も恩賜賞・日本芸術院賞の受賞者がいない沖縄県民なんですね。やはり沖縄県民は日本人として文化に貢献していないということになるのでしょうか?ちょっと残念な現実です。
文化功労賞や文化勲章などの受章者を見ると木下順一さんなどは芸術院賞も功労賞も辞退されているのですね。武田泰淳や大岡昇平さんも辞退ですね。文化勲章となると沖縄とも関係の深い大江健三郎さん、また永六輔さんもご辞退なんですね。真喜志康忠さんが大坂でお会いした陶芸家の河井寛次郎さんもご辞退なんですね。名利を求めない姿勢でしょうか。河井寛次郎さんは人間国宝や芸術会員への推薦も辞退しているのですね。見事な生き方ですね。終生年金もいただけるご身分ですが、逆にその人柄と作品の価値が高まっているのでしょうか。
さてこの間お一人も芸術院会員がいない沖縄の芸術家ですので、お一人でも会員になり、恩賜賞・日本芸術院賞も受賞してほしいですね。候補は大城立裕さんです!現在92歳で、小説を毎年『新潮』に発表され、かつ氏が創作された沖縄芝居から新作組踊(詩劇)まで上演されています。これほど多作な方は他にいませんね。何より小説だけではなく、戯曲が沖縄の文化の表象として輝き、生きる勇気を与え、未来に夢と活力をもたらす劇作品(舞台)が繰返し上演されている方は稀ですね。
日本の芸術家、芸術院会員を見ても、小説、戯曲、批評と多作な方は多くはありませんね。しかも琉球語(沖縄語)の作品≪舞台≫です。これほど特異でユニークな作家はいませんね。
ハワイ、南米と世界のウチナーンチュの人々だけではなく、東アジア、世界のマイノリティー文化圏の人々、世界の混沌とした歴史の渦の中で生きている人々に、勇気を与える作品であり戯曲≪舞台≫ですね。
沖縄が日本やアメリカの軍事植民地だけではなく、文化的に収奪される場でありながら、モノカルチャーではなく、多様性≪多元性≫を世界に発信する豊かさを秘めている固有な場所であるならば、優秀な日本の文化創造に携わる文化行政のブレインのみなさん方は、その価値を見逃すはずはないですね。
沖縄の文化の輝きをさらに世界に発信するために、世界の東アジアの安寧と共生・創造的未来を築く推進力としても、是非、大城立裕さんを日本文化の価値≪文化の発展や向上≫を代表する作家として表彰してください。大城先生は92歳です!
恩賜賞・日本芸術院賞
- 賞の概要
賞の概要
日本芸術院では,会員以外の者で,卓越した芸術作品と認められるものを制作した者及び芸術の進歩に貢献する顕著な業績があると認められる者に対して,毎年,恩賜賞と日本芸術院賞を授与しています。
日本芸術院賞は,昭和16年から戦中,戦後の一時期を除いて毎年授与しており,平成28年度において第73回を数えています。
恩賜賞は日本芸術院賞を受賞した者の中から特に選ばれて贈られる賞です。
恩賜賞には賜品が,日本芸術院賞には賞状,賞牌,賞金が贈られます。
平成28年度恩賜賞・日本芸術院賞の授賞式は,天皇皇后両陛下の行幸啓を仰ぎ,平成29年6月19日に挙行されました。
直近の授賞式写真
- 式典風景
- 授賞者等
- 授賞者関連作品展示
授賞式詳細
平成28年度(第73回) 平成29年6月19日
部 | 賞 | 専門 | 氏名 | ふりがな | 授賞理由 |
---|---|---|---|---|---|
第一部 | 恩賜賞・日本芸術院賞 | 書 | 髙木 聖雨 | たかき せいう | 書「協戮」に対し |
第一部 | 日本芸術院賞 | 日本画 | 西田 俊英 | にしだ しゅんえい | 日本画「森の住人」に対し |
第一部 | 日本芸術院賞 | 洋画 | 根岸 右司 | ねぎし ゆうじ | 洋画「古潭風声」に対し |
第二部 | 恩賜賞・日本芸術院賞 | 評論 | 渡辺 保 | わたなべ たもつ | 演劇全般,特に伝統演劇の本質を綿密かつ精緻に探究した長年にわたる評論の業績に対し |
第二部 | 日本芸術院賞 | 小説 | 髙樹 のぶ子 | たかぎ のぶこ | 様々な類型の人間関係の機微を緻密に考察し,豊かな物語性を織りこんだ小説を造型した業績に対し |
第三部 | 恩賜賞・日本芸術院賞 | 洋楽 | 一柳 慧 | いちやなぎ とし | 長年にわたる幅広い作曲活動と常に新しい世界を切り開いていく積極的な姿勢に対し |
第三部 | 日本芸術院賞 | 能楽 | 大槻 文藏 | おおつき ぶんぞう | 能の最高秘曲と復曲における優れた舞台成果,大阪能楽界の発展及び後進育成の業績に対し |
第三部 | 日本芸術院賞 | 歌舞伎 | 市川 左團次 | いちかわ さだんじ | 「助六由縁江戸桜」の髭の意休役,「仮名手本忠臣蔵」の高師直役及び桃井若狭之助役における演技に対し |
第三部 | 日本芸術院賞 | 邦楽 | 鳥羽屋 里長 | とばや りちょう | 長年にわたり歌舞伎長唄に尽くした業績に対し |